東証からの要請もあり、PBR1倍割れの解消、すなわち企業価値向上に向けた考え方として、長期ビジョンや中期経営計画を発表するほぼすべての企業で「事業ポートフォリオ変革」が掲げられている。既存の基盤事業を改善することやキャッシュカウとしての役割と、成長事業への投資を謳い、右肩上がりで成長しながら全社の事業構成も変化していくストーリーをよく目にする。しかし、多くの企業は事業ポートフォリオ変革が道半ばにとどまり、業績は依然として既存業務に依存している状況にある。また、成長投資の対象であった事業でM&Aを行うも、立ち上げが想定通りに進まず、結果的に減損を計上するケースもあり、当初想定したビジョンを実現できていないケースもある。結果、投資家からの厳しい評価や、企業価値が低調である場合には買収リスクにさらされる。
改めて、なぜ事業ポートフォリオ経営は難しいのか。様々な要因がメディアや書籍等でも語られているが、本質的には3つの問題が存在する。
1点目は、全社目線と事業目線の対立である。全社最適と事業最適は構造的に相反しやすく、誰かが得をすると、誰かが損をする意思決定になりやすい。個々の事業担当者は、担当する事業を自ら断ち切ったり縮小したりする判断はできず、基本的には事業継続を前提に成長に向けた施策を考える。一方で、コーポレートの全社目線では、全ての事業の要望を同時に満たすことはできない。
2点目は、意思決定の不確実性である。市場成長率、競争優位、技術トレンドは予測不能で不確実性が高く、「今は正しそう」に見える判断が3年後に誤りと判明することもある。正解は後からしか分からないため、経営者は常に「不完全情報で不可逆な決断」を迫られる。
3点目は、静的なポートフォリオ評価の限界である。時間軸が事業ごとに異なるため、長期ビジョンや中計の断面で切り取っても、事業の実体や将来性を正しく評価するのは難しい。四象限のマトリクスに各事業をバブルチャートでマッピングするだけでは、現状の可視化に留まり、事業ポートフォリオ変革に向けたボトルネックは見えてこない。
つまり、事業ポートフォリオ変革は経営目標としては十分に語られている一方で、評価手法やマネジメントが追い付かず、実行段階で壁に直面する企業が少なくない。こうした課題に対し、意図的に事業ポートフォリオを動かしていく考え方・フレームワークとして、アビームコンサルティングでは「企業価値向上を実現するポートフォリオ・マネジメント支援サービス」を提供している。
https://www.abeam.com/jp/ja/expertise/sl407/
一方で、こうした整理だけでは解決できない、「経営者の意思決定」という課題が残る。