かつて「ディスクロージャー(情報開示)」は、企業が法令や規制に基づき投資家へ説明責任を果たすための行為であった。しかし現在、財務情報と非財務情報の境界は薄れ、開示は経営そのものを映し出すものへと変化している。
金融庁やSSBJ(サステナビリティ基準委員会)によるサステナビリティ情報開示の基準整備が進む中、人的資本やコーポレートガバナンスを含む情報を、経営戦略や人材・リスク・サステナビリティと結びつけて語ることが求められている。企業が何を目指し、どのような価値を社会に提供するのか。その一貫したストーリーが、投資家やステークホルダーからの信頼を左右する時代に入った。
この変化により、開示が“説明責任”ではなく社会との対話を通じて経営の方向性を共有する“価値共創の手段”となっている。
近年では、CFO・CHRO・CSOといった経営幹部が連携し、財務・人材・リスク・ESGを横断した情報開示戦略を構築する動きも加速している。開示はもはや経営の周縁業務ではなく、経営意思決定の一部として位置付けられつつある。
このような潮流の中で、企業が真に価値ある開示を実現するためには、制度対応や報告書作成の効率化にとどまらず、「経営と開示の一体化」という新たな発想が不可欠となっている。
本インサイトは、制度対応を超えたディスクロージャーのあり方を整理し、経営と開示を一体で捉える視点を提示するものである。