また、実際にMESを導入した企業の事例を見ると、QCD改善は当然として、新たに製造デジタル基盤やSCM高度化、経営基盤強化、Green、事業継続、AI Readyなど、2020年以降に出てきた新たなアジェンダが導入目的となっていることも分かっている。
グローバルのトレンドにも目を向けてみたい。世界最大級の産業展示会ハノーバーメッセ2025で開催された「MES Conference」では、エネルギー、AI、データ連携といったテーマが多数見られ、MESの重要性と、そこに求められる要素が増しているという発表が目立った。
特に注目されるMESの役割は、2つある。1つは「エネルギーフットプリントの最適化」である。エネルギーにかかるコストが高騰するなか、いわゆる4M情報(Man、Machine、Material、Method)と消費エネルギーの関係性を分析するなど、MESがエネルギーの省力化にも貢献できる例が提示されていた。
もう1つは「データドリブン実現のためのAI活用」だ。バックオフィスに比べて、製造現場でのAI活用はそれほど進んでいない。AI活用にはデータが欠かせないが、製造現場ではデータ収集及び整備ができていないケースが多いからだ。①データ統合、②データ調和、③データ配信、④データ使用量といった要素は、従来からMESに求められてきたものだが、AI活用においても重要であることが再確認された。
MES導入の費用対効果を検討する際には、工場のQCD改善効果だけではなく、サプライチェーンマネジメント(SCM)・エンジニアリングチェーンマネジメント(ECM)の観点、定性的効果を組み込むことが重要といえよう(図4)。