2024年元旦の能登半島地震以降、国内では2026年12月末までに震度6弱以上の地震が6回も発生している。内閣府も巨大地震に関する被害想定の見直しを進めるなど、巨大地震への備えの必要性が改めて示されている。一方で、銀行において地震発生に伴う被害を算出し、数値として開示している事例は、現状では海外大手金融機関を含めて見られない。
気候変動に伴う被害の算出に関しては、ようやく検証に必要なデータ整備が進み、一般企業も含めて事業への影響度も示されてきている。しかし、サステナビリティ経営を目指す企業が増えている中、地震大国である日本の企業としては、地震への対処は重要な経営課題であると考えられるものの、地震関連の開示義務は現状なく、地震関連の研究に関してはまだまだ初期段階にとどまっている。その理由は、一般的に地震リスクは「テールリスク(発生確率は低いが、ひとたび起きると極めて大きな損失をもたらすリスク)」に位置づけられ、加えてデータ制約の影響も大きいことから、問題意識があっても分析が進みにくいという背景があると推測される。
こうした状況下、アビームコンサルティングは、首都直下地震および南海トラフ巨大地震に関する被害想定内容に準じ、地震被害額の算出がどこまで可能かについて調査・検証を実施した。その結果、被害項目別での特定地点(特定物件)における地震被害額の算出可否を判断できるようになった。
本インサイトでは、特定地点における地震被害額の算出を起点に、銀行における貸出先の地震被害額の把握と、発生しうる損失をカバーするリスクヘッジ手段の概要について整理する。なお、今回の内容は、一般企業における本社や工場施設といった特定地点の地震被害想定への応用にもなるため、今後の参考にしていただきたい。