中長期計画策定業務の改革は、まず各事業本部の業務を可視化し、ボトルネックを明らかにした上で、EPM(企業業績管理)ソリューションであるAnaplanの導入を決定。システム導入においては、あるべき理想像を描くことが重要である一方、一度にすべてを実現しようとすると手戻りが発生したり、効果の実現までに時間を要する可能性がある。そこで、リスクを抑え早期に導入効果を得られるよう、対象業務を限定したスモールスタートとし、段階的に業務範囲を拡張していくアプローチを採用した。また、実際の業務を進める中で生まれる要望を柔軟に取り入れることで、DXの対象範囲を拡張し、業務の効率化と高度化を継続的に推進している。
STEP1:事業計画と財務計画を整合した中長期計画策定基盤の構築
Excelで作成している物件ごとの中長期事業計画と、財務の資金調達・返済予定をAnaplanへ登録し、事業計画と財務計画を整合させた全社のBS・PL・CFおよびKPIが参照可能な中長期計画策定基盤を構築。これまでは集計するだけでも多くの時間を要し、シミュレーションの実施はさらに負荷の高い作業であったが、基盤構築後はスピード感のある集計と柔軟なシミュレーションが可能な状況へと変化した。また、年1回にとどまっていた中長期計画の更新も、物件の事業計画が変更になった際には即座に全社計画への影響を確認できるようになった。システムの自動集計により企画部門の負荷が大幅に軽減され、経営層へのタイムリーな報告を実現。これにより、シミュレーションや戦略検討により多くの時間を充てることが可能となった。
STEP2:建築費上昇や景気後退時のリスクシミュレーション
中長期計画策定基盤の構築後、次に取り組んだのがリスク発生時への備えである。物件担当者が作成した事業計画に対し、建築費の上昇や景気後退による販売価格の低下、賃料下落などのリスクが発生した場合に、全社のBS・PL・CFへ与える影響を経営企画部がパラメータを入力するだけで瞬時に把握できる仕組みを構築した。
STEP3:新規取得見込み物件の計画精度向上
不動産事業は中長期ビジネスであるため、将来どれくらいの規模の土地を取得し、どのような開発を行い、いつ竣工するのか、それが全社の事業計画や財務計画にどのような影響を与えるのかを見据えた検討が重要となる。これまでも新規取得見込み物件の事業計画は策定していたものの、既存物件の情報がシステムで一元管理されたことで、既存物件の事業計画データ分析を活用した、より精度の高い新規取得見込み物件の計画作成を実現した。