中長期計画策定の業務改革および成長を支える経営インフラ高度化に向けたDX支援

東京建物株式会社
事例
  • 不動産・建設・住宅
  • DX
  • 財務会計/経営管理
東京建物株式会社

東京建物株式会社(以下、東京建物)は、2030年を見据えた長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を掲げ、事業を通じた「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立することを目指している。安定的な賃貸利益を基盤としながら、資本効率を意識したバランスの良い利益構成の実現を推進している。
安定的な成長を続ける一方で、物件数の増加に伴い、中長期計画策定業務の効率化が課題となっていた。さらに、企業としての成長をより高い次元で実現するためには、業務の高度化が喫緊の課題であった。
こうした課題に対し、同社へのACRES(不動産管理ソリューション)導入実績を持つアビームコンサルティングが2022年9月から支援を開始。プロジェクト全体の構想策定や業務課題の整理、システム導入までを1年で実現し、中期経営計画の基本方針である「成長を支える経営インフラの高度化」の為の基盤を早期に整備。その後の定着化と経営ニーズの変化に合わせた定期的な構想の拡張と見直し、着実なマイルストーン達成の為に現在まで伴走支援を続け度重なる業務の効率化と高度化を実現。

経営/事業上の課題

  • 中長期計画達成に向けた物件売却戦略や財務戦略検討の高度化
  • 建築費高騰や景気後退のリスク発生に備えたシミュレーションの実現
  • 中長期計画策定を行っている事業企画、経営企画部門の集計作業からの解放

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • リスク低減と早期効果創出を見据えたプロジェクト全体計画の策定と、関係者を巻き込んだ主体的な推進
  • デベロッパー業務・計画業務に精通したメンバーによる、関係部門ヒアリングを通じた業務可視化と課題整理
  • ソリューション特性を理解したメンバーによる、構想策定から導入までの一貫した支援

支援の成果

  • Anaplanによる事業計画・財務計画の一元管理により、事業計画の精緻化と財務計画の安全性を向上
  • 建築費高騰や景気後退による賃料下落などのリスク発生時における、全社数値把握とシミュレーションの実現
  • 中長期計画策定の早期化による、経営層の迅速な意思決定の実現

事業計画と財務計画を整合させた中長期計画策定業務の効率化と高度化

経営企画部では年1回、各事業本部から提出される物件別の中長期事業計画の集計、および資金調達、返済予定の財務計画を含めた全社のBS、PL、CFの中長期計画策定をすべてExcelで行っていた。
より戦略的かつスピード感をもった物件売却時期の検討や、売却時期の変更に応じた資金調達計画の見直しなど、事業計画と財務計画の整合を図りながら計画を柔軟に変更すること、さらには複数パターンの計画をExcelで管理・検討することに限界を感じていた。
また、増え続ける物件の事業計画を各物件担当者から事業本部の事業企画部、さらに経営企画部へとExcelでやり取りしていたため、全社数値の集計作業に時間を要し、経営層へのタイムリーな報告が難しい状況であった。
集計作業に多くの時間を要していた結果、中長期計画達成に向けた事業ポートフォリオの検討やシミュレーション、建築費高騰や景気後退といったリスクが全社数値に与える影響の分析など、本来企画部門が担うべき検討に十分な時間を割けずにいた。

こうした状況を改善すべく、中長期計画業務の効率化とこれまで実現できていなかった業務の高度化に向けた業務改革のパートナーとして、アビームコンサルティングを選定した。

リスク低減と早期効果創出を目指し、スモールスタートで段階的に業務範囲を拡張するアプローチを採用

中長期計画策定業務の改革は、まず各事業本部の業務を可視化し、ボトルネックを明らかにした上で、EPM(企業業績管理)ソリューションであるAnaplanの導入を決定。システム導入においては、あるべき理想像を描くことが重要である一方、一度にすべてを実現しようとすると手戻りが発生したり、効果の実現までに時間を要する可能性がある。そこで、リスクを抑え早期に導入効果を得られるよう、対象業務を限定したスモールスタートとし、段階的に業務範囲を拡張していくアプローチを採用した。また、実際の業務を進める中で生まれる要望を柔軟に取り入れることで、DXの対象範囲を拡張し、業務の効率化と高度化を継続的に推進している。

STEP1:事業計画と財務計画を整合した中長期計画策定基盤の構築
Excelで作成している物件ごとの中長期事業計画と、財務の資金調達・返済予定をAnaplanへ登録し、事業計画と財務計画を整合させた全社のBS・PL・CFおよびKPIが参照可能な中長期計画策定基盤を構築。これまでは集計するだけでも多くの時間を要し、シミュレーションの実施はさらに負荷の高い作業であったが、基盤構築後はスピード感のある集計と柔軟なシミュレーションが可能な状況へと変化した。また、年1回にとどまっていた中長期計画の更新も、物件の事業計画が変更になった際には即座に全社計画への影響を確認できるようになった。システムの自動集計により企画部門の負荷が大幅に軽減され、経営層へのタイムリーな報告を実現。これにより、シミュレーションや戦略検討により多くの時間を充てることが可能となった。

STEP2:建築費上昇や景気後退時のリスクシミュレーション
中長期計画策定基盤の構築後、次に取り組んだのがリスク発生時への備えである。物件担当者が作成した事業計画に対し、建築費の上昇や景気後退による販売価格の低下、賃料下落などのリスクが発生した場合に、全社のBS・PL・CFへ与える影響を経営企画部がパラメータを入力するだけで瞬時に把握できる仕組みを構築した。

STEP3:新規取得見込み物件の計画精度向上
不動産事業は中長期ビジネスであるため、将来どれくらいの規模の土地を取得し、どのような開発を行い、いつ竣工するのか、それが全社の事業計画や財務計画にどのような影響を与えるのかを見据えた検討が重要となる。これまでも新規取得見込み物件の事業計画は策定していたものの、既存物件の情報がシステムで一元管理されたことで、既存物件の事業計画データ分析を活用した、より精度の高い新規取得見込み物件の計画作成を実現した。

段階的に業務範囲を拡張 段階的に業務範囲を拡張
シミュレーションを用いた計画調整 シミュレーションを用いた計画調整

プロジェクト全体の構想策定から課題整理、DXの定着化までを変革パートナーとして支援

アビームコンサルティングは、プロジェクト全体計画の策定から社内外関係者との調整、業務可視化、ソリューション選定を経て、業務改革の定着化までを一貫して伴走支援した。

業務可視化においては、中長期計画策定に関わる各部門へのヒアリングを実施し、各部門でこれまで当たり前のように行われてきた多くの業務に課題があることを明らかにした。また、システム導入を前提とした理想的な業務のあり方を定義する際には、複数の対応案を提示した上で、それぞれの業務への影響、費用対効果、実現難易度の観点から整理。ソリューション選定では、各ベンダーへのデモ依頼の手配から選定に向けたディスカッションの推進までを担った。システム導入フェーズでは、開発の早い段階から小単位の実機画面や機能をセッションで確認し、その場で修正、または次回セッションまでに改善を行い再度確認するサイクルを回すことで、機能の認識齟齬による品質低下を防ぎ、手戻りを最小限に抑える手法を採用した。

業務を理解しソリューション特性を把握したメンバーが、東京建物の経営企画部を中心とした関係者と密にコミュニケーションを取ることで、状況の変化や要望変更にも柔軟に対応。中長期計画策定業務にとどまらず対象範囲を拡張し、業務効率化・業務高度化およびDX推進に向けた支援を継続している。

Customer Profile

会社名
東京建物株式会社
所在地
東京都中央区八重洲一丁目4番16号 東京建物八重洲ビル
設立
明治29年(1896年)10月1日
事業内容
オフィスビル・商業施設等の開発、賃貸・管理/マンション・戸建住宅の開発、販売、賃貸・管理/不動産売買、仲介及びコンサルティング、駐車場開発・運営/リゾート事業、物流施設開発事業、資産運用事業、海外事業
資本金
924億円
東京建物株式会社

2026年秋に「TOFROM YAESU TOWER」へ移転予定

2026年3月30日

  • 平松 隼

    Principal

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