荷主と物流受託者が共創で挑むリアルエンターテインメントの流通・物流改革

株式会社バンダイナムコエクスペリエンス/株式会社バンダイロジパル
事例
  • 交通・運輸・物流
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  • スポーツ&エンターテインメント
株式会社バンダイナムコエクスペリエンス/株式会社バンダイロジパル

バンダイナムコグループでアミューズメント事業を統括するバンダイナムコエクスペリエンスと、グループ物流を担うバンダイロジパル。バンダイロジパルは、アミューズメント事業特有の複雑な物流オペレーションを支えてきたが、「物流2024年問題」を背景に従来体制の維持に危機感を感じていた。そこで、物流機能だけでは解決できない課題に対し、両社は流通・物流構造や業務プロセスを見直すプロジェクトを発足。アビームは、物流改革の全体像整理から具体的な流通・物流施策への落とし込み、ロードマップ策定までを伴走し、SCM・物流・ITの知見を掛け合わせ、事業の持続的成長を支える全体最適型の物流構造への変革を支援した。

経営/事業上の課題

  • アミューズメント事業特有の複雑な物流オペレーションの維持が難しくなるという危機感を背景に、荷主・物流受託者が一体となって持続可能な物流構造への改革を進める必要があった
  • 抽出した課題を実行性のある改革施策へ落とし込むための知見や方法論が不足していた

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 抽出課題の再精査とサプライチェーン上流へのヒアリングを通じ、物流にとどまらない課題の連鎖を構造化
  • エンターテインメント業界の知見とSCM・物流・ITの知見を掛け合わせ、業界慣習・流通デザイン・業務・システムを一体で捉えた改革施策を具体化
  • 物流単体の改善ではなく、事業の成長と持続性を支える全体最適型の物流構造改革を構想し、実行ロードマップを策定

支援の成果

  • 属人的なオペレーションを見直し、荷主・物流受託者が一体となって持続可能な物流体制へ転換するための改革の実行
  • 物流改革をしなかった場合のリスクと、改革による効果を可視化することで、「運べない・稼げない・働けない」状態への危機感を共有。事業の継続と成長に向けた改革を加速
  • 11の改革テーマを基に、流通のリデザインやオペレーション改革を含む具体的な改革につなげ、持続可能な物流体制の実現を推進

プロジェクトの背景

物流維持の危機感を背景に、共同での改革に着手

株式会社バンダイナムコエクスペリエンス(以下、バンダイナムコエクスペリエンス)は、バンダイナムコグループでアミューズメントユニットを統括する企業である。一方、株式会社バンダイロジパル(以下、バンダイロジパル)はバンダイナムコグループの関連企業として、物流機能を担っている。バンダイナムコエクスペリエンスは、アミューズメント施設や業務用アミューズメント機器、プライズ品・物販を含むリアルエンターテインメント事業の企画・プロデュースを手がけており、バンダイロジパルとは荷主と物流受託者の関係にある。
近年、「物流2024年問題」を背景に、必要なタイミングで物資を安定的に届けることが難しくなるリスクが指摘される中、両社の危機感は高まっていた。特にアミューズメントユニットは取り扱う商材の幅が広く、特性も多様であることから、物流形態も複雑化していた。これまで、バンダイナムコエクスペリエンスからの依頼内容の形式のばらつき、情報不足などは、バンダイロジパルが現場での属人的な対応や調整により吸収し、運用を維持してきた。しかし、こうした体制では、将来的に事業の継続が困難であることは明らかであった。物流網が滞れば、リアルエンターテインメントの要である店舗運営や顧客体験にも直接的な影響を及ぼしかねない。こうした課題認識の下、両社は経営層の合意を得て、共同での物流改革に着手した。
「最初はバンダイロジパル側から業務のやり方を変えていこうと考え、サプライチェーンマネジメントに関する提案を準備しました。ですが、バンダイナムコエクスペリエンスはゲームセンターをはじめとするアミューズメント施設に加え、物販店舗・IPイベント企画など幅広い事業を展開しています。理想像を描くだけでは実現できないため、単なるコスト削減や責任の押し付け合いではなく、両社が一体となって業務の根幹から課題を明らかにし、負担を伴う施策であっても取り組んでいく必要があると気づきました」とバンダイロジパル ソリューションセールス統括部 アミューズメントサポート部 ゼネラルマネージャー 内藤 拓氏は語る。
バンダイナムコエクスペリエンスにおいても、事業の多様化が進む中で現場負担が増大しており、業務の最適化が大きな課題となっていた。「私たちも、バンダイロジパルへの業務依頼の方法が統一されておらず、非効率であることに気づきました。また、受託業務や積載効率などへの理解が不足していたことも改めて認識しました。業務効率化にとどまらず、事業継続のインフラである物流を守り、発展させるため、互いの理解を深めながら課題を共に解決していこうと決めました」とバンダイナムコエクスペリエンス アミューズメント事業ディビジョン 第1アミューズメント事業部 マシンマーケティング課 マネージャー 秋山 雅明氏は話す。

株式会社バンダイナムコ エクスペリエンス アミューズメント事業ディビジョン 第1アミューズメント事業部 マシンマーケティング課 マネージャー 秋山 雅明氏

アビームの有する知見と伴走力に、物流業界において『当たり前に果たすべき要件』を掛け合わせることで、アミューズメント物流の新たな『当たり前』の確立に、共に挑戦していきたいと思います

株式会社バンダイナムコエクスペリエンス
アミューズメント事業ディビジョン
第1アミューズメント事業部
マシンマーケティング課
マネージャー
秋山 雅明氏

事業継続を脅かす構造課題

アビームの選定理由

ソリューションありきではなく、サプライチェーン全体を俯瞰した構想力と実行力、業界知見を評価

両社は、持続可能な物流構造への転換を目指しプロジェクトを発足した。両社のメンバーが議論を重ね、メールや電話によるアナログな依頼業務をデジタル化するという方針を決定したものの、その先の具体的な取り組みや全体像を描くまでには至らず、第三者であるコンサルティング会社の支援を受けることとなった。
「各事業が抱える課題の可視化に取り組みましたが、部署ごとに理解度や課題認識の粒度にばらつきがありました。その結果、挙げられた課題は240件近くに上り、中には課題とは言えないものも含まれていました。これらをどのように整理し、事業貢献につながる改革に昇華させるべきか悩み、このままではあるべき姿を描き切れないと感じました」(秋山氏)。
一方で、両社には「コンサルティング会社に依頼すると、特定のソリューション導入を前提とした提案を受けるのではないか」という懸念もあった。そうした中で複数社から提案を受け、検討を重ねた結果、アビームコンサルティングをパートナーとして選出した。「アビームの提案は特定のソリューションありきではなく、既存の業務プロセスや業界特有の慣習に深く切り込み、サプライチェーン全体を俯瞰しながら物流改革の全体像を整理・具体化していくという内容でした。単なる課題整理やシステム導入提案にとどまらないアプローチであり、私たちが抱いていた疑念を払拭し、信頼できると判断しました」(内藤氏)。

改革の必要性 環境変化|取り組んでいく領域

アビームの課題アプローチと提供価値

抽出課題の精査と詳細ヒアリングにより真因を捉え、段階的な改革推進へ

2025年6月から9月にかけてアビームが参画し、課題の真因特定や改革テーマの設定、そしてロードマップの策定に取り組んだ。
抽出された課題を詳細に分解・精査した結果、上流の業務課題が下流工程に影響を及ぼしていることが推察された。そこで、ヒアリング対象をサプライチェーン上流工程にまで拡大し、課題の真因を特定していった。
プロジェクトにおいて難易度が高かったのは、アビーム参画以前に両社のみで実施していた現状整理や抽出課題について、認識や解像度にばらつきがあり、精度を高めながら全体のレベル感を統一していく点であった。「業務を理解している社員が部門内でも分散し、担当者ごとに説明内容も異なる状況でした。そこで、アビームに課題整理をワンストップで担ってもらい、体系的に整理していきました。その結果、部門内でも分断されていた業務フローが一連の流れとして可視化され、事業ごと・部門ごとに業務の進め方が異なっていたことも明確になりました。」(秋山氏)。
アビームは、荷主の各部門や倉庫・店舗の現場担当者をはじめ、ゲームセンターを訪問する作業員、マシンの修理・メンテナンスを行う技術者に至るまで幅広くヒアリングを実施し、物流に関わる業務の課題を丁寧に把握した。加えて、バンダイナムコエクスペリエンスの本社に半常駐する体制を整え、プロジェクトメンバーが必要なタイミングで随時コミュニケーションできる環境を構築。物流・業務プロセス・ITを多面的に理解した第三者として、全体最適の視点から議論をリードし、メンバー間の合意形成や信頼関係の醸成に大きく貢献した。
「これまで私が関与してきたプロジェクトでは、毎回のゴールが不明瞭になりがちでした。一方、今回のプロジェクトでは、課題ごとに適切な期日を設定し、アビームが客観的事実を基に可視化したテーマについて合意形成を行った上で、メンバー全員で解決策を決定していきました。通常であれば荷主側の主張に押される場面でも、アビームの知見と視座があったことで、荷主と物流受託者が全体最適を目指して対等に議論することができました。アビームが当事者意識を持って両社に伴走してくれた結果だと感じています。さらに、アビームの支援を通じて、荷主や関係者のモデルケースとなるプロジェクト推進方法を学べたことにも価値を感じています」(内藤氏)。

株式会社バンダイロジパル ソリューションセールス 統括部 アミューズメントサポート部 ゼネラルマネージャー 内藤 拓氏

アビームの『サプライチェーン・物流に強い』ノウハウを生かし、バンダイロジパルが抱える課題の解決に今後も伴走してくれることを期待しています

株式会社バンダイロジパル
ソリューションセールス
統括部
アミューズメントサポート部
ゼネラルマネージャー
内藤 拓氏

改革テーマ例:補充ロット管理による店舗在庫の適正化

プロジェクトの成果と今後の展望

事業成長を支える11の改革テーマを策定。「共創」による物流構造改革へ着手

両社は本プロジェクトを通して、持続的かつ成長可能な流通の実現に向け、11の改革テーマと目指すべき物流体制を整理・策定した。併せて、現状における業務や物流の非合理性を定量的に可視化し、改革実行時の効果を明確化したことで、両社の改革推進に向けた意欲は大きく高まった。
「11の改革テーマを策定できたことは、大きな成果と捉えています。その中には、我々2社の取り組みにとどまらず、アミューズメント流通全体の在り方に関わる課題も含まれています。今後は業界全体を視野に入れた改革に取り組んでいく必要があり、これからが正念場だと考えています」(秋山氏)。
「物流2024年問題」が指摘される中、荷主と物流会社が共創して改革に取り組む動きは広がりつつある。一方で、荷主主導による改革では物流会社への要請にとどまりがちであり、複数企業による共同改革では、利害調整や継続的なコミットメントの確保が課題となるケースも少なくない。本プロジェクトでは、両社が対等な立場で課題と向き合い、相互に負担を分かち合いながら改革を進めることで、両社共同の取り組みとして推進する体制を構築できた。経営層から現場部門に至るまで幅広いコミットメントの下で進められた点に、本プロジェクトの大きな社会的意義がある。
「荷主・物流会社双方で高い評価を得ており、期待値も高まっていることを感じています。今後は改革を実行するフェーズとなるため、さまざまな課題も発生すると思います。しかし、あるべき荷主と物流会社の関係性を示す新たなモデルケースとなれるよう、両社で価値を創出していきたいと考えています」(内藤氏)。
今後両社は、11の改革テーマの中でも、まずは間接業務の改善による早期成果創出を図りながら、アミューズメント事業全体への貢献度を高め、持続可能な物流体制の実現を目指していく考えだ。

Customer Profile

会社名
株式会社バンダイナムコエクスペリエンス
所在地
東京都港区芝浦3-1-35
設立
2025年
事業内容
リアルエンターテインメント事業に関わる施設・機能・サービスの企画・運営・販売

会社名
株式会社バンダイロジパル
所在地
東京都葛飾区東四つ木4-42-5
設立
1963年
事業内容
3PL事業、国際物流事業

2026年8月4日

専門コンサルタント

  • 原田 健志

    Principal

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