ABeam DX Insight 第12回

DXタレント
~DX人材育成、3つの成功要因と育成体系~

2021年7月8日

菅田 一基

戦略ビジネスユニット
執行役員 プリンシパル

 

DX人材の育成は多くの企業にとって大きな課題となっており、企業ごとにデジタル変革に向けて必要となる人材モデルを定義し、独自の育成計画の立案・実行に取り組んでいる。DX人材育成は、テクニカルな知識や経験の習得に傾きがちではあるが、その目的を踏まえると、おさえておくべきポイントが見えてくる。

DX人材育成の目的をあらためて確認すると、以下の3つに整理することができる。そして、それぞれの目的に沿って、対象となる層や成功要因が整理される。

図1 DX人材育成の3つの成功要因

図1 DX人材育成の3つの成功要因

① DXの目利き力・未来創造力の強化 → デジタル×リアルの経営環境を俯瞰する力をアップデートする
デジタルビジネスの潮流・進化するデジタル技術の動向を把握し、ビジネスに与える中長期的な影響を分析・洞察する力を身につける教育が必要になる。例えば、次世代リーダーを集めてデジタル変革に関する改革プログラムを検討するプロジェクトを立ち上げることなどが想定される。

②デジタル変革リーダーの育成 → DXのパートナーと共に変革に取り組み、日々の仕事で活きる実践知を獲得する
座学で終わらせず、実際に現場でのデジタル変革を実践することで、デジタルを自分の力とし、日常に組み込む教育が必要になる。例えば、デジタルを活用した新規事業開発において、企画、PoC(概念実証)、ローンチまでの過程において、変革に必要なスキル・マインドセットを体得し、次に活かせる実践知を獲得させることなどが想定される。

③ 共通言語となるデジタルリテラシーの強化 → デジタルリテラシーを全社員の共通言語にする
これからの業務の基礎となるデジタルデータを読み解き、自らの業務課題を解決する方法や、デジタルツールを活用した問題解決力を磨く教育が必要になる。例えば、最新技術などの特定の使い方を学ぶよりも、変化しても変わりにくい本質的な考え方、理論、原理原則を学び・実践するプログラムなどが想定される

つまり、DX人材の育成を成功させるためには、テクニカルな知識経験の習得だけでなく、未来を構想し、日々の業務の中で変革に取り組み、全社員にとってデジタルを身近なものすることがポイントとなる。さらに、育成を成功させるためには、DXというテーマを定期的な研修メニューの一つとして組み込むだけでなく、OJT、個人のキャリアプラン設計、評価体系などとも連携させながら全社の変革プログラムとして取り組むべきではないだろうか。

図2 DX人材育成体系の全体像

図2 DX人材育成体系の全体像

社内のDX人材育成の目的を再確認し、対応する育成体系を整備することで、内部人材の力量が向上するという効果だけでなく、成長するプログラムがあることを訴求することで、外部のDX人材を引きつける要因にもできる。DX推進部門だけでなく、人事や人材開発部門と連携して、あらためてこれまでの育成計画を見直してみてはどうだろうか。

ABeam DX Insight

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