生成AIの活用領域は、業務プロセスへの組み込みへと広がり、AIトランスフォーメーション(AIX)が本格化しつつある。全社的なAIXの加速、投資最適化、統制を目的として、AI CoE(Center of Excellence:中核組織)を立ち上げる企業も増えている。なお、本稿では生成AIを含むAI全般を「AI」と表記する。
本連載(全4回)では、AI CoEの立ち上げから実行に至るまでのアプローチについて解説する。第2回で取り上げるのは、全社戦略と整合したAI戦略の策定と実行の要諦である。
多くのAI CoE責任者が直面しているのは、「戦略は策定した。しかし、半年後にはAI技術も現場のテーマも変わっていて、戦略が実態と合わなくなる」という問題である。技術や事業環境の変化が加速する中、企業には変化を前提としてAI戦略を設計し、実行状況や環境変化に応じて見直し続けることが求められている。しかし、その見直しを人手だけで継続的に回し続けることは容易ではない。
こうした課題に対し、当社が支援する一部の先行企業では、AIを変革施策の実行手段として活用するだけでなく、AI CoEの運用そのものにも組み込み、情報の収集・構造化や戦略見直しの支援に活用する取り組みが始まっている。
本稿では、AI戦略において変わらない「変革ゴール・KGI」と、見直し続ける「重点アジェンダ・KPI・施策」を分けて設計し、後者をAI CoEがAIとともに回し続ける「AI戦略の動的運用」の考え方を整理する。また、その実現に向けてAI CoE自身にAIを組み込むアプローチについても考察する。