一般的に、販売現場には「目の前の売上へのこだわり」という強烈なDNAが刷り込まれていることが多く、ゆえにメーカー/本社がいくら「リカーリングビジネス転換だ、顧客基盤が大事だ」と言っても、従来の行動原理への粘着性やそれを変えようとすることへの抵抗力が働くケースが散見される。そうした状況下でリカーリングビジネス転換を実現するためには、顧客と相対する現場において、彼らの行動原理を変えるレベルまで妥協無く踏み込んでいくことが求められる。具体的には、顧客との中長期的な関係性構築を是とする評価制度の改訂やKPIの見直し、デジタル支援ツールの導入などが挙げられる。リカーリングビジネス転換の成功に向けては、前述の変革の旗手たる現場リーダーの巻き込みといったソフト面の支援に加えて、社内の仕組みというハード面の変革にも取り組むことが求められるのである。
以上から明らかなように、リカーリングビジネス転換は、単なるモノの売り方や課金の変化ではなく、自社のビジネスモデルとそれを実現する企業自身の体質の変革に取り組むことでもある。そこで重要なのは、顧客との接点である販売の最前線を主役とする逆ピラミッド構造の組織、販売の最前線である顧客接点での顧客体験と従業員体験の連鎖、およびそこから得られる顧客の声を還元できる組織連携体制である。これらの取り組みは、一朝一夕で成し遂げられるものではなく、粘り強く継続的に実施していく必要がある。
そのため、アビームコンサルティングでは、顧客接点の変革だけではなく、ビジネスモデルの変革や人事・組織領域の改革実績・知見を活かして、これらのチャレンジを伴走型で支援していきたいと考えている。