日本ゴルフ協会は、日本のアマチュアゴルフを統括する公益財団法人であり、ゴルフの健全な発展と普及を図り社会に貢献することを目指す組織である。
日本のゴルフ人口は減少傾向にあり、2001年には1,340万人いたゴルフ人口は、2018年には670万人まで減少している。
このような中で、ゴルフ人口の減少を食い止め、ゴルフ業界を成長させていくことが、業界全体の喫緊の課題となっており、日本ゴルフ協会はこの課題の解決の一翼を担おうとしている。
ゴルフ業界の成長に向けて、新たにゴルフを始めてもらう/継続し続けてもらうための施策を考えるにあたり、日本ゴルフ協会では、まずは幅広い年代のアクティブゴルファーとノンゴルファー(離脱ゴルファー含む)の約4千名を対象に調査を実施することで、顧客理解に取り組み、我々もその支援をさせていただいた。
調査を通じてアクティブゴルファーを年代別に見てみると、10代:2%、20代:5%、30代:10%、40代:13%、50代:21%、60代:23%、70代以上:27%、という結果となった。
ゴルフというスポーツの特性として、幅広い年代の方が楽しめる趣味である一方、ゴルフを楽しむためには一定程度の金銭的・時間的なゆとりが必要になってくるという側面もあり、ゴルファーの年代別の割合をみると50代以上が70%を超える状況となっている。
こうした調査結果を解釈するときに重要なのは、「静的な状態として捉える」のではなく、顧客の様々な「動的な変化の結果として認識する」ことである。
50代以上のゴルファーが大多数を占めることから、一見、ゴルフはシニアマーケットを中心として考えるべきかのように見える。しかし、現役でゴルフを楽しんでいる50代以上の方のゴルフ歴を見ると、50代以降にゴルフを始めた人の割合よりも、40代以前から始めた人の割合の方が高い。例えば、女性の現役ゴルファーの実に約半数は25~34歳の時にゴルフを始めている。50代以降でゴルフを楽しんでもらうためには、それよりも前のライフステージでゴルフを始めてもらう必要があるということだ。
つまり、ゴルフというスポーツは「初体験から数十年後にプレーやレッスン、道具などへの時間・金銭の投資がピークを迎えやすいコンテンツ」という特性を持ち、「若い頃の体験が後の人生における継続と密接に関わっている」のである。このピークを迎えるまでに長い期間を要するように見えるものの、実際には30~40代で家庭をもち、趣味に使える時間が減ることでゴルフに接する時間が少なくなる、といったライフステージ上の影響を大きく受け、どうしてもゴルフとの心理的な距離が生じやすい期間が存在する。