リース契約手続きのデジタル化と業務プロセス再設計により、生産者の利便性向上と農業経営支援を高度化

JA三井リース株式会社
事例
  • リース・クレジット
  • DX
  • CX(マーケティング/セールス/サービス)
JA三井リース株式会社

JA三井リース株式会社(以下、JA三井リース)は、農業機械や生産設備のリースをはじめ、賃貸事業・割賦販売事業・各種ファイナンス事業を展開する総合リース会社である。同社では、中期経営計画「Sustainable Evolution 2028」の重点施策「DX戦略の加速」を掲げ、地域農業の持続的発展と生産者の経営支援を実現するため、顧客接点そのものの在り方の見直しに着手した。
25年5月よりアビームコンサルティングが支援を開始し、農業生産者向けリースサービス「農業かんたんサポート」の申込から契約までの手続きを紙・対面中心からWebへと移行し、顧客接点全体の変革を推進。デジタル化によって創出されたリソースを付加価値の高い経営支援へ再配分することで、従来の設備提供中心のビジネスから、農業経営に寄り添う支援へと進化させ、地域活性化への貢献を目指している。

経営/事業上の課題

  • 申込・契約手続きが紙・対面中心であり、生産者の利便性向上に向けた手続きのあり方の見直しが求められていた
  • 営業担当者が申込・事務対応に追われ、本来注力すべき生産者への経営支援まで手が回らない状況にあった
  • 担い手の減少が進む中、生産者を持続的に支援するための業務・顧客接点の変革が求められていた

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 申込から契約に至る顧客接点と業務プロセスを、非対面を基本として一体で再設計
  • 営業負荷の軽減に向け、事務対応を本社へ集約する形で設計
  • 紙・対面前提の手続きをWeb化する申込基盤の高度化まで伴走し、現場で使われ続ける仕組みとして定着

支援の成果

  • Web申し込みの活用が進み、生産者が時間や場所に縛られずに申込・契約できる環境の利用が拡大した
  • 事務手続きの本社集約により契約までのリードタイムを短縮し、迅速な農機導入を実現
  • 営業担当者に創出された余力を提案活動へ再配分し、生産者への経営支援価値を向上

クライアント課題の難所

属人化した業務プロセス、組織横断での合意形成、価値提供モデルの再定義という三つの構造的課題への同時対応が求められた

デジタル化の進展を踏まえた顧客接点の見直し、営業が本来注力すべき経営支援への時間確保、担い手減少を見据えた持続的な支援基盤の変革――JA三井リースはこれらの課題に直面していた。それらはいずれも、単なる業務効率化やデジタル化では解決できない構造的なものであった。

本取り組みにおける難所は、大きく三つあった。第一に、農業分野特有の複雑な業務パターンとステークホルダーの多さ。第二に、営業・企画・審査・バックオフィスなど複数部門にまたがる組織横断での合意形成。そして第三に、環境変化を踏まえた価値提供モデルの再定義である。単なるシステム導入や業務改善ではなく、業務・組織・顧客接点を一体で変革する必要があった。

従来、申込・契約手続きは地域ごとの慣習や補助金制度の影響により、属人化された業務プロセスで構成され、営業担当者は申込や事務対応に追われ、本来注力すべき経営支援や提案活動に十分な時間を割けずにいた。その結果、営業も現場に寄り添った支援を十分に行えず、顧客接点の利便性と提供価値の双方に課題を抱えていた。

加えて、農業分野では人手不足や高齢化が進行し、生産者一人ひとりへの支援の質の維持・向上が重要なテーマとなっていた。そのため、利便性向上や業務効率化で創出されるリソースを、より付加価値の高い経営支援や提案活動へ再配分することが求められていた。これは単なる業務改革ではなく、農業を支える価値提供モデルそのものの見直しを伴う取り組みであった。またステークホルダーは営業だけでなく企画部門やバックオフィスにも及び、役割や重視する観点が異なる中、全体最適の視点で目指す姿を共有し、合意形成を図る必要があった。

これらが重なり合い、業務プロセスの再設計、部門横断での意思統一、価値提供の見直しを同時に進めることが、本取り組みの本質的なテーマであった。
アビームコンサルティングは、「農業を支え続けるためにどのような価値を提供すべきか」という本質的な問いに向き合い、部門横断での全体最適に向けた構想策定と実行推進を担うパートナーとして、従来の延長線上では実現できない変革を牽引すべく選定された。

プロジェクトの重要成功要因

顧客接点・業務・組織の一体的な再設計と、提供価値を起点とした全体最適での変革推進

本プロジェクトの重要成功要因は、申込・審査・契約といった手続きを個別に改善するのではなく、一連の流れとして捉え直す設計思想にある。顧客接点全体を起点に業務・組織・ITを一体で再設計し、利便性向上と業務高度化の両立を図った。部分最適に陥らず、提供価値から逆算して全体像を描いたことが、変革の方向性を具体化する鍵となった。

第二に、営業・審査・事務といった立場の異なる関係者が、「生産者の利便性向上」と「業務効率化」という共通の目的を持ったことである。単なる役割調整にとどまらず、変革の意義と目指す価値を組織全体で共有することで、個別最適を超えた意思決定が可能となり、複数部門にまたがる変革を前に進める基盤となった。

第三に、構想を理念で終わらせず、具体的な施策へ落とし込んだことである。Web申込への完全移行に加え、シミュレーション機能やFAQ、入力ガイドといったサポート機能を整備し、生産者が実際に利便性を体感できる状態をつくった。具体的な利用シーンまで踏み込んで設計したことで、変革は実効性を持つものとなった。

そして、業務効率化そのものを目的とせず、そこで生まれる時間やリソースを付加価値の高い支援へ振り向けたことである。営業が生産者に向き合う時間を創出し、経営支援の質を高めることで、DXは単なる効率化施策ではなく事業変革へと発展した。効率化の先に価値創出を据える視点が、持続的な変革を支えている。

アビームの貢献

生産者価値を起点とした顧客接点・業務・組織の一体変革を、構想策定から実装・現場定着まで一貫して支援

アビームコンサルティングは、業務単位の改善に陥らないよう、生産者の利用体験を起点に申込から契約に至る顧客接点全体を再定義。これに基づき、属人化されていた業務プロセスや役割を見直し、顧客接点・業務・組織を一体で再設計することで、利便性向上と業務高度化を両立する変革を具体化した。

複数部門にまたがる調整が不可欠な本変革においては、単なる調整役にとどまらず、「生産者への価値提供をどう変えるか」という軸で関係者の認識を揃える役割を果たした。営業・審査・事務がそれぞれの立場を超えて同じゴールを共有できる状態を構築し、組織として全体最適で意思決定できる基盤を整えた。

さらに構想策定にとどまらず、Web申込への移行や業務効率化を支える仕組みの具体化まで一貫して支援。顧客接点の設計内容をそのまま業務・システムへ落とし込み、シミュレーション機能や入力支援といった具体的な施策に展開することで、利用者が実際に変化を体感できる状態を実現した。

そして導入後も現場で使われ続けることを前提に、運用改善や業務との整合を継続的に支援。効率化によって生まれた時間やリソースが、営業の提案活動や生産者支援といった価値創出へとつながるよう仕組みを定着させ、変革を一過性で終わらせない基盤を築いた。
今後も、デジタルを起点とした顧客接点の進化を通じて、地域農業の持続的発展と生産者一人ひとりに寄り添う価値提供の実現に向け、伴走を続けていく。


今回の取り組みは、2021年度から農業生産者との継続的な関係を構築するデジタルタッチポイントとして公式LINEの運営を開始しましたが、その延長としてのビジネスモデルの進化/DX戦略の加速(営業・業務DX)の一環であると捉えています。JAグループの一員として、農業生産者を持続的に支援していくこと、それを実現する社内基盤・体制の変革は、紆余曲折はありましたが、アビームコンサルティングの細やかな支援も得てスタートすることができました。ただ、この取り組みは、第一歩を踏み出したに過ぎず、現場への定着はこれからです。今後も現場に寄り添いながら、生産者にとってより価値のある支援のあり方を進化させていきます。

営業第一本部農林水産部長
高田 朋志 氏

営業第一本部農林水産部長 高田朋志 氏

Customer Profile

会社名
JA三井リース株式会社
所在地
東京都中央区銀座8-13-1 銀座三井ビルディング
設立
2008年4月1日
事業内容
賃貸事業、割賦販売事業、各種ファイナンス事業、その他付帯事業
資本金
495億円
JA三井リース株式会社

2026年9月3日

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