資材調達改革BPRから実装・定着まで一気通貫で伴走し、業務効率化・標準化・ガバナンス強化を同時に実現するデジタル基盤を整備

株式会社INPEX
事例
  • 石油
  • サプライチェーンマネジメント
  • エンジニアリングチェーンマネジメント
株式会社INPEX

日本最大級の石油・天然ガス開発企業である株式会社INPEXでは、事業の多様化・高度化が進む中、資材調達業務において「業務効率化」「標準化」「ガバナンス強化」を目的とした抜本的な改革が求められていた。伝票やメールに依存した従来プロセスを見直すため、INPEXは資材調達改革(BPR)に着手し、その実行基盤としてCoupaの総支出管理(Total Spend Management)ソリューションを採用。アビームコンサルティングは、調達業務の非効率化や統制不足といった課題に対し、BPRによるTo-Be像の策定を起点に、Coupaの導入設計から稼働、ユーザー定着までを一貫して支援した。2025年2月には新調達システムが本番稼働を開始し、調達プロセス全体の可視化と高度化を実現している。

経営/事業上の課題

  • 約2,000社・3,800億円規模に拡大する調達を背景に、既存システムの制約・老朽化により全社横断での統制強化が困難
  • 品目カテゴリごとに職務分掌やシステム権限が設定され、柔軟性が低く複雑化していたため、組織改編や管理方針の変更に対応しづらく、全社横断での標準化が進んでいない
  • 増加する調達規模に対し、ガバナンス強化が急務となる中、今後10年以上の調達基盤を支えるデジタルプラットフォームの構築が求められていた

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 調達領域のBPRを起点に、全社で共通化すべき業務プロセス(To‑Be)を策定
  • 調達BPRで定義したTo-Be像を速やかに具現化するため、ERP刷新を待たず実行基盤(Coupa)を先行導入
  • トレーニングや運用支援を通じ、現場ユーザーへのスムーズな定着化を推進

支援の成果

  • 調達プロセスの可視化により、業務全体の効率化と標準化を実現
  • 承認フローや権限管理の統制により、全社レベルでのガバナンスを強化
  • 蓄積された調達データの活用により、戦略的な調達判断が可能となった

クライアント課題の難所

複雑かつ分散した資材調達プロセスの全社標準化と、早期実装を通じたデジタルトランスフォーメーションの実現

INPEXの資材調達業務は、世界約20カ国で展開される事業を背景に、取引先数・調達金額ともに非常に大規模かつ複雑であった。エネルギープラントは数千万点に及ぶ部品・部材で構成され、調達案件数も多く、従来はERPから出力した伝票をメールでやり取りするなど、手作業や属人性に依存した業務が多く残っていた。
こうした状況下で、業務効率化だけでなく、全社的な標準化やガバナンス強化を同時に実現する必要があった点が、大きな難所となっていた。さらに、事業の多様化とスピード化が進む中、将来にわたって通用する調達の仕組みを構築することも求められていた。
単なるシステム刷新ではなく、調達業務そのものを見直すBPRから着手し、複雑かつ統一されていない業務を整理した上で、全社共通の「あるべき調達プロセス」を定義し、それを実行基盤に落とし込む必要があった。この業務設計と実装をどう一貫して進めるかが、プロジェクト推進上の最大のハードルであった。

プロジェクトの重要成功要因

BPRで描いた「調達業務改革の設計図」をスピーディに実装し、早期の効果創出と定着を実現

本プロジェクトの重要な成功要因は、BPRで描いた「調達業務改革の設計図」を、構想段階にとどめることなく、実行基盤にまで早期にかつ確実に落とし込んだ点にある。INPEXでは、調達業務の現状分析を通じて課題を可視化し、あるべき姿(To‑Be)を明確にした上で、その内容を具現化する基盤としてCoupaを選定した。選定にあたっては、ユーザビリティの高さに加え、INPEXが掲げる資材調達の根幹となる思想とCoupa製品仕様との適合性、さらにAI活用をはじめとする将来的な拡張性が評価された。

加えて、ERP刷新に先行してCoupaを稼働させるという判断により、BPRの熱量が高い状態のまま新たな業務プロセスとシステムを立ち上げ、改革を一過性の取り組みに終わらせることなく、実運用として定着させた。
この先行導入により、調達業務プロセス全体の標準化・デジタル化を早期に実現し、全社横断でのガバナンス強化とバイヤーの業務負荷低減を進めるとともに、Coupaを共通基盤としたサプライヤーとの連携強化を通じて、蓄積される支出データの精度と粒度を高め、データに基づく調達判断の高度化につなげた。

プロジェクト推進に当たっては、Coupaの標準機能を最大限活用することで、個別開発を抑制し、将来の運用・改善コストの圧縮にも寄与するとともに、購買申請から請求までのプロセスとデータを一元的に管理・分析できる基盤を整備できたことも大きい。さらに、ERP本稼働前から段階的に移行し、全社数百人の利用者が新たな業務・システムにあらかじめ習熟できる環境を整えたことで、利用者側の変化を前倒しし、複数システムの同時導入に伴う負荷や混乱を抑制するとともに、本番稼働前に業務・運用上の課題を顕在化させることが可能となった。これにより、一般的な「ビッグバン移行」による全社的な業務停止や切戻し困難のリスクを軽減した点も含め、Coupaの先行導入は、改革の定着、利用者の習熟、データ活用基盤の整備およびERP全体の移行リスク低減を同時に実現させることができた。

さらに、システム導入にとどまらず、ユーザー向けトレーニングやマニュアル整備、サポート体制の構築など、運用・定着フェーズまでを一貫して進めたことで、業務プロセスの標準化やガバナンス強化が実効性を伴って浸透した。構想・設計・実装・定着を切れ目なく進めた点が、プロジェクト成功の鍵となっている。

アビームの貢献

導入4か月で68%が効果を実感、早期定着と業務変革を実現した運用基盤

アビームコンサルティングは、INPEXの資材調達改革において、調達BPRの構想段階から定着に至るまでを一貫して推進し、 調達プロセスの可視化と統制を実現する仕組みの設計・実装に加え、業務全体の効率化および全社横断での標準化を実現した。
また、ERPとCoupaの双方に精通する知見を生かし、 ERP刷新に先行してCoupaを稼働させる方針のもと、調達BPRとの時間差を最小化し、関係者のモチベーションが高い状態のままシステム利用を開始できる環境を整備した。これにより、新たな業務プロセスの早期浸透と効果創出を後押しし、導入から4か月で68%のユーザーが効率化を実感する成果にもつながっている。
さらに、ユーザー向けトレーニングやマニュアル整備、サポートデスクの提供など、定着化に向けた施策を体系的に実施し、600名を超えるユーザーへのスムーズな展開を実現した。あわせて、承認フローや権限管理の統制を設計・実装することで、全社レベルでのガバナンス強化にも寄与している。
加えて、蓄積された調達データの可視化・活用基盤を整備することで、データに基づく戦略的な調達判断を可能とした。

今後は、調達データから得られるインサイトを調達戦略の策定に活用する仕組みづくりや、AIを活用したユーザビリティのさらなる向上に向けて、アビームは引き続きINPEXの調達基盤の進化を支援していく。


調達BPRからCoupaの導入・定着化まで、プロジェクト全体を通して私たちに伴走してくれたアビームコンサルティングには非常に感謝しています。『必ず成功させ、結果を出す』というプロフェッショナルとしての意識、コミットメントの高さに心から敬意を表します。今後は、Coupa内に蓄積される調達データを活用した調達戦略策定のためのインサイト抽出の仕組みづくりや、AIを活用したさらなるユーザビリティ向上の面でも、引き続きサポートしてもらえることを期待しています。

サプライチェーンユニット
サプライチェーン企画グループ
マネージャー
林 夏記 氏

サプライチェーンユニット サプライチェーン企画グループ マネージャー 林 夏記 氏

Customer Profile

会社名
株式会社INPEX
所在地
東京都港区赤坂五丁目3番1号 赤坂Bizタワー
設立
2006年4月3日
事業内容
石油・天然ガス、その他の鉱物資源の調査、探鉱、開発、生産、販売及び同事業に付帯関連する事業、それらを行う企業に対する投融資等
資本金
2,908億983万5,000円
株式会社INPEX

2026年7月29日

専門コンサルタント

  • 今村 達也

    Principal

Contact

相談やお問い合わせはこちらへ