静岡鉄道株式会社

静岡鉄道株式会社

Customer Profile

会社名 静岡鉄道株式会社
所在地 静岡市葵区鷹匠1丁目1番1号
設立 1919年5月
事業内容 鉄道・索道事業、不動産事業、附帯事業
(広告・ゴルフ場・リゾートホテル・介護・ビジネスホテル・カード)
資本金 18億円

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

グループ各社の間接業務の業務量を削減すべくシェアードサービスを導入。
業務品質向上に向けた取り組みを開始

静鉄グループでは生産性を向上させるために、グループ29社の間接業務を集約して、業務量の削減と業務品質の向上に取り組むことを決定。アビームコンサルティングをパートナーに選び、シェアードサービス導入プロジェクトを開始した。実施計画の策定と7社の1次導入はアビームコンサルティングの全面支援で実施。2次、3次導入は静岡鉄道が単独で導入を進めた。シェアードサービスセンターは2017年半ばから運用を開始し、対象会社を増やしながらサービスを提供、業務量20%の削減目標を計画よりも2年前倒しで実現した。その成果の上に静岡鉄道では業務品質の向上に向けた取り組みを加速させている。

プロジェクト概要

導入前の課題

  • グループ会社の間接業務の属人化の解消
  • 業務の重複排除による業務量の削減
  • 人材確保と人材育成

ABeam Solution

  • シェアードサービス導入コンサルティング
  • シェアードサービスに関する知見とノウハウ
  • 標準業務プロセスに沿った業務運用トレーニング

導入後の効果

  • 業務量20%の削減目標を2年前倒しで実現
  • 業務品質向上への取り組みを加速
  • ワーク・ライフ・バランス実現に向けた施策

Story

加藤 秀典 氏

デジタル技術を利用した改革が様々な形で始まっています。シェアードサービスでも利用できると考えているので、積極的な提案を期待しています

 

静岡鉄道株式会社
主計部 部長
加藤 秀典 氏

Story

プロジェクトの背景

シェアードサービス導入で業務量の削減と業務品質向上を目指す

 静鉄グループは、静岡県中東部を中心に交通、不動産、流通、自動車販売、レジャー・サービス、建設など幅広い事業を展開する企業グループである。2019年に創立100周年を迎えた同グループは、2021年度を最終年度とする中長期経営ビジョン「GT-100」に基づいて、「信頼され、選ばれる静鉄グループ」を目指し、顧客や地域社会
との信頼関係をより強固にしながら、地域の活性化や魅力ある街づくりに取り組んでいる。

 静鉄グループでは、GT-100の実現に向けて組織改革プロジェクトとワークフロー改革プロジェクトを設置し、グループ一丸となった改革に取り組んできた。「静鉄グループはBtoC事業が中心なので、労働力人口の減少で働き手の確保が困難になる中で、どのようにして事業を発展させていくかが大きな課題になっていました。そこで、ワークフロー改革プロジェクトでは業務の生産性を高めて、事業の推進力を向上させ、最終的には従業員のワーク・ライフ・バランスを実現することを大きな目標にしました」と静岡鉄道 主計部 課長 小田紀子氏は語る。そのための施策として、「仕事のやり方を変える」「働き方の選択肢を増やす」「グループで業務をまとめる」の3つを重点
的に取り組むことにした。

 静岡鉄道も含めて29社あるグループ会社にアンケート調査やヒアリングを行った結果、各社の間接部門で業務の属人化や兼務などが多く、人材育成も進んでいないといった問題点が明らかになった。さらにグループ全体で見ると、業務が重複して業務量が増えているという問題もあった。そこで各社の経理業務と給与計算業務をグループで1つに集約させるシェアードサービスを導入し、業務量を削減するとともに品質向上を図ることにした。

 

小田 紀子 氏

グループ会社から反対の意見が出たりして、悩むこともたくさんありました。その中で、アビームコンサルティングのアドバイスや提案を生かして、プロジェクトを完了させることができました

 

静岡鉄道株式会社
主計部 課長
小田 紀子 氏

Story

アビームコンサルティングの選定理由

グループ各社の理解を得る上で必須のシェアードサービス導入実績を評価

 静岡鉄道はワークフロー改革プロジェクトを実施するにあたり、パートナーとしてアビームコンサルティングを選んだ。そして、グループ各社の状況把握と経営課題の抽出を行い、シェアードサービス導入に向けた計画を立てていった。アビームコンサルティングを選んだ理由は大規模から中規模までシェアードサービス導入の実績が多かったこと、会計システムに対する知見があること、鉄道会社の業務をよく理解していることだった。「グループ会社の納得を得て、協力してもらえるようにしないと、シェアードサービス導入プロジェクトは完結しません。そのためシェアード化の目的や、シェアードサービスセンターの組織体制や要員計画などの実施計画を入念に立てる必要がありました。それにはアビームコンサルティングの豊富な経験や知見が大いに役立つと考えて、パートナーに決めました」とプロジェクトリーダーを務めた静岡鉄道 グループ経営推進室 室長 大賀了氏は説明する。

シェアード化の目的:SSCのミッション/役割

  • SSCは「グループ各社の業務の絶対量の削減」を実現するため、間接業務の集約を可能とする基盤の構築、維持・運営を主体的に推進し、静鉄グループの業務生産性の向上、事業活動推進力の向上に貢献することを目指します。
シェアード化の目的:SSCのミッション/役割

 その上で、グループ各社へシェアードサービス導入の説明を進めていったが、当初から予想していたように最大の課題は各社との合意形成だった。グループ各社の事業内容は鉄道だけでなく、バスやタクシーといった交通事業、流通事業、自動車販売事業、レジャー・サービス事業、建設事業など多岐にわたる。会社の規模も大小様々で、特に小規模の会社からは「コスト負担が重い」「間接業務を社外に出すメリットが分からない」という意見があった。そうした反発の声が上がることも予測されていたため、属人化の解消や対象業務の内部統制強化など、アビームコンサルティングから助言を受けていたシェアードサービス導入の効果を説明しながら丁寧に話し合いを進めていった。

 プロジェクト最大のポイントはグループ全体の最適化にある。しかしグループ各社は当然ながら、自分たちの会社を基準に個別最適で、メリット・デメリットを考える。「そこで、グループ各社にもメリットがあることを話していきましたが、アビームコンサルティングには一般的なメリットだけでなく、より踏み込んだ形で各社の事業特性に応じて出るだろうと予想される意見に対する回答も用意してもらいました。それに基づいて話し合いをしたので、私たちも自信を持って説明することができました」(大賀氏)。

シェアード化の目的:グループ会社のミッション/役割

  • グループ会社はルーチン業務に煩わされることなく、戦略性/固有性の高い業務に注力することにより、「信頼され、選ばれる静鉄グループ」の実現のために、業務生産性の向上、事業推進力の向上を図っていきます。
  • 各部署/従業員とのコミュニケーションは、日々のルーチン作業を通じて状況を把握するスタイルから、特定のテーマ/課題に対して能動的にアプローチするスタイルに変わっていくことを想定しています。
シェアード化の目的:グループ会社のミッション/役割

Story

プロジェクトの目標と推進する上での課題、解決策

アビームコンサルティングのコンサルタントが一緒になって課題を解決

 シェアードサービス導入プロジェクトは、静岡鉄道をはじめとする7社をパイロットとして、アビームコンサルティングの全面的な支援の下で1次導入を実施。残りのグループ会社は2次導入、3次導入と2つに分けて、静岡鉄道が自力で導入することにした。

 シェアードサービスはこれまで各社バラバラだった業務の手順を捨て、標準業務フローを作成して、新システム(パッケージ)に業務を合わせる必要がある。これを実現するため、アビームコンサルティングが他企業での経験も踏まえてパッケージの導入と整合性を取りながら標準業務プロセスを構築する進め方を提案。このアプローチに沿って標準業務プロセスの設計とパッケージの選定を行い、システムの設計と開発を進めた。「私自身は会計業務の経験はあったものの、プロジェクトメンバーに給与関係に詳しい人がいなかったので標準業務フローの作成に時間が掛かりました。仮にシステムを自分たちだけで導入しようとしたら、業務フローとシステムが乖離して使いものにならなかったかもしれません。アビームコンサルティングがパッケージベンダーと密接な関係を持ってフローを作り、タスクを推進したことで、計画通りのシステム導入が可能になりました」(小田氏)。

 シェアードサービスセンターの業務マニュアルも、アビームコンサルティングの提案でプロジェクトメンバーが1人で作成するのではなく、実際に現場で働く経理課の社員を巻き込んで業務ごとに作成した。「極端ないい方をすると、コンサルタントは静岡鉄道の社員ではないので、経理課メンバーは彼らの指示に従わなくてもよいわけです。そうした中で、アビームコンサルティングのコンサルタントの方々は、弊社社員とよい関係を構築しながらプロジェクトを進めてくれました。命令するような一方的な指導ではなく、社員と一緒に課題解決に取り組んでくれたことで、作業をスムーズに進めることができました」(大賀氏)。

 

大賀 了 氏

アビームコンサルティングのコンサルタントは会社の中に入り込んで一緒に課題を解決していこうという姿勢だったことが、プロジェクトが計画通り完遂できた大きな要因だと思っています。とても感謝しています

 

静岡鉄道株式会社
グループ経営推進室 室長
大賀 了 氏

Story

導入効果と今後の展望

業務量20%の削減目標を2年前倒しで実現、業務品質向上の取り組みを加速

 2017年7月に1次導入が終わった後、静岡鉄道では2次導入、3次導入に取りかかり、2019年半ばに導入を完了。グループ全体の会計業務と給与計算業務を行うシェアードサービスセンターの運用が始まった。「アビームコンサルティングの尽力で、1次導入の際に事業や業務内容を踏まえて、2次、3次も見据えた標準業務フローを作成していました。2次、3次導入では、それを基に発展させていけばよかったので、ほぼ計画通り進めることができました。私たちだけで導入しましたが、アビームコンサルティングが一緒にサポートしてくれているような心強い気持ちで実施することができました」(小田氏)。

 業務の効率化は、計画では2021年度に業務量20%削減を目標にしていたが、それよりも2年早い2019年度で20%削減を達成することができた。「業務ごとの時間を計り、一番時間が掛かっていた業務から優先順位をつけて業務量の削減に取り組んできました。業務フローの簡略化やBPOの活用など様々な施策も併せて実施し、前倒しで目標を達成できたのは大きな成果です。ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた第一歩といえるでしょう」と静岡鉄道 主計部 部長 加藤秀典氏は語る。

 業務量の削減目標を達成した静岡鉄道では、現在シェアードサービスのもう1つの目的である業務品質の向上への取り組みを進めている。様々な人たちが業務を担い、グループ各社の事業内容が異なることから、業務も求められるものが異なる。それをできるだけ標準化し、業務品質の向上を図っていくことが重要になる。デジタル技術を活用すれば、さらに生産性が向上し、業務の品質向上にもつながるはずだ。シェアードサービスの運用開始でワークフロー改革のスタートラインに立った静鉄グループは、デジタル技術の可能性も含め、業務の品質向上に向けた取り組みを加速させていく考えだ。

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