だが、営業部員にとっては、自身が長年かけて積み上げたノウハウを会社に吸収されてしまい、利点がないのではないか。成績優秀な営業部員はそんなふうに考えて、非協力的だったのではないだろうかーー。
「優秀な営業部員に対しては、社から『個人成績を上げることが、君のミッションではない』と明確に打ち出してもらいました。さらに単なる営業ではなく、会社全体の受注率向上をミッションとした『データドリブン営業企画部』を新設し異動してもらったのです。社の業績によって、その元営業部員を評価する制度も策定しました。また、サステナブルな経営管理プロセスにするために、営業部員による提案内容・結果を登録するシステムをつくり、登録に対する評価を可能とする制度も導入しました」
これなら社員のモチベーションは上がりこそすれ、下がることはない。しかし、こうした課題解決に至るには、コンサルタント側にもクライアントの経営課題、業務課題に対する深い理解力が求められる。
小宮は、各業界の業務プロセスについての“圧倒的な”理解度の高さと課題解決に必要なデジタルテクノロジーの目利き力が、アビームの強みと胸を張る。
アビームは、40年以上、さまざまな業種・業界の企業や組織のビジネス変革を支援してきた。業界に精通したインダストリーコンサルタントに加え、戦略からプロセス、テクノロジーまであらゆる変革テーマに強みをもつ、プロフェッショナルが、有機的にチームを編成し、企業の変革テーマを一気通貫で支援することができる。
コンサルティング業界にも時代の流れがある。以前は、主にはクライアント側が経営課題を設定し、その課題の解決に専門性を保有するコンサルタントが解決に貢献してきた。しかし、時代はより複雑化しており、また変化のスピードは各段に速まった。いまはクライアント側から「課題がわからない」と相談が舞い込むことも多いのだという。
小宮はその理由をこう分析している。
「アビームでは、クライアントとご一緒する際、クライアントの未来を想像し、課題の仮説を提示し、クライアントが何について悩んでいるのか、一緒に考えます。成功している企業のやり方をフレームとして当てはめるのではなく、その企業にとって重要な課題や成長の源泉は何かといったことに立脚して、実装まで伴走します。そうしたアビームのスタイルに共感いただいているからだと思っています」
最後に小宮は日本企業の経営者へのメッセージとして、こう締めくくってくれた。
「データドリブン経営」という言葉が一人歩きし、それ自体が目的化してしまうケースがあまりにも多いのが日本の企業の実状です。まずは、『データドリブン経営』という言葉から離れて、経営課題を特定し、分析目的を明確化することから始めるべきです。
少子高齢化のなか、オペレーションの自動化はますます進んでいくでしょう。シンギュラリティが訪れて、AIが意思決定の多くを代替することになっても、「何を意思決定すべきか」は、私たち人間が定義し続けていきたい。
すべての従業員が「私が意思決定すべきことは何か」これを定義できる人材であってほしいと思っています。
Promoted by アビームコンサルティング / text by Yuji Matsunaga / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro
本記事は「Forbes JAPAN web」2022.10.21 配信記事より転載