フォローアッププロセスは、いずれも評価から5年後に相互審査で指摘された不備事項に対する再評価が行われるのは同一ですが、その間の報告頻度が異なります。重点フォローアップは報告頻度が増えるなど、被審査国・地域にとって相応の負荷となるとされています。
一部報道では、この重点フォローアップを実質的不合格水準と報じています。とはいえ、FATF加盟国37カ国・地域のうち、2021年7月末時点で通常フォローアップは8カ国・地域のみという状況です(重点フォローアップは20カ国、審査結果未公表は9カ国・地域)※5。
重点フォローアップの中でも、低評価の条件に合致し※6、さらに1年間の経過観察期間を経て改善の進捗が見られない場合には、FATFのWebページ上で国・地域名が公表されます。所謂「グレー・リスト入り」と呼ばれるものです※7。
グローバルでは、このような国・地域はマネー・ローンダリングやテロ資金供与リスクの高い国と見做され、それらの国・地域に関連するビジネスや所在する企業や金融機関に対する審査に時間をかけることになります。結果として、取引が遅延する・場合によってはコストに見合わずに取引を回避する動きに至る可能性があります。このようなことから、FATFによる国・地域名公表は、その国・地域と関連する金融機関・企業等とのビジネス関係に直接影響すると言われています。
なお、第三次対日相互審査後のフォローアップの進捗が芳しくなかった日本に対し、2014年、FATFは、不備への迅速な対処を促す声明を発表しました。その後、日本は、第三次相互審査で指摘された不備事項への対応として、テロ資金提供処罰法・犯罪収益移転防止法等の改正・施行を経て、2016年に第三次相互審査のフォローアッププロセスを終了しました。結果、外圧を利用しその後の態勢整備状況の進捗を遂げたという成果を得た一方で、FATF声明発表当時は、グローバルにおける日本の態勢整備状況が疑問視され、本邦金融機関・企業等は一定のレピュテーションリスクに晒されました。