昨今、地球環境・資源への危機意識の高まりを背景に、世界的にサーキュラーエコノミー(循環経済)への社会的要請が一層強まっている。特に取り組みの進んでいる欧州では、サーキュラーエコノミー関連の法規制の整備が進められており、必要な対応を行わない企業については、SDGs経営をなし得ない企業として、欧州市場から締め出される可能性が非常に高い。欧州の取り組みはグローバルに広がっていく見込みであり、グローバルでビジネスを継続するためにサーキュラーエコノミーへの対応は必須といえる。
サーキュラーエコノミー実現に向けては、デジタル技術の活用がカギを握ることは言うまでもない。特に、製造業など製品を生み出す「動脈産業」と使用済み製品を回収し、再生利用や適正処分を行う「静脈産業」を繋ぎ循環を円滑に回すためには、デジタル活用によるトレーサビリティ(商品の生産から消費までの過程を追跡すること)の確保、さらに消費者の行動変容は欠かせない。
本インサイトでは、欧州をはじめとした先進的な事例をもとに、サーキュラーエコノミー推進におけるデジタル活用やトレーサビリティ確保、消費者行動変容に向けて、今製造業が取り組むべき対応について考察する。