2027年3月期からのSSBJ基準の段階適用、IFVI/VBAによるインパクト測定手法の最終化、Capitals Coalition傘下でのIVSB設立——インパクトを巡る「国際的な標準化」と「日本における制度実装」が、2026年に同時に動き始めた。「サステナビリティに関するリスクと機会の財務的影響」を開示することが、もはや任意の取り組みではなく経営上の必須要件となるなか、企業に問われているのは、もはや「測れているか」ではなく「測った結果を経営の意思決定にどう接続するか」である。
多くの企業が非財務指標を整備し、社会的インパクトを定量化し、統合報告書に開示する。それ自体は確実に前進している取り組みである。しかし、こうした努力を積み重ねてもなお、経営の意思決定の場で「企業価値にどうつながるのか」という問いに明確に答えられないという声が、実務の現場から繰り返し聞こえてくる。問題は、測定した結果を経営の仕組みの中にどう組み込むかという「実装」の設計にあるのではないだろうか。
2026年6月15日、アビームコンサルティングは、主催するインパクトバリューコンソーシアム(IVC)のセミナーを開催した。アサヒグループホールディングス株式会社Senior Managerの勝島宏信氏による実務報告、インパクト会計の国際標準化を牽引する非営利団体Value Balancing Alliance e.V.(VBA)CEOのクリスチャン・ヘラー氏による国際標準化の動向紹介、そしてアビームコンサルティングのエグゼクティブアドバイザーである柳良平氏によるラップアップコメントを通じて、インパクトと企業価値の接続をめぐる構造的な課題と、その突破口の輪郭が浮かび上がった。