上條:これから貸金業に参入する企業は、それに足る体制や業務プロセスを構築しなければなりませんが、その一部をBPOとしてFinatextに委託してサービスインすれば、参入までのリードタイム短縮につながりますね。
大澤:「BPaaS(Business Process as a Service)」とも表現されますが、業務プロセスそのものをクラウド経由で外部に委託する企業は、これからもっと増えてくると思います。当社グループがそれを受託できるのは、業務プロセスそのものを自動化するCrestを運営するプラットフォーマーであることに加え、1日数百件ものローン申し込みに対応する貸金の事業者でもあるという強みを持っているからだと言えます。
上條:個人ローンの中でも大きな残高割合となっている、住宅ローンも大きなテーマになりそうですね。
大澤:住宅ローンは大きいマーケットですから、当社としても必ず取り組みたいと考えています。ただ、個人ローンと比べると金額も大きくなります。スマートフォンで数分あれば手続き完了、というわけにはいきませんので、挑戦しがいのある分野です。
上條:「金利のある世界」「インフレの世界」の到来によって、ダムの水が放流されるように、預金・貸付ともに大量の資金還流が始まりました。変化に合わせて、金融機関も戦い方を変える必要があります。「金利で集めた預金は、金利で逃げる」と言われるように、金利での消耗戦にならないよう、各金融機関が独自の外部ネットワークを活用してエコシステム(地域経済・デジタル経済)を形成していってほしいと願います。
そのためにも、クラウド・SaaS・APIといったデジタルの力は不可欠です。その担い手として、既存のレガシーシステムに縛られない新しい金融デジタルイネーブラーが必要であり、Finatextはその舞台をけん引できる企業だと考えます。
今後さらに活用が広がると見込まれる組込型金融の分野を中心に、ぜひFinatextと我々の協働で新しいサービスを創出していきたいと考えています。具体的には、アビームコンサルティングが支援する都市銀行や地方銀行などの新事業企画において、よりスピーディーにサービスを実現するためにFinatextと連携することも考えられます。
さらに、そうして生み出されたサービスは、金融機関のみならず、今後、金融関連の免許を取得するであろう多様な異業種向けにも提供できると考えています。
当社は、コアバリューとして「同じ未来を見つめ、同じ成功を喜び合える『リアルパートナー』」を標ぼうしています。ぜひ、Finatextともリアルパートナーとして、日本の金融のSaaS化の促進、ひいては日本経済の活性化に寄与していきたいと思っています。
大澤:ありがとうございます。当社グループとしても、共に日本の未来を築く一翼を担えたらと願っています。