愛知県庁

海外スタートアップと愛知県内事業会社とのオープンイノベーションに向けたプログラム支援
事例
  • スタートアップ&オープンイノベーション

アビームコンサルティングは、愛知県の「グローバルスタートアップマッチングプログラム(通称Aichi Landing Pad 2024)」の企画・運営を支援しました。このプログラムは、愛知県内の事業会社と世界各国の有望なスタートアップをマッチングさせ、オープンイノベーションを促進することを目的としています。2024年度は「GX」と「マニュファクチャリング」をテーマに運営されました。アビームコンサルティングは、事業会社のニーズ分析や課題ヒアリング、スタートアップとの協業案の策定、海外スタートアップの募集・選定、ビジネスマッチングやPoCなどのフォローアップまで一貫して支援しました。

経営/事業上の課題

  • 愛知県内独自のモノづくり融合型スタートアップ・エコシステムの形成
  • 事業会社のオープンイノベーションに関する課題の抽出及びスタートアップとの協業案(ユースケース)の策定
  • 海外スタートアップと愛知県内事業会社のマッチングプログラム実施及び協業まで至る具体的なケースの創出

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 製造業を中心とする県内事業会社の課題をヒアリング。スタートアップに求めるニーズを明確にし、事業共創のユースケース仮説を策定
  • 国内外エコシステムと連携し、複数アクセラレータを組み合わせてソーシングを実施。策定したユースケースに適合するスタートアップを選定
  • Demoday、マッチングイベントを含む2週間の来日プログラムを運営し、事業会社とスタートアップのマッチング、フォローアップの伴走支援を実施

支援の成果

  • 自社課題に近いスタートアップが選定されたことにより、プログラムのDemoday/マッチングイベントに参加する事業会社が増加した
  • 事業会社とスタートアップ間における、具体的な協業やPoCに向けたより具体的なディスカッションが飛躍的に増加した

クライアント課題の難所

愛知県企業を取り巻く環境変化とスタートアップとのオープンイノベーションに関する課題

愛知県は自動車産業を中心とした製造業の一大拠点として日本経済を支えてきた。しかし、現在、産業界が「100年に1度」と言われる変革期に直面しており、自動運転や脱炭素化(EV化)、MaaSといった次世代技術への対応に加え、IoTやAI、5Gといったデジタル革新が急速に進展する中で、地域の経済基盤となる企業には新たなビジネスチャンスを掴むことが求められている。

愛知県の事業会社は、長年にわたり品質とコストの追求を最優先課題としてきたが、デジタル化やグローバル競争の激化により、既存事業の深化だけでなく、新たな事業領域への進出が急務となっている。こうした環境変化を受け、スタートアップとの共創を模索する企業が増えているものの、オープンイノベーションの実践にはまだ課題も多い。特に、海外スタートアップとの協業においては、事業会社とのマッチング後、協業が進まないという課題が顕在化している。

背景として、愛知県の製造業は、既存事業のオペレーション改善には強みを持つものの、新規事業の探索経験が乏しく、適切な協業戦略を描くことが難しいことが挙げられる。さらに、事業会社側が自社の課題を十分に言語化できないことが、スタートアップとの効果的なマッチングを阻害している。

一方、スタートアップおよびスタートアップ支援を担ってきたグローバルのアクセラレーターの多くは、投資や成長戦略支援が専門分野であるため、日本の製造業特有の事業文化や課題への理解が必ずしも深くない。結果として、事業会社のニーズを適切に捉えたスタートアップ選定が難しく、協業に発展しづらい状況が続いている。
これらの課題を克服し、持続可能なオープンイノベーションを実現するためには、事業会社の課題を正確に把握し、スタートアップとの協業プロセスを具体的な事業展開へとつなげる仕組みが求められていた。

プロジェクトの重要成功要因

製造業・スタートアップ双方への深い理解と事業共創に向けたユースケース策定

本プロジェクトの重要な成功要因の一つは、県内事業会社の課題を引き出し、スタートアップとの効果的な協業を可能にするためのプロセスを構築した点にある。製造業が中心の愛知県内企業にとって、これまで外部パートナーとのオープンイノベーションに取り組む機会は限られていた。そこで、事業会社が自身のニーズを正確に把握し、それをスタートアップに伝えることで、具体的な協業案(ユースケース)を描けるステップを仕組み化したことが成功の要因となった。

さらに、国内外のスタートアップエコシステムと連携し、愛知県の産業構造に適したスタートアップを的確に選定した点も重要だった。GXやマニュファクチャリングで強みを持つスタートアップをターゲットに設定し、事業会社の課題やビジネスモデルに応じたユースケース策定した上でスタートアップのソーシングを実施。両者のマッチングの質を大幅に向上させた。

また、プログラム全体を進行管理するプロジェクトマネジメント力も不可欠であった。事業会社とスタートアップ双方の期待値を調整し、イベントやPoC(概念実証)のフェーズまで一貫して支援したことで、協業の実現可能性を高めると同時に、成果を具体化するプロセスを構築した。これらの要因が相まって、スタートアップと事業会社との間で新たな価値を生み出す環境が整えられた。

アビームの貢献

課題解決と未来志向のエコシステム形成に向けた多層的支援

本プロジェクトにおいて、アビームコンサルティングは事業会社とスタートアップ双方の理解を基に、ユースケース策定からマッチングイベントの実施、マッチング後のフォローアップまで一貫した支援を提供。これにより、協業の実現可能性を高め、成果を具体化するプロセスを構築した。

特に、アビームコンサルティングの強みは製造業に関する深い知見と、業界特有の課題を理解した上での手厚い支援にある。単なる仲介役ではなく、事業会社のニーズを的確にヒアリングし、ユースケースの策定や協業に必要な要件定義を支援することで、スタートアップとのスムーズな協業を可能にした。

また、アビームのコンサルタントは、製造業やスタートアップなど多様なバックグラウンドを持つメンバーで構成されており、それぞれの専門知識を活かした総合的なサポートを提供。従来のアクセラレーターが不得手とする製造業の事業文化に即したマッチングや協業の推進を実現した点は、他のプログラムとの差別化要因となった。

アビームコンサルティングの貢献は、事業会社とスタートアップ双方に新たな可能性を提示し、具体的な協業事例の創出へとつながった。これは、地域の産業競争力を強化し、未来志向のスタートアップエコシステムを形成する一助となっている。

Customer Profile

会社名
愛知県庁
所在地
〒460-0001愛知県名古屋市中区三の丸3丁目1-2
設立
1872年
事業内容
地方自治体

2025年2月25日

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