株式会社豊通シスコム

豊田通商の海外現地法人向け基幹SAPシステム運用保守におけるグローバルリソースを活用した協調型アウトソーシングを支援
事例
  • 自動車
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  • アウトソーシング
  • グローバル

トヨタグループの総合商社として自動車関連材料・パーツ・完成車のみならず、食料品や繊維等の様々な商材を扱う豊田通商。そのIT子会社として多くの業務システムの構築・運用保守を手掛ける豊通シスコム社では、豊田通商の海外現法向けの基幹SAPシステムを構築・展開・運用しているが、グローバル向けシステムならではの課題認識からアビームコンサルティングを課題解決のパートナーとして採択し、運用保守業務の改善に取り組んでいる。

経営/事業上の課題

  • 海外現地法人向けSAPシステムにおいて、ユーザーと日本の保守チームとの間にある地理的・言語的な壁が起因となり、保守サービスに対するユーザー満足度が低下。その対応策としての課題分析が急務
  • 日本国内のSAP人材不足に伴い、運用保守体制のコストが高騰。コスト構造を見直した、保守運用サービス組織の再検討が必要
  • 顧客プロパー社員のSAP人材不足により、開発チームの案件推進力が低下。スムーズな案件推進のための計画策定が不可欠

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 海外現地法人向けSAPシステムの運用保守業務の海外移管を見据えた現行業務の棚卸、課題分析、移転先国の選定/評価、移管計画策定と移管支援
  • 運用保守業務の移管先国であるタイにおいて、顧客とアビームが一体となった運用保守サービス組織を組成し、サービスを実行
  • 開発チームに対しては、アビームシステムズの人材を活用したPM支援を行い、開発チームのニアショア・オフショア化に向けた計画策定を支援した

支援の成果

  • 業務の難易度を考慮した段階的な業務移管計画を策定し、リスクを最小化しながら業務移管を完遂した
  • タイの運用保守チームがユーザーとの接点を強化し、業務理解を深めるとともに、コストの最適化を図ったことでユーザー満足度が向上した
  • 開発案件全体のプログラムマネジメントを協同で行いつつ、難易度の高い重要案件についてPM業務を担当。顧客側PMの負荷軽減とプロジェクト全体のスムーズな案件推進に貢献

クライアント課題の難所

グローバルで使用されるシステムの運用保守サービスを如何に効率的且つ高品質にし、ユーザー満足度を高められるか

2004年から欧州現法を皮切りに10年以上に渡って各国への展開を続けている海外現地法人向けSAPシステム(WEST)の運用保守は、豊通シスコム社のリーダーシップの元、複数のSIベンダー要員から成る日本人チームによって行われていた。しかし、ロールアウトに関われるような英語力・業務知識を持つメンバーは展開プロジェクトに回され、残された運用保守チームと各国のキーユーザーの間には、次第に言語、ロケーション、時差に起因するコミュニケーション面・業務理解面での障壁が生じた。その結果、ユーザーからの問い合わせや変更要望対応に長いリードタイムが必要となり、表面的な回答しか行えないなどのサービス品質低下が発生し、ユーザー満足度が低い水準にとどまっていた。

アビームコンサルティングは2013年のWESTバージョンアップの支援から関与し、その後も機能拡張プロジェクトや欧州展開プロジェクトを遂行する中で、WESTシステムへの理解力とグローバル対応力を評価され、2015年から運用保守体制のあるべき姿の構想策定を支援することになった。

プロジェクトの重要成功要因

顧客の重要海外拠点を選択し、顧客と一体となった運用保守チームを組成

運用保守のあるべき姿の構想策定を進める中で、業務移転先国について複数の候補があがった。豊田通商のリージョナルHQがあるシンガポール、アビームコンサルティングのグローバルアウトソーシング拠点であるマレーシア・中国、そして豊田通商の大きなビジネス拠点であるタイなどである。最終的には以下の理由からタイを選択した。

1. ビジネス拠点としての重要性
豊田通商のビジネス的に最も大きい拠点であり、扱う業務が多岐に渡っている。ユーザーの近くに拠点を置くことで、業務理解が最も高まると判断した。

2. シナジーの創出
豊通シスコム社の関連会社であるToyota Tsusho Systems(Thailand)の人材を活用し、アビームコンサルティングThailandの人材と協働することで、シナジーを得られること。

運用保守業務の移管に際しては、当社独自のアビームメソッド定着運用方法論に従い、まず必要なドキュメントの棚卸と整備を行った。次に、ナレッジトランスファーを実施し、業務の理解を深めた上で、業務実施の際にはシャドーイングとリバースシャドーイングを行い、海外メンバーも訪日して直接学ぶ機会を設けた。

業務の難易度に応じて段階的に移管を進め、各フェーズでゲートチェックを行うことで、リスクを最小化しながら着実な業務移管を実現した。

アビームの貢献

グローバル体制での協調型アウトソーシングにより、満足度の高い、一体感と推進力のある運用保守を実現

タイへの運用保守業務の移管により、ユーザーとのコミュニケーションの円滑化に貢献すると同時に、運用保守に必要な情報が整理されたことで業務理解度が向上した。その結果、移管前は平均3.6点(6点満点)だったユーザー満足度が、移管後には4.0点に向上し、さらに運用の習熟が進むとともに近年では4.5点にまで向上した。特にユーザーと直接会話がしやすい豪亜極拠点においては平均5.0点を獲得している。
また開発案件のプログラムマネジメント支援においては、顧客と一体となったPMチームを組成し、現地法人との要件調整を含め、円滑な案件進行運営に貢献している。

Customer Profile

会社名
株式会社豊通シスコム
設立
2002年
事業内容
豊田通商グループ(単体/連結子会社)企業向けのシステム構築・運用・コンサルティングをはじめとした各種サービスの提供
資本金
3億1000万円
株式会社豊通シスコムロゴ

2025年3月3日

  • Taro Matsumoto

    Principal Head of Digital Technology Business Unit

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