ここまで、世界からインドに注がれている熱い期待や、実際にGCC(Global Capability Center、以下GCC)を戦略的に取り込むことで、欧米のエンタープライズやビッグテックがどのような成果を上げているのかについて触れてきた。同時に、日本企業がGCCを利用するうえで意識しておきたい点も共有してきた。
これまでインドは、人件費の手ごろさなどから、ITに関するオフショア開発拠点、コールセンターやバックオフィス業務を担うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を担う国として知られてきた。しかし現在は、企業変革のテーマに直結する価値創出サイクルをドライブする実働部隊GCCの中心的存在となった。今ではインド全土に、およそ1,800ものGCCが存在するが、これは世界中に存在するGCCの大半を占める。まずは、今やデジタル立国となったインドのイメージを、これまでの認識から更新しておく必要が来ていることを紹介した。
こうしたインドの躍進の背景には、政治的な安定や経済的発展、AIネイティブともいうべき高度IT人材の豊富さなどがある。アマゾンやグーグル、マイクロソフトなどのグローバル企業はいち早くこうした変化に着目して投資を進め、今やインドには、世界的な企業がこぞってGCCを置く。一時は自社でGCCを内製する動きも見られたが、拠点の維持管理、人材の確保や教育などの負担は大きく、今はインドにあるGCCとの共創が主流となっている。
グローバル企業が、世界中にある拠点の大規模な業務変革に取り組むなど、ベストプラクティスを積み重ねる一方で、日本企業の事例はまだ少ない。こうした現状を踏まえ、日本・アジア発で経営改革やデジタル変革を数多く支援してきたアビームコンサルティングは、長年のインドでの活動から得た知見を生かし、2015年の資本参加以来インドのアライアンス・パートナーとして関係を深めてきたOptimum Solutionsと協働、独自のGCCを2025年7月に開設した。
すでにインドで数多くのGCCが稼働し、それによって自社のイノベーションやトランスフォーメーションを推し進めるグローバル企業があるなかで、日本企業の取り組みが少ない理由は言語や商習慣、オペレーションの違いなどによるところが大きい。これを、アビームコンサルティングが磨いてきた異文化・異なる価値観を橋渡しし、双方の強みを最大限に活かすアプローチによって支援できるとの思いがここにはある。
同時にGCC活用を推奨する理由として指摘しておきたいのは、近年の急激なAIの進化だ。これまでのデジタルテクノロジーでは実現不可能だと思われた領域の変革も、AIによって実現可能性が高まり、およそ考え得る事業活動のすべてがその視野に入ってきた。こうした状況になった瞬間に、世界中で優秀なAI人材の争奪戦が発生、人材がひっ迫する状況となった。インドには、豊富なAI人材を抱えるGCCが数多く存在する。インドに対する期待が一気に高まった理由がここにもある。
日本企業もAIを活用した事業変革を急ぎたいが、自前でリソースを確保するには時間も資金もかかってしまう。こうしたなかで、日本企業のグローバル進出に伴走してきたアビームコンサルティングが立ち上げたGCCで、新たな価値創出に着手する好機をつかんでいただきたいと考えている。