1つ目は、「早期実行・差別化促進」である。早期に各処方箋を実行に移すことで、少子高齢化・電動化時代・不測の災害発生リスクなどの近い将来への備えを確実に行い、競合他社への競争力確保・差別化を促進する。
2つ目は、「ベーシックな現場力に注目したチェンジマネジメント」である。「守り」から「攻め」の意識改革でディーラーのチェンジマネジメントを推進し、成長とサステナビリティを共生させる。具体的にはトップが変革を実行する強い意志を持ち、その考えを全社員に共有すると共に、新しいことにチャレンジすることで評価される仕組み作りの実施が必要である。
3つ目は、「会社としてのマインドチェンジ」である。整備士に対する「人が第一」の意識を持ち、メカファーストの思考体系、マネジメント層への各種能力開発、モチベーションUP/リテンションのプログラムなどを進める。アフターサービスがディーラービジネスの基礎をなし、それを支える整備士のモチベーションがあって成立することへの理解を醸成することが必要である。
ここまで解説してきた通り、安心・安全な自動車社会の土台となる自動車アフターサービス業界の根本課題である「慢性的な人手不足」の解決に向けては、サステナビリティ改革を軸として「魅力・活力のある工場」を実現していくことが肝要である。一般的に、サステナビリティの向上計画は後回しにされがちであるが、基本に返る活動の優先順位を上げることが逆に成長を促進し、整備工場での高いサステナレベルは整備士のモチベーションの源泉になると考える。
しかし、その姿を実現していく道筋は平坦ではなく、実行の中で明らかになってくる実行上のボトルネックに対して、方向性を見失わないように対策を講じながら進めていくことが求められる。そのため、アビームコンサルティングでは、ビジネスモデル変革や人事・組織領域の改革実績・知見を活かして、これらのチャレンジを伴走型で支援していきたいと考えている。