昨今、新技術の発展に伴って多くのビジネスが誕生しているが、それらと並んで有史以来営まれてきた農業が、再び経営者をはじめとする多くのステークホルダーの関心を集めている。日本の伝統的な一次産業である農業は、バリューチェーンの川上に位置付けられる産業として生産過程などのトレーサビリティが求められているだけでなく、人口爆発による食料不足への解決策として、もう一方では環境破壊から守るべき産業としても、イノベーションが期待されている分野である。
本シリーズは、有史以来継続してきた古いビジネス形態、いわゆるレッドオーシャンである一次産業について、特に農業の持つ多面的な価値に着目して新たなビジネスの創出に向けたヒントを紹介する全3回のインサイトである。
第1回では、近年のビジネスの潮流であるESGと農業の関係性を考察する。第2回ではその潮流を踏まえて、農業のリ・デザインから見えてくる新たなビジネスを提案・考察する。第3回では、IT技術の発展によるビックデータ活用と農業を組み合わせたビジネスのあり方の考察を通じて、農業のような一次産業における次世代ビジネスのヒントを得ようと試みる。