これら3本の柱を具体的に説明すると、「実践する」には、組織の枠組みを超えた「E2E(End to End)横断改革活動」、ムダを排除すると同時に品質向上を実現する業務改革手法であるリーン・シックスシグマによる「BB/GB(ブラックベルト/グリーンベルト)活動」、ボトムアップでの改革活動である「MaLIO活動」などがある。「支える」には、生成AI活用、サービスマネジメントの取り組み、「PJ-Gaudi」と呼ばれる業務量と稼働状況の可視化施策による効率化、そして「育てる」には人材育成のためのさまざまな活動が含まれている。
「これらの活動をパイプラインでつなげ、一体的に取り組んでいます。また、活動で培った経験やノウハウを社内外に『伝える』ことにも重点を置いています。例えば、改革活動の表彰制度である『NBI Award』など、活動を盛り上げる機運づくりも実践しています」と話す。
実際に、NBIのこうした業務改革・高度化の効果は大きい。例えば従来の一般的なBPRでは、業務改革に際して業務調査に最も多くの時間と工数を割いていた。ヒアリングをベースに調査を実施した後に、ToBe設計、施策検討、効果算出などを行い、実行計画の策定へと進めていくのが通常の流れだ。だが、労力が多い割には改革の成果は限定的などの課題があった。これを「E2E横断改革活動」では、デジタル技術の活用によって省力化。余力をToBe設計、施策検討、実現性検証など、改革の核心に振り向けることができた。プロセス改革においても、これまでの部署単位・個社単位の最適化ではなく、業務を線で捉えながら部門横断、会社横断で業務を改善するアプローチに変更している。
また、「生成AI活用」では、「User Experience」(顧客体験)、「Operation」(業務改善)、「Platform」(データ・人材)の3つのレイヤー構造でユースケースづくりを推進している。
起点となる「User Experience」レイヤーでは、個々の顧客が担当している業務プロセスや困りごとをデータ化、パーソナライズされた対応を可能にするとともに、データを標準化して「Operation」レイヤーでの効率的な業務遂行や業務改革の高速化、柔軟な応受援態勢につなげている。
そして「Platform」レイヤーでは、「User Experience」「Operation」を支える基盤としてデータを蓄積、人材を育成する他、生成AIによって新たな改革施策の抽出を行うといった役割を担う。
生成AIは、継承が難しく属人的な技術や知見となりがちな暗黙知の社内共有にも活用されており、熟練者への生成AIによるインタビューで暗黙知を導き出し、それを体系化してナレッジとしてデータベースに保管。マニュアルなどには記載のない業務の知見がデータベース化され、属人化の解消につながっているという。
AI活用については、「NECが独自開発した大規模言語モデル『cotomi』、さらにはこれとChatGPTを組み合わせた社内向けの生成AIサービス『NGS』(NEC Generative AI Service)を展開し、積極的に活用を推進しています。こうして自社を実験場としてAIを活用することは、実績を上げたソリューションをクライアントに提供する『クライアントゼロ』のベースにもなっています」と語った。
「人材育成」では、デジタル人材重点強化施策として「インテリジェント化虎の穴」と呼ばれる短期間集中型のデジタルスキル習得プログラムを実施している。例えば、約1カ月(工数100%)で成果創出にこだわりテクノロジーを活用した課題解決に取り組むプログラムがある。これを新入社員向けに9日間に短縮した教育研修(猫の穴)も用意されている。受講者が体験しながらテクノロジーを活用できるハンズオン研修、テクノロジー活用事例を紹介する短尺の動画コンテンツなどにも展開している。
また、NBIでは業務改革手法リーン・シックスベルトの認定取得者の育成も行っており、認定取得者は2024年時点で累計147人に上っている。認定者による改善活動の改革効果創出は、500FTE※を越えるという。
これは、NBIが発足して10年間の財務効果で見ると累計237億円にも上り、NECグループの利益水準向上に大きく貢献するものとなった。今後もいっそうの成果を導き出すため、引き続きアビームコンサルティングによる支援に期待していると栗田氏は述べた。