本インサイトでは、拡大するブロックチェーン決済網と、その上で稼働するスマートコントラクトの自動執行を解説し、当社が金融機関・グローバル企業を支援して得た知見から、企業が描くべき次世代の経理像を示した。
従来型と比較し、スマートコントラクトの優位性は明快だ。自動化の境界を社内から社外(銀行・取引先)へ拡張し、稼働を24時間365日へ、そしてヒューマンエラーをルール駆動の無人化で最小化する。その結果、資金の流れは最適化され、経理リソースは高付加価値業務へ再配分できる。逆に、この潮流を見過ごせば、数年で競合の後塵を拝する結果となりかねない。バックオフィスの効率化は、もはや単なるコスト削減ではなく、成長と資本効率を左右する経営の中核課題である。いまこそ、企業自らがあるべき経理の姿を定義し、実装に踏み出すべきだ。
ブロックチェーン決済網の接続先選定も戦略である。例えばSwiftが構想する大規模・公共性の高いチェーンと、地域・業界コンソーシアム型の小規模チェーンでは、実現可能な自動化の範囲が異なる可能性がある。前者は多様な利害を調整するため機能は最小限だが普及度が高い。後者は参加者の要件に合わせ小回りの利く構成を取りやすい。現時点では、大規模チェーンでどこまでプログラム可能な仕組みを実装できるかは未定であり、商業銀行やステーブルコイン発行体が提供する小規模チェーンの方が、ゼロタッチ経理に求められる要件を取り込みやすい。自社の将来像に照らし、どのチェーンで何を自動化するかの方針決定が勝敗を分ける。
アビームコンサルティングは、国内外の金融機関・事業会社に対するクロスボーダー資金管理/DX支援で豊富な実績を持ち、銀行と企業の両視点から実装をリードしてきた。さらに、ブロックチェーン接続の要となるERPベンダーとの関係性も深く、協業実績も多数。スコープ設計から本番展開まで一貫して伴走支援する基盤がある。
ブロックチェーン決済網への接続と、ゼロタッチ化の実装をご検討の際は、ぜひご相談いただきたい。