杵勝会は邦楽とテクノロジーの融合として、フランス・アルルやパリでの国際公演、大阪・関西万博でのボーカロイドとの共演など、積極的に新たな表現を模索している。こうした活動になぞらえて、堅田喜三久氏は「文化は守るものではなく、生きるもの。変わり続けることでこそ、伝統は未来に残る」と語った。
「伝統とは、変化を止めない意志そのもの」。
この言葉は、企業経営にも通じると考えられ、事業構造や価値提供のあり方を変え続ける“動的な持続性”こそ、真の競争力を生む条件である。
クライマックスでは、三味線五挺・唄五名による「勧進帳」が披露された。この曲は、歌舞伎の名作『勧進帳』の場面をもとにした長唄で、義経と弁慶の忠義と知恵、そして緊張感あふれる関所突破のドラマを、三味線と唄によって力強く描き出している。
長唄ならではの緻密な旋律と迫力ある構成が、物語の緊張感と人間ドラマを鮮やかに浮かび上がらせた。
指揮者のいない舞台で、呼吸と視線だけで全体を調和させる演者たちの姿は、まさに“共創のリーダーシップ”そのものだ。
一人ひとりが自律しつつ、全体の流れを感じ取って動く。そこには、当社が掲げる「As One」—多様な個が共鳴し、ひとつの目的に向かって進む組織のあり方が重なる。
リーダーが全てを指揮するのではなく、信頼をベースにした暗黙の連携が成果を生む。
この“呼吸の経営”こそ、複雑な環境下にある現代の企業に求められる姿勢だろう。
フィナーレで勝壽氏が語った「伝統は止まらない。続けることこそ革新である」という言葉は、会場全体に静かな余韻を残した。アートは過去と未来をつなぐ鏡であり、文化を理解しながら新しい価値を生み出す姿勢は、当社のビジョンにも通じる。
アートとビジネス。一見異なるようでいて、どちらも「人間の創造力」を信じる営みだ。
アビームコンサルティングは、アートを通じて人と組織の感性を解き放ち、“日本的感性を源泉とした企業変革と社会変革”を実現していく。