第三創業期に挑むUmiosの人的資本経営の高度化を支援 ~人財ポートフォリオを起点にしたソリューション企業への変革に伴走~

Umios株式会社
事例
  • 食品
  • 人的資本経営
  • 経営戦略/経営改革
  • 人材/組織マネジメント
Umios株式会社

Umios株式会社(以下、Umios。旧社名:マルハニチロ)は創業146年を迎え、総合食品企業から「食を通じて人と地球の健康に貢献するソリューションカンパニー」への進化を目指し、第三創業期に向けた大改革を推進している。本改革は、「事業構造改革」「社員が主役のカルチャー改革」「人的資本経営の推進」の三本柱を軸に、事業と人財の両面から大きな変革を進める取り組みである。
この変革においてUmiosが重視したのは、戦略実行と価値創出を支える「人財」のあり方を抜本的に見直すことであった。中核人財の輩出・最適配置、事業戦略に必要な人財の確保、従業員の自律的なキャリア形成を両立させるため、同社は人的資本経営の実装に踏み出した。

アビームコンサルティングは、人財ポートフォリオを起点とした人財の可視化を初手として現状の構造的課題を特定し、ソリューションカンパニー実現に向けた人財戦略の策定から、施策・制度・プロセスへの落とし込みまでを一貫して支援している。今後は、これらの方針を具現化する人財マネジメント施策に加え、デジタル・AI活用を含めた実行フェーズにおいても、変革の伴走支援を継続する予定である。

経営/事業上の課題

  • ソリューションカンパニー実現に向け、挑戦と共創により新たな価値を創出するソリューション人財を戦略的に育成・確保する必要性があった
  • 労働人口の減少を見据え、ヘッドカウント管理から脱却し、事業戦略と連動した人財の質的充足と適切配置が求められていた
  • 働き方や価値観の多様化を踏まえ、従業員の自律的なキャリア形成と成長実感を支える仕組みへと、制度・施策を見直す必要があった

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • ソリューションカンパニーの実現に向けた人財マネジメント方針を策定し、求めるソリューション人財像の確保・育成に向けたUmios独自の変革施策設計を支援
  • 事業戦略と連動した人財マネジメントを実現するため、人財ポートフォリオによりスキルと人財構成を可視化し、質を軸とした人財マネジメントを支援
  • 制度・施策・カルチャーを全体最適で設計しつつ、データとAIを活用した個別最適なキャリア支援のPoC検証まで伴走

支援の成果

  • ソリューション人財の解像度を高め、採用・配置・育成・評価処遇・流動化までを見据えた人財マネジメントプロセス変革の方向性を明確化
  • 人財ポートフォリオと各種人財データを組み合わせ、統計解析による仮説設定と部署長との対話による検証を通じ、事業別・全社共通の本質課題を特定
  • 人財の立ち位置を可視化し、上司・部下の対話を起点に、キャリア自律と行動変容を促す仕組みを具体化

人的資本経営を「構想」で終わらせない――人財可視化とデータ活用で挑んだ企業変革の難所

Umiosでは、ソリューションカンパニーへの進化に向け、データ活用・DXが不可欠であるというDX推進部の問題意識があった。こうした認識のもと、まずは人事領域から着手し、人的資本の可視化と活用を起点に変革を進めたいという方針が示され、アビームコンサルティングに支援の要請が寄せられた。人事部との討議を通じて、人的資本経営を実装していくためには、データ活用を前提とした人事施策の全体像整理とロードマップ策定が必要であることが明確となり、専門知見を有するアビームコンサルティングが2023年12月から伴走支援することとなった。

初期フェーズでは、実施すべき人事施策を個別に検討するのではなく、まず全体像の整理から着手した。経営・事業・従業員それぞれの視点で目指す姿を言語化し、経営は「非連続成長を支える中核人財の輩出」、事業は「戦略実行に必要な人財確保」、従業員は「自律的キャリア形成と成長実感」と定義した。そして、これら三者の要望をつなぐ仕組みとして人事異動と育成を再定義し、共通言語として人財定義と人財ポートフォリオを策定する方針を定めた。

その後、人財ポートフォリオ策定と人財可視化のフェーズに進む中で、以下のような難所が浮かび上がった。

  1. 定義の壁:人財ポートフォリオ策定の前提となる職務や求められるスキルが体系的に整理されておらず、可視化以前に「何をどう定義するか」から着手する必要があった。
  2. 納得の壁:データ活用の文化が十分に根付いていない中で、人財可視化の意義や活用価値を示し、現場の理解と納得を得ることが求められた。
  3. 過去踏襲の壁:過去に実施してきた人事施策が成果につながらなかった要因を見極め、既存施策を前提から見直す必要があった。

これらの難所を乗り越え、人的資本経営を構想にとどめず実行フェーズへとつなげることが、本プロジェクトにおける最大の挑戦であった。

Umiosの人財施策の全体像(出典:Umios)

人事に閉じない、経営×事業×従業員による人財マネジメント変革

本プロジェクトの重要成功要因は、Umiosが第三創業期に向けた変革を単なる人事制度改定ではなく、経営・事業・従業員の視点を統合した構造的な変革として位置づけた点にある。
三者それぞれのWillを明確に言語化し、その重なり合う領域を人財マネジメントの中核に据えたことで、人財の定義づけや可視化の前提が共有され、現場の納得を伴った検討や、既存施策の前提を問い直す議論が可能となった。この共通基盤が、以下の難所を乗り越えるための土台として機能した。

(1)定義の壁への対応:事業理解にもとづく職務・人財要件の具体化と明文化

職務やスキルが十分に定義されていない状況に対し、最初から完璧な定義を目指すのではなく、事業理解と対話を重ねながら段階的に解像度を高めるアプローチを採用した。
職務やスキルを一方的に定義するのではなく、部門長自身が自部門の実態を見つめ直し、言語化するプロセスを重視したことで、定義づけが机上の整理に終わらず、実態に即した人財ポートフォリオ構築につながった。

(2)納得の壁への対応:生成AIとデータ分析を活用した、客観性のある議論の土台づくり

データにもとづく現状把握に加え、将来シミュレーションを通じて、現状の延長線上のままだと将来どのような人財構成になるのかを可視化した。
これにより、課題を「他人事」ではなく「自分事」として捉える共通認識が醸成され、短期的な安心感にとどまらない、中長期視点での建設的な議論が可能となった。

(3)過去踏襲の壁への対応:上位方針から制度・施策・行動をつなぐ一貫設計

個別施策を積み上げるのではなく、人財マネジメント方針という上位概念から立ち返り、「なぜ成果につながらなかったのか」「何が従業員の行動変容を阻んでいたのか」を深く掘り下げた。
方針から制度・施策・プロセス・カルチャーまでを一貫して設計したことで、施策と従業員の納得感が結び付き、変革を一過性で終わらせない基盤が構築された。

一般論ではなく「Umiosの固有解」を描き、変革を前進させたアビームコンサルティングの貢献

アビームコンサルティングは、人的資本経営や人財マネジメントにおける一般的な「How(方法論)」を当てはめるのではなく、Umios固有の「What(何を実現したいのか)」と「Why(なぜそれが必要なのか)」を起点にプロジェクト推進を行った。
人的資本経営や人財ポートフォリオの方法論自体は汎用的である一方、企業の事業構造や歴史、カルチャーによって成立条件が大きく異なる。
「なぜこの会社でこの課題が生じているのか」「Umiosにとって人財とは何か」という問いを起点に議論を重ね、以降の人財定義や施策検討の前提となる考え方を丁寧に言語化した。

(1)定義の壁への対応:事業理解にもとづく職務・人財要件の具体化と明文化

職務やスキルが体系的に整理されていない状況に対し、各事業部のバリューチェーンやビジネスモデルへの理解を深めることから着手した。
管掌役員や部門長へのヒアリングを通じて、事業の成り立ちや意思決定の背景を把握したうえで、Umiosならではの職務構造や役割の考え方を整理。
同社に適した職務像・求める人財像を明文化することで、人財ポートフォリオ策定における具体的かつ実態に即した議論を前に進める土台を提供した。

(2)納得の壁への対応:生成AIとデータ分析を活用した、客観性のある議論の土台づくり

人財可視化に対する現場の理解と納得を得るため、生成AIとデータ分析を活用し、客観性のある議論の土台づくりを支援した。
スキル定義において生成AIを活用することで、客観性と再現性のある表現による定義を可能とし、部門長間での認識のばらつきを抑制。
さらに、人財ポートフォリオと各種人財データを組み合わせた分析により、統計解析にもとづく課題仮説を設定し、感覚論に陥らないデータ起点の建設的な議論を促進した。

(3)過去踏襲の壁への対応:上位方針から制度・施策・行動をつなぐ一貫設計

過去に実施してきた施策が成果につながらなかった要因を踏まえ、個別施策の積み上げではなく、人財マネジメント方針という上位概念から立ち返った設計を行った。
「なぜこの施策は機能しなかったのか」「何が従業員の行動変容を阻んでいたのか」を問い直し、制度・施策・カルチャーと従業員の納得感を結び付ける一貫した設計を実施。
構想と実行の間にある溝を埋めることで、人的資本経営を一過性の取り組みに終わらせることなく、実装フェーズへと前進させる伴走を行った。


2026年3月、私たちは「Umios(ウミオス)」として新たな一歩を踏み出しました。「海を起点にステークホルダーと一体となり、食を通じて社会課題を解決するソリューションカンパニー」への変革、いわば「第三創業」を駆動する根幹として、私たちが重視してきたのが「社員が主役のカルチャー改革」であり、それを具現化する仕組みとしての人的資本経営です。

全社を巻き込んだこの変革は、社員一人ひとりの意識や行動を変えていくものであり、正解のない難しい道のりです。そのプロセスにおいて、久保田リーダーをはじめアビームコンサルティングの皆さまは、高度な専門知識をベースにしながらも、常に現場の実情や社員の声に真摯に向き合い、時に泥臭く、粘り強く、私たちとともに解決の道筋を切り拓いてくださいました。

「挑戦と共創」をキーワードに掲げる私たちにとって、皆さまとのプロジェクトはまさにその言葉を体現するものでした。長期にわたる献身的なご支援に、心より感謝申し上げます。

Umios株式会社
人事部担当執行役員
古田昌代

Umios株式会社 人事部担当執行役員 古田昌代

Customer Profile

会社名
Umios株式会社
所在地
東京都港区高輪 2-21-2 THE LINKPILLAR Ⅰ SOUTH
設立
1943年3月31日
事業内容
漁業、養殖、水産物の輸出入・加工・販売、冷凍食品・レトルト食品・缶詰・練り製品・化成品・飲料の製造・加工・販売、食肉・飼料原料の輸入、食肉製造・加工・販売
資本金
200億円
Umios株式会社

2026年3月30日

専門コンサルタント

  • 久保田 勇輝

    Principal 人的資本経営戦略ユニット長
  • 細田 俊之

    細田 俊之

    Senior Manager

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