大手鉄道会社は、グループ全体で安全かつ持続可能なサービスを提供し続けるため、グループ全体のガバナンス体制の強化およびセキュリティ成熟度の向上に取り組んでいる。2023年度よりアビームコンサルティングの支援のもと、現状のセキュリティ状況を多角的に評価・分析し、グループ全体で必要となる施策を体系的に整理。これを基に実行計画としてのロードマップを策定し、各社の独自性を踏まえた最適なガバナンス機構の構築と継続的な改善を支援している。
大手鉄道会社は、グループ全体で安全かつ持続可能なサービスを提供し続けるため、グループ全体のガバナンス体制の強化およびセキュリティ成熟度の向上に取り組んでいる。2023年度よりアビームコンサルティングの支援のもと、現状のセキュリティ状況を多角的に評価・分析し、グループ全体で必要となる施策を体系的に整理。これを基に実行計画としてのロードマップを策定し、各社の独自性を踏まえた最適なガバナンス機構の構築と継続的な改善を支援している。
Customer Profile
経営/事業上の課題
課題解決に向けたアビームの支援概要
支援の成果
クライアントは、鉄道事業を中心に、不動産、ホテル、小売など多岐にわたる事業を展開し、グループとしての企業体制を築いている。各社の事業特性や組織規模、ITリソース、対応体制の成熟度にはばらつきがあり、それぞれが独自にセキュリティ対策を講じてきた結果、グループ全体としての整合性に課題を抱えていた。
加えて、サイバー攻撃の巧妙化・複雑化に加え、テレワークの普及やクラウドサービスの活用が進む中で、各社のIT環境が一貫性を欠いたまま多様化し、セキュリティリスクが増大していた。このような状況を受け、グループ全体で統一方針を策定し、実効性ある運用基盤を再構築することが急務となっていた。
本プロジェクトでは、セキュリティ成熟度のあるべき姿を定義し、アセスメント結果に基づいて課題を体系的に整理。統制力・実行力・持続力を備えたガバナンス体制の確立と、ゼロトラストの実現・セキュリティ成熟度向上を見据えた方針・計画の策定を重要テーマとして、各社横断で取り組みを推進した。
しかしながら、あるべき姿と現状との乖離が大きい領域ほど、方針の提示だけでは実効性を欠き、形骸化する懸念があった。全体最適の視点を維持しつつ、各社固有の制約や実情を丁寧に把握し、具体的な施策に落とし込んで関係者間で合意形成を図るには、多角的かつ緻密な検討が求められ、容易な取り組みではなかった。
アビームコンサルティングは、こうした経営課題に対し、戦略策定から実行支援までを一貫して担う伴走型パートナーとして、本プロジェクトに参画した。
本プロジェクトでは、グループ全体のセキュリティ成熟度向上を目標に、①ガバナンス基盤の整備、②ゼロトラストの実現という二つのテーマを軸に、アビームコンサルティングが多様な業種・規模の企業支援で培った知見を活かし、戦略的かつ計画的に取り組みを推進した。
しかし、グループ各社の事業特性やITリソース、セキュリティ対策の成熟度には大きな差があり、理想論を掲げるだけでは実効性を伴わず、形骸化するリスクが高かった。
グループ全体として統一的なルールや方針の策定だけでは不十分であり、各社の業務実態や現場の事情を的確に把握したうえで、実際に機能し、持続的に活用される仕組みへと落とし込むことが不可欠であった。
特に、グループ全体を俯瞰する視点と、個社ごとの実態に即した視点の両立が求められた点が、本プロジェクトの難易度を高める要因となった。
こうした背景を踏まえ、当社は「施策としての実効性」と「現場への適合性」の両立を最重要視し、各社の業務運用に定着し、無理なく継続できる道筋の設計に注力した。施策は現実的かつ着実に進められる構造として整理し、段階的な進化を可能にする設計としたことが、本プロジェクトの成否を分ける重要なポイントとなった。
また、戦略的な視点に加え、実運用に耐える現場目線のアプローチを重視し、両テーマを絵に描いた餅に終わらせることなく、確実に成果へと結びつけた。
これらの取り組みを通じて、クライアントが抱えていた「グループ全体でのセキュリティレベル向上」という経営課題に対し、戦略立案から実行フェーズまで一貫した伴走支援を行い、着実な成果創出へと導いた。
アビームコンサルティングは、課題抽出から施策整理・ロードマップ策定、実行フェーズの推進支援まで一貫してプロジェクトをリードし、以下の二つの観点から伴走型で貢献した。その結果、クライアントはグループ全体で足並みを揃え、自走可能な体制の確立にむけて整え、着実な前進を遂げた。
① ガバナンス基盤の整備における貢献
グループ全体の統制力・実行力・持続力を高めるため、規程類の策定にとどまらず、実行段階を見据えた具体的な仕組みの整備を支援した。各社の事業特性や成熟度に配慮し、実態に即した方針・統制ルールを運用レベルまで落とし込み、形骸化を防ぎつつPDCAが循環する体制の枠組みを設計。また、既存組織の枠を超えた横断的な推進体制を整備し、従来の個別最適から統制と実行の両輪で機能する仕組みへの移行を後押しした。これにより、ばらつきのあった体制から、グループ全体で一貫したガバナンスを実現する道筋を描き、自走にむけた伴走支援を続けてきた。
② ゼロトラスト実現に向けた貢献
アイデンティティマネジメントを起点にセキュリティアーキテクチャの全体像を描き、既存環境の棚卸・可視化を実施。将来的な拡張性やコストバランスを踏まえ、段階的な基盤整備と実現可能なロードマップを策定した。特定製品に依存せず、必要十分な機能要件と多層的な構成を踏まえたRFPを作成し、ソリューション選定から導入計画の具体化まで継続的に支援。実行フェーズでは、クライアントや外部パートナーとの連携を図り、工程管理・課題整理・調整を行い、円滑な推進を支援した。これにより、境界型防御依存から脱却し、ゼロトラストを見据えたセキュリティ基盤の確立と成熟度向上への足掛かりを得た。
現在は、各社での制度定着・実行に向けた次のステップを見据える段階にあり、アビームコンサルティングは今後も理想と実務をつなぐ橋渡し役として、クライアントとともにセキュリティガバナンスのさらなる進化を支えていく。
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