日本板硝子の新しいメディア事業のビジネスモデルは、駅や商業施設などのロケーションオーナーからガラス面の活用を受託し、日本板硝子がメディアオーナーとしてガラスサイネージを設置し、広告主へ広告枠を提供するというもの。収益は広告主(広告代理店経由を含む)からのスポンサー売上が全てとなる。
既存ビジネスモデルにおけるマーケティング・セールス戦略とは異なり、消費者への体験提供において独自性を生み出し、他のメディアや屋外広告との差別化を図り、広告主から選ばれ続ける広告メディアになることが重要である。まずは、ガラスサイネージが持つ特性が消費者への体験提供としてどのような効果が期待できるかを考え、結果としてどのような態度変容を促すかを想像する必要があった。その上で、既存媒体と比較しメディアとしての特性や訴求ポイントの整理を行う必要があった。
新規メディアは、広告主に選択されるために新しいポジションの確立が重要である。広告主にとって、メディアの選択肢は4大マスメディアやインターネット広告など多数存在し、さらに競合となり得る屋外の大型ビジョンも都内に100箇所以上設置されている。このようにメディアが無数に存在する中で、新規メディアとして目に触れる機会を創出し選ばれることが重要である。まず、広告主に選ばれる媒体になるために、広告展開におけるメディアの役割や立ち位置を明確化し、リーチボリュームとロケーション特性を考慮した訴求ポイントを検討し発信することが求められる。また、広告業界の構造を踏まえた効率的な広告代理店へのアプローチなどの販路の構築、販売におけるアライアンス構築にも注意が必要である。広告業界独自の商習慣が存在し、広告主とメディアの間に多くのプレイヤーが介在するため、それぞれの役割やニーズを理解し、各プレイヤーに応じた適切なアプローチが求められる。
当メディア事業を運営・管理する上で、多岐にわたる業務に対するリソースの確保とナレッジ不足の解消が課題であった。また、限られたリソースで早期事業化と売上の向上を目指すために、優先順位をつけて効果的な施策を実施する必要があった。
そのため、新規メディア事業の立ち上げとマーケティングの知見や実行力への期待から、アビームコンサルティングがパートナーに選ばれ、マーケティング戦略立案支援とセールス戦略の立案と実行支援を行った。