NECソリューションイノベータ株式会社

外部環境をふまえて事業戦略を立案し実現する「自己変革型リーダー」の育成支援 ~事業成果の創出に向けた部長・課長職の新たなケイパビリティ獲得を実現~
事例
  • 経営戦略/経営改革
  • 人的資本経営

NECソリューションイノベータ株式会社は、NECグループのシステム開発・保守運用を担う従業員規模1万2千名強の大手SIer企業だ。昨今のSI業界における大きな変化として、個社ごとに独自にシステム開発・運用を行う方法から、複数のクラウドシステムを組み合わせてシステムインフラを設計・運用する方法へのシフトが起きている。同社では事業環境が大きく変化している中で、過去の定石だけでなく、将来の変化も見据えた事業戦略を描き、実現する部長職と課長職のリーダー育成が求められていた。
そこで、アビームコンサルティングが2024年9月から同社のリーダー育成を支援。リーダー育成の機会として昇格審査を活用し、部長職と課長職が環境変化に対応したリーダーシップを発揮できるよう、事業戦略の立案スキルの習得・向上をはじめ、意識変革を促す育成支援を行った。

経営/事業上の課題

  • 部長・課長職のリーダー陣は既存事業の遂行に長けているが、高付加価値の源泉である「顧客視点で新たな価値を創出する」という意識とケイパビリティが不足し、育成が必要だった
  • 部長・課長職のリーダー陣は、自身の得意領域である技術力強化に加えて、従来の業務やスキル、価値観を見直し、新たな知識やスキルを習得する必要があった

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 育成候補者に事業戦略を立案してもらい、それに対するコーチングを実施、高付加価値提供の実現に不足している顧客の課題や期待価値の把握などを明確に気付かせた
  • 高付加価値提供に必要な要素を自身で検討できるよう、多角的で一連性と再現性のある学びを与える研修プログラムを企画・実施した
  • 育成対象者とした80名強の部長・課長候補者へ、各自の事業戦略を複数回レビューし、事業戦略をブラッシュアップさせながら、各自のケイパビリティを向上させた

支援の成果

  • 昇格審査の審査員を担当した各役員・部門長による育成対象者への評価は、支援前後で大幅に改善
  • 育成対象者全員が技術力強化への固執状態を自覚し、今後は不足しているケイパビリティを補いながらより多角的に高付加価値戦略を立案し実行する必要性を理解できた

クライアント課題の難所

沁みついた「現状ベースの無難な思考・行動」を、いかに「あるべき姿から逆算したプロアクティブな思考・行動」に変えるのか

育成対象者は元々、エンジニア職などのプレーヤーとしてプロジェクトを推進しており、中でも技術力の観点で優秀さが際立っていた人々である。従来は、上位職者が合意を済ませた仕様に沿って開発・運用をすることが求められた。そのため、現有のリソースでいかに効果的かつ効率的に仕様を実現するかを常に考えていた。

しかし、昨今はプロジェクト単体ではなく、課長は事業を、部長はより広範囲かつ難易度の高い事業を率いることが期待されており、従来とは求められる思考と行動が全く異なる。
とりわけ、「顧客や社会のどの課題に対し、どんなソリューションを提供し、どのような良い変化をもたらすべきか」を競合環境下でいかに実現するかを考えることが求められている。
このように部課長職は「あるべき姿」を描き、そこから実現に向けて予算やリソースを確保し、顧客・自社経営陣・部門メンバー・開発パートナーなどと戦略やビジョンを共有しながらリードすることで、事業全体を成長させることが求められる。

両職者には非連続な自己変革が期待されているが、長年実直に目の前の仕事を推進してきたことで沁みついた技術力中心の現状ベースの思考・行動を、顧客のあるべき姿を描きそこから逆算して事業設計して実現するという思考・行動に切り替えていくことは容易ではなかった。

そうした中、社内での指導や審査だけでは思考・行動を十分に切り替えさせることができないリスクが高かった。そこで、育成対象者自身が変わる必要があることに納得し、適切な自己変革を遂げることができるよう、これまで管理職向け部下育成ガイドラインの策定などを支援したアビームコンサルティングに改めて支援を求めた。

課題の難所|育成対象者の思考・行動の変革

プロジェクトの重要成功要因

コーチはマネージャークラスのコンサルタントをアサイン、80名強全員が3日・3セッション以上のフィードバックを受け、「気付き・学び・実践する」一連のプログラムを実施

アビームコンサルティングのリードのもと、以下のプロセスで取り組むべき内容を具体化し、実行した。

【あるべきリーダー像のスキルとマインドを具体化】
部長職と課長職のそれぞれに対してあるべきリーダー像を具体化した。
部長職は、日々市場やテクノロジーが変化・進化する外部環境を適切に掴み、実現すべき事業の理想を立案することとし、①事業戦略、②実行計画、③リーダーシップの枠組みで10の要件を満たす必要があると定義した。
課長職は、3つを主要件として、「1.顧客の経営/事業課題を洗い出し解決すべき課題とその原因を特定すること」を起点とし、「2.課題の原因を解消するソリューションを提供すること」で、「3.顧客と自社が共に成長する”事業戦略が描けるようになること」とした。

部長職に求められる10要素
課長職に求められる5要素

【アウトプットとフィードバック重視の育成プログラムの企画・実施】
必要となる要件を具体化するだけはケイパビリティとして身につかないため、両職者ごとに適した育成プログラムを企画・実施した。単なる座学の研修では各役職に求められるスキルとマインドの獲得が困難なため、各自が検討・アウトプットし、それに対してアビームコンサルティングのコーチが良い点と課題点をフィードバックするよう構成。即時かつ多数の客観的なレビューを受けるこという経験学習のサイクルを経ることで、効果的にスキルの獲得やマインドの変革を促した。また、両役職とも候補者を5名程度のグループに振り分け、自身と他者のアウトプットとフィードバックを比較し、教訓を得る組織学習の機会を組み込み、さらなる底上げも実現した。

【複数回の個別コーチングの実施】
育成対象者一人ひとりのリーダーとしての強みと弱みをふまえた個別コーチングを実施し、各自の事業戦略の品質の向上と、さらなるスキルとマインドの向上を引き出した。中には、現実や自身の立ち位置を客観的に認識できていない育成候補者がおり、言葉を慎重に選びながら、本人が抵抗感を持たず納得したうえで、自身の認識そして意識を大幅に切り替える必要があった。
なお、個別コーチングとして部長職候補者は4回、課長職候補者は2回のセッションも実施。いずれもアビームコンサルティングの経営コンサルタント10名が分担し、コーチ一人あたりが担当する候補者数を絞ることで、同じコーチが始めから最後まで一貫した手厚い伴走支援を行った。

部長職昇格候補者|コーチングセッションの全体像

アビームの貢献

80名強全員の育成対象者に対し、事業戦略と人事戦略の連動を促しつつ、育成対象者自身のリーダーとして活躍・貢献したい気持ちを引き出した育成

【事業戦略と人事戦略の連動を前提としたリーダー育成支援】
アビームコンサルティングの人的資本経営ストラテジーユニットでは、持続的な企業成長・変革の実現に向けて、事業戦略と人事戦略をいかに整合・連動させ、効果的に実現するかを重視した支援を行っている。
本プロジェクトでは育成対象者は当初、検討可能な範囲で事業戦略を立案していた。そのため、事業戦略の解像度・具体性を高める示唆を提供しながら、事業を実現する人材についても十分な検討が行われることを促し、各候補者が自身の戦略の実現性や有用性を向上させることに貢献した。

【押しつけではなく、育成対象者のリーダーとして活躍・貢献したい気持ちを引き出す育成】
仮に事業戦略と人事戦略を連動した事業戦略が立案できたとしても、当のリーダー本人が実現に向けて本気のコミットメントを行うとは限らない。本気のコミットメントがなければ、計画に適った成果を創出することは期待できない。そのため、戦略立案と同様に、実行に関わるリーダーが自らの意思で強いコミットメントをとること、それによって、戦略を実現するために協働が必要となるステークホルダーの気持ちを動かし、巻き込みながら推進できるよう促した。

本プロジェクトでは、育成対象者は昇格審査以上に昇格後に自身がリーダーとして活躍することにそれぞれ異なる葛藤や不安を抱えていた。そのため、こうした声を受け止め、問いかけ、内に秘めている思いを言葉として引き出すことで、各自が自己変革を続けながらリーダーとして活躍・貢献していくことに強くコミットできるよう促した。
結果として、プロジェクト終了時には、育成対象者から各コーチへ、コーチングに対する感謝だけではく、平均点ではなく突出した部長・課長職として活躍していく決意表明や、今後も継続して自己変革を続ける旨のメッセージが多数寄せられた。
今後アビームコンサルティングでは、次年度以降に登用される部課長職が今回同様のケイパビリティを有してマネジメントができるよう、育成支援を継続していく。


私の所属する部門はDX技術でNECのITサービスを牽引するミッションを持っています。メンバーは技術力強化を意識する傾向がある反面、顧客やビジネスという観点からの思考に弱さがありました。
そこで、課長級・部長級への登用候補者に対して「ビジネスの最前線で必要な観点」や「事業拡大・事業シフトに必要な要素」を習得させることとし、アビームコンサルティングにプログラムを設計いただきました。
受講者にはプログラムの前後で明らかに視野・視座・視点・思考パターン・将来への意欲や自信に向上が見られまして、昇格後の活躍に期待の持てる結果となり非常に満足しています。

NECソリューションイノベータ株式会社
執行役員 門井 忠茂氏

NECソリューションイノベータ株式会社 執行役員 門井 忠茂氏

当プログラムでは講義によるインプットに加え、アビームコンサルティングのコンサルタントとの少人数での対話セッションを複数回設定し、受講者自身がアウトプットすることを重視いたしました。社内の限られた人脈や担当領域内に留まった狭い視野に対し、外部のコンサルタントからのアドバイスは受講者のみならず、その上司や組織全体にも良い刺激になりました。
今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。

NECソリューションイノベータ株式会社
人財企画部 プロフェッショナル 鈴木 宏実氏

Customer Profile

会社名
NECソリューションイノベータ株式会社
所在地
東京都江東区新木場一丁目18番7号
設立
1975年9月9日 ※ 2014年4月1日 NECソリューションイノベータ発足
事業内容
システムインテグレーション事業、サービス事業、基盤ソフトウェア開発事業、機器販売
資本金
8,668百万円
NECソリューションイノベータ株式会社

2025年5月1日

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