THK株式会社

THK株式会社

Customer Profile

会社名
THK株式会社
所在地
東京都港区芝浦2-12-10
創業
1971年4月10日
資本金
34,606百万円(2017年12月31日現在)
事業内容
機械要素部品の開発・製造・販売。その他、メカトロ関連製品各種、自動車部品、 THK免震システムなどの開発・製造・販売

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

ビッグバン導入にて7カ月という短期間で、グローバル一元管理を実現。
人財情報を見える化した上で、計画的な人財育成を図る

LMガイド、ボールねじなどの機械要素部品、ならびにメカトロ関連製品、自動車部品、免震システムを開発・製造・販売するTHKでは、グローバルの各法人が独自の人事制度と情報システムを採用していたため、人財 情報を統合管理する仕組みになっていなかった。そこでアビームコンサルティングをパートナーに、人財情報の見える化と人財の計画的育成のために共通のタレントマネジメントシステムを導入、その基盤を構築することにした。7カ月で人財情報を見える化するフェーズ1を完了、34法人に及ぶ従業員データの一元管理を可能とした。2018年4月より人財育成のためのシステム導入という次のフェーズへと進めている。

プロジェクト概要

課題

  • 法人ごとにブラックボックスになっている人財情報の把握
  • 見える化した人財の計画的育成

ソリューション

  • SAP SuccessFactorsの活用
  • THK共通人財マネジメントシステムの導入
  • THKプロジェクトメンバーと協働した各法人への導入支援

成功のポイント

  • 共通人財マネジメントシステムによるKPI、人財情報の見える化の実現
  • 人財の発掘、育成のためのタレントマネジメント基盤の確立

Story

星野 恭敏 氏

フェーズ2 もフェーズ1 をともに走ったアビームコンサルティングのメンバーと一緒に取り組みます。気心の知れた仲間のような人たちなので、大いに期待しています

 

THK株式会社
執行役員
経営戦略統括本部 副本部長
グローバル人事戦略特命担当
星野 恭敏 氏

Story

プロジェクトの背景

グローバル全体の人財情報を見える化し、計画的育成を目指す

  THK株式会社(以下、THK)は、1972年、それまで困難だとされてきた機械の直線運動部のころがり化を独自の技術で実現し、「直線運動案内( LMガイド)」として世界で初めて製品化した企業だ。これに よって、メカトロニクス機器の高精度化・高速化・省力化が可能になり、機械性能は飛躍的に向上。工作機械、産業用ロボットは超精密な作業ができるようになり、半導体製造装置もサブミクロン単位の精度を実現した。最近では鉄道車両、福祉車両、医療用機器、高層ビルや住宅、アミューズメント機器などにも使われるようになり、その用途は大きな広がりを見せている。

  同社はLMガイドをはじめとするTHK製品の利用による世界中の顧客の発展と豊かな社会作りに寄与すべく、「グローバル展開」と「新規分野への展開」、「ビジネススタイルの変革」の3つを成長戦略の柱として掲げ、ビジネス領域の拡大を図っている。グローバル展開では、現地で生産して販売することが最適という考えの もと、日本、欧州、米州、アジアの4極における製販一体体制の構築を進めてきた。「1990年代から 2000年代にかけて大きな成長を遂げ、グローバルでは欧州、米州、アジアに現地法人を設立、拠点を増 やしてきました。今まで現地法人はそれぞれ独自の人事制度と情報システムで自己完結的に経営を進めてき ました。しかし、事業が大きく成長し、海外の売上・従業員数の比率がそれぞれ6割を占めるようになった中、ブラックボックスとなっていた人財を発掘、育成することで、より大きな成長を図りたいと考えました」とTHK 執行役員 経営戦略統括本部 副本部長 グローバル人事戦略特命担当 星野 恭敏氏は語る。

  またコーポレートガバナンス・コードが導入され、経営にはCEOの後継者候補や、女性、外国人の取締役候補についての表明が求められるようになっている。その際、「分からない」では経営が成り立っていないと評価されてしまう。その観点からも、“THKを100年続く企業にする”というゴールを目指し、13,000 名の人財を見える化するとともに、その人財を計画的に育成する必要があると判断した。

Story

アビームの選定理由

決め手はプロジェクトへの取り組み姿勢と自社内でのソリューション利用実績

  これまでTHKでは、各法人それぞれには給与や勤怠の管理システムがあったものの、タレントマネジメ ントのための共通インフラと呼べる人財情報システムは存在していなかった。そこでグローバル共通の人財 マネジメントシステムを導入し、人財の見える化と育成を図ることにした。そのためのパートナーとして選んだのがアビームコンサルティングである。「複数のコンサルティング会社と話をしましたが、アビームコンサル ティングの提案はTHKが抱えている課題やプロジェクトの目的について、最も深く理解して、それに合わせた導入を行う内容になっていました。提案にいたるやり取りの中で、真摯にプロジェクトに取り組むという姿勢が見えたのも決め手になりました」とプロジェクトマネージャーを務めたTHK 経営戦略統括本部 係長 グローバル人事戦略特命担当 佐藤 俊範氏は語る。またアビームコンサルティングは提案段階からプ ロジェクトへのコミットメントが鮮明で、一緒にやっていけそうだという感触を得たこと、自社内ですでに SAP SuccessFactorsを使っているので、その経験から様々な形でアドバイスを受けることができると評価したことなども選定理由に挙げられた

  スタートしたグローバル人財情報基盤構築(GRIP)プロジェクトでは、2017年4月から11月までのフェーズ1で、SAP SuccessFactorsのEmployee Centralを活用したTHK共通人財マネジメントシステムを導入。ヘッドカウント確認などKPIの見える化と人財情報の見える化を実現し、第2フェーズでは、人財の発掘、育成のためのタレントマネジメントに取り組むことにした。

 

佐藤 俊範 氏

これからも一心同体となってやっていきたいと考えています。プロジェクトを一緒にやれることをとても楽しみにしています

THK株式会社
経営戦略統括本部 係長
グローバル人事戦略特命担当
佐藤 俊範 氏

Story

プロジェクトを推進する上での課題

初期目標はKPIの見える化と人財情報の見える化

  フェーズ1では、KPIの見える化と人財情報の見える化という2つの見える化を実現することを目標に据え た。THK共通人財マネジメントシステムは本社を含む日本6法人、アジア14法人、欧州7法人、米州7法人 の13,000名の従業員の人財情報を一元管理。職務情報や業務連絡先情報など60以上のグループ共通項 目の定義により、多様な人財情報を管理するとともに、職務分類や事業軸など30以上のグループ共通コードの定義により、人財検索、人財発掘の基盤を確立することを目指した。

  プロジェクトの最大の課題は、7カ月という短期間でのグローバルでのビッグバン導入の遂行だった。要 件定義にかける期間は2カ月強しかなく、ほとんど即断に近い形で要件を決める必要があった。その上で、システムの設計、導入過程でも課題管理や進捗管理も高い精度で行い、計画通りにプロジェクトを進めることが求められた。
「欧州を中心に個人情報保護に対する規制が強まっていて、経営的にも重要な問題になりつつあります。 そこで、EU域内18カ所に拠点を持つ欧州法人とは、個人情報保護について、法務部門や社外の弁護士 の助言を受けながら、EU指令に基づいた合意書を作成・締結しました。他の法人ともその国の法規制に 基づいて合意書を取り交わしましたが、国ごとに法規制は異なるため各国の合意書の作成に時間がかかりました」(星野氏)。

  また各法人の人事担当のITリテラシーに差がある中、システムの操作にある程度の習熟も必要なため、 覚えてもらうのに繰り返しトレーニングを行った。「特に時差のある拠点とはどうしてもメールベースのやり取 りになるので、コミュニケーションが難しいという問題がありました。そのため早朝や深夜にテレビ会議を 使いながら、打ち合わせをするわけですが、お互い英語が母国語とは限りません。時間の壁と言葉の壁を 越えて、システムを理解してもらうのが一番大変でした」(佐藤氏)。

 

SAP SuccessFactors におけるEmployee Central を活用したソリューション

Story

課題解決のソリューション

一丸となってプロジェクトに取り組み、米国人社員の参加でやり取りを円滑化

  THKではフェーズ1を計画通り完了させるために、アビームコンサルティングの力を借りるとともに、米国法人から社員を派遣してもらい、英語圏の法人と円滑にコミュニケーションをとれるようにした。「アビームコンサルティングとは、システムコンサルタントと発注側という、お互いに線を引き合う杓子定規な関係では なく、両者一丸となりプロジェクトに取り組むことができました。私たちは機械部品メーカーですので、泥臭く、愚直に対応くださるアビームコンサルティング様とは、相性の良さも感じました」(佐藤氏)。プロジェクトは短い期間でグローバルにコミュニケーションを行い、リソースや知識が足りない法人への働きかけなどを 行う必要もあったが、アビームコンサルティングがTHKのプロジェクトメンバーと一丸となって、それらの法人をサポート、計画通りの導入が実現された。

  また米国法人からの社員がプロジェクトメンバーに加わったことも大きかった。「プロジェクトが始まった 2週間後くらいにアメリカから来て、プロジェクトに参加しました。私自身は人事や情報システム部門の経験はありませんでしたが、1から学びつつ、英語圏の法人とのやり取りを続けました。担当者によってシステ ムに対する理解度は様々で、なかなか分かってもらえないこともあったのですが、何度も説明するなどして、 学びながらも丁寧に教えていきました」とTHK 経営戦略統括本部 グローバル人事戦略特命担当 アンドレア ダイオン氏は振り返る。こうした努力によって、THKで初めてとなるグローバルでのテレビ会議を主体としたビッグバン導入にて構築を進めたプロジェクトの第1フェーズを計画通り終えることができた。

 

アンドレア ダイオン 氏

第2 フェーズでも現地法人とのやり取りが活発になると思います。アビームコンサルティングの人たちにいろいろ協力しながら、全力でがんばります

THK株式会社
経営戦略統括本部
グローバル人事戦略特命担当
アンドレア ダイオン 氏

Story

導入効果と今後の展望

第2フェーズで人財の発掘、育成の仕組みを構築、グローバルでのタレントマネジメントを推進

  2017年12月、稼働を開始したグローバル人財情報基盤は、グローバル34法人の従業員データを一元管理するとともに、各法人の人財情報が常に最新に保たれるようになっている。「本社部門ではグループ社員に連絡を取る際に、社員の名前の一部を入力すれば、すぐに表示され、業務連絡先がすぐに分かる。また組織階層やレポートラインもすぐに検索できるので、とても良い仕組みだという声が上がっています。またグローバルでのヘッドカウントの確認も今までは調査票をメールで送り、1カ月くらいかけて回収、集計を 行っていました。今後は、システムから即時出力できることで、タイムリーな人員把握、要員計画を実現することが期待できます」(佐藤氏)。

  THKでは2018年4月にフェーズ2のキックオフを行い、SAP SuccessFactorsタレントマネジメントモジュー ルの導入を6カ月程度で完了させる計画が進行中だ。この第2フェーズでは、経営幹部候補を含めた人財 の発掘、育成を実現する人事ポリシーの策定およびシステム基盤の構築を行う。「 第2フェーズに取り組むにあたって、2018年1月、2月と2カ月ほどかけて、経営陣、アビームコンサルティングと一緒にTHKが求める人財像の策定に取り組むことができたため、これを基とした人財の発掘と育成のサイクルを確立していきます」(星野氏)。

  THKでは第2フェーズを通して、日本だけで2,000人ほどいる製造技能者のスキル管理も実現し、職務経験と合わせ、人事のみならず社員一人ひとりが活用できる仕組みを確立することで、グローバルでのタレントマネジメントを実現していく考えだ。

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