横河電機株式会社

横河電機株式会社

Customer Profile

会社名 横河電機株式会社
所在地 東京都武蔵野市中町2-9-32
設立 1920年
事業内容 エネルギー&サステナビリティ、マテリアル、
ライフから構成される制御事業、
測定器事業及び新事業
資本金 434億105万円(2022年3月末現在)

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

グローバル5地域に約2年間で基幹システムを導入。プロセスの統一、データを可視化し、経営基盤のグローバル展開を加速

横河電機は、アビームコンサルティングをパートナーとして、2006年からグローバルシングルインスタンスによる情報基盤を構築し、グローバル規模で全社のプロセス、システムおよびルールを統一することを目的に、Yokogawa Global System(YGS)の導入に取り組んでいる。2015年4月から欧州、中東・アフリカ、ロシア、韓国、東南アジアの5地域で同時に導入、2017年5月までに全面稼働。これにより横河電機では、売上の約90%を占める制御事業において、グローバルでプロセスの統一とデータの活用を通した迅速な意思決定、新たな事業展開のための土台を構築することができた。

プロジェクト概要

課題

  • 2006年から導入を進めてきたYokogawa Global System(YGS)導入の加速化
  • 2015年4月の制御事業のYGSカバー率50%から2017年5月の90%達成を実現し、経営効率向上の基盤を構築する

ソリューション

  • グローバルなネットワークに基づく各地域でのプロジェクト推進力
  • 海外展開に対する豊富な実績と多文化・異風土の環境下においても発揮する課題解決能力
  • CoE(Center of Excellence)思想に基づくビジネスモデル及び、アプリケーションに対するガバナンスと標準化の徹底

成功のポイント

  • 世界5地域での2年間のプロジェクトで、制御事業全体の90%をカバー
  • 結果、本社トップマネジメントがグローバルでのオペレーションをリアルタイムに把握
  • これによりトップマネジメントは、迅速な意思決定が可能に

Story

北原 卓 氏

アビームはグローバルのネットワークを持っていて、現地のメンバーが全面的にサポートしてくれたことで、同時導入を完了させることができました

横河電機株式会社
情報システム本部
情報システム部 部長
北原 卓 氏

Story

プロジェクトの背景

制御事業の基盤整備へ。グローバルでYokogawa Global Systemを導入

  横河電機株式会社(以下、横河電機)は1915年に創立された制御(インダストリアルオートメーション=IA)事業、計測事業、航機その他事業を展開する企業だ。「計測と制御と情報をテーマにより豊かな人間社会の実現に貢献する」を企業理念の一節に掲げ、グローバル企業としての基盤整備に取り組むとともに、顧客企業に高付加価値の製品やソリューションを提供するソリューション・サービス・カンパニーへの変革を進めてきた。
  その中で、2015年度からは2017年度を最終年度として、成長投資と収益性向上のための事業変革を進めるために中期経営計画「Transformation(トランスフォーメーション) 2017(TF2017)」に取り組んでいる。
  横河電機では、売上の約90 %を占める制御事業において、2006年からYokogawa Global Systems(YGS)プロジェクトを進めてきた。「海外売上比率が増加していく中で、ルールやプロセス、システムをグローバルレベルで統一しないと、迅速な意思決定ができません。そこで、『One Global YOKOGAWA』を掲げて、経営効率を向上させるために、グローバルなプロセスの統一とデータの可視化、システムの標準化が急務だとYGSプロジェクトを立ち上げたのです」と、横河電機 情報システム本部 情報システム部 部長 北原 卓 氏は語る。
  YGSは3つのシステムから構成され、同社のすべての業務の基盤となっている。1つ目が受注、生産、物流、会計、人事などほぼすべての基幹業務を担い、グローバルシングルインスタンスで構成されるSAP ERPのフルモジュールである。2つ目が、顧客企業からの要求仕様に応じて製品の設計、コストの算出、見積算出のための特注決裁システム、3つ目が生産子会社向けに稼動している生産システムだ。

Story

アビームの選定理由

グローバル経営基盤への高い見識、ネットワークを活かした継続的支援

 2006年、横河電機ではYGSプロジェクトを開始するにあたって、長期間のプロジェクトになると判断し、豊富な知見はもとより、最後まで横河電機のために力を尽くしてくれることをパートナーの選定基準にした。さらに、グローバル展開にあたってはグローバルなサポートが必要になるため、グローバルでの拠点やネットワークを持っていることも欠かせなかった。その点、アビームコンサルティングは最良のパートナーだと振り返る。
 「プロジェクトで一緒に仕事をする中で、アビームコンサルティングのコンサルタントはSAPモジュールの知識やプロジェクトの進め方、コミュニケーション能力が非常に高いと感じています。コンサルタントは数年でローテーションしますが、様々な経験を積んだ人材が参加するので、私たちも新しい気づきを得ることができます」と、横河電機 情報システム本部 情報システム部 業務システムGr.長 須山 朋也 氏は語る。
 また、アビームコンサルティングがグローバルのネットワークを持ち、現地のアビームメンバーがそのネットワークの中で、継続的にサポートしてきたことがプロジェクトを進める上で大きな力となったという。さらに、長期に及ぶプロジェクトの中で、プロジェクトに参加する能力やチームワークも優れていると評価が高い。
 「プロジェクトでは、まずYOKOGAWAの文化や業務の進め方を学んでいただく必要がありますが、アビームコンサルティングのコンサルタントは、非常に短期間でこれを理解してくれます。その上で、プロジェクトに参画してからの立ち上がりがとても早い。これはチームワークがよく、社内の連携もしっかり取れていることが背景にあると思います。難しい領域をお願いすることが多いのですが、納期とコストを守るという意識を共有した上で、常に期待以上のよい結果をもたらしてくれます」(北原氏)。

Story

プロジェクトを推進する上での課題

2年間で欧州、中東・アフリカ、ロシア、韓国、東南アジア5地域の導入実現へ

 YGSプロジェクトはアメリカから開始され、国内各社でも導入を図ってきた。途中、リーマンショックなど世界情勢の激変を受けてプロジェクトが凍結するなど紆余曲折があったものの、10年目の2015年4月段階で、制御事業全体の50%をカバーするところまで進んできた。 経営の次なる目標は、このYGS導入をさらに加速させて効果を出し、次のステージに進むというもの。それを踏まえて、2017年5月までにカバー率90%を達成するという目標が立てられた。
 「目標実現のために、欧州17社、中東・アフリカ16社、ロシア、韓国、東南アジア(マレーシア3社、フィリピン)の5地域39社の導入を同時に進め、2017年5月までに導入を完了させる計画を立てました。地域がまったく異なるため、チームは少なくとも5つは必要で、その体制構築と展開にたいへん苦労しました」と、横河電機 情報システム本部 情報システム部 業務プロセスGr.長 黒田 洋之氏は語る。
 具体的には、欧州は独立チームで対応、マレーシア・フィリピンはアジアのリージョナルヘッドクオーターであるシンガポールのメンバーを中心にサポート、中東と韓国はひとつのチームが交互に対応、そしてロシアは、プロジェクトリードを含め、多くのプロジェクトタスクについてアビームコンサルティングに支援してもらった。
 「はじめは弊社内だけでのチーム編成を計画しましたが、どう考えてみても、私たちだけではリソースが十分ではありませんでした。そこでアビームコンサルティングに全面的に支援してもらい、スケジュールを組んでいきました。本社のメンバーでいえば、須山は欧州に張り付き、私はアビームコンサルティングのコンサルタントと一緒に中東と韓国を行き来しながら、導入を進めていきました」(黒田氏)。
 各拠点への導入では、やはり「統一する」ことが最大の障壁になった。欧州、中東・アフリカ、ロシア、韓国、東南アジアはそれぞれ文化が異なり、仕組みも異なる。そうした中で、業務プロセスを統一することは、困難を極めた。これまでは拠点それぞれが最適化を進め、業務を効率化してきたケースも多かったが、グローバルで考えると、そのままでは非効率になる。そこで、言葉や文化の壁を意識しながら、時間をかけて説得し、YGSの導入を進めていった。「各拠点の社員の納得がなかなか得られず、テンプレートに対して、追加機能を増やしてほしいなどの要望も出てきました。丁寧に、粘り強く話し合いを重ねて、導入を進めていきました」(須山氏)。

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Story

課題解決のソリューション

強力な推進力。コンサルタントが各地に同行し、導入を支援

 短期間での導入を完遂する上で、大きな役割を担ったのがアビームコンサルティングのプロジェクト推進力だった。各地域、特に欧州は本社からの指示をトップダウンで下ろすのでは、現場の理解・納得を得るのは難しい。それに対してアビームは、グループ全体で競争優位を担保するための基本概念である「CoE(Center of Excellence)にもとづき、標準化の方針と統一テンプレートの導入の必要性を論理的に説明していった。
 「現地の社員はプロジェクトメンバーの説明を受けて、彼らが正しいと考えるやり方を述べてきます。彼らの意見や質問に対して、事前に準備した資料や説明で済ませるのではなく、翌日には直ちにロジカルに回答することが求められました。アビームのコンサルタントはCoEの考え方にもとづいて、一貫して強力にサポートしてくれたので、実はYOKOGAWAのプロジェクトメンバーからも一緒に現地に行ってほしいという強い要望があったほどです」(須山氏)。
 またロシアは、会計制度が非常に複雑で難解だったため、アビームのアライアンスパートナーである、BearingPoint社のメンバーを巻き込みながら、プロジェクトを進めていった。現在進行しているインド展開も会計制度が複雑なため、ロシアと同様にアビームコンサルティングのグローバルネットワークを活かして、現地のコンサルタント会社の力を借りながら、導入プロジェクトを進めている。

Story

導入効果と今後の展望

データ活用の基盤は整った。迅速な意思決定とビジネス展開を加速

 2017年5月、欧州、中東・アフリカ、ロシア、韓国、マレーシア、フィリピンでのYGS導入が完了し、システムは稼働を開始、計画通り制御事業の90%をカバーするようになった。従来はシステムが統一されておらず、本社が各拠点の状況を把握するためには、一つひとつの拠点に問い合わせて確認しなければならなかった。それがYGSによって、ひとつのインスタンス、ひとつの仕組みで統一されたため、権限に応じて、本社からどこの拠点のデータでも得ることができるようになった。
 グローバルで標準化が実現した結果、全拠点が同じ視点で同じ基準でデータを見ることができ、本社にひとつの基準にもとづいて数値が提出されるようになったため、グローバルで次の施策を迅速に立案、展開する土台が整った。
 「YGSに蓄積されたデータを活用するのはビジネス側です。事業部門がビジネス戦略を立て、経営陣が経営戦略を立てるのに、どう使ってもらえるのか。まずは事業部門や経営陣が、どこにどんなデータがあるのかを理解し、これらのデータを活用することで経営や事業に貢献していくことが、今後のIT部門の役割となります」(北原氏)。
 またYGSには、いつ、どんな機器がどこに納品されたかといった情報が蓄積されている。すなわち事業部門は、こうした情報をもとに導入後のアフターサービスを行うためのプロモーションが可能になり、売上と利益の拡大に貢献することができる。パートナーポータルなど代理店や協力会社にもグローバル基盤のマスターデータを整理して、正確なデータを供給していくことも計画している。
 YGS導入は、2018年4月稼働予定のインドに次いで、ベトナム、台湾、中国、トルコなどの国・地域で導入が控えている。その一方で導入が完了した地域では、今後、データの提供も含めてYGSプロジェクトはシステムの保守やデータ活用を中心としたフェーズに移行する。その中で横河電機は、アビームコンサルティングがこれからも納期とコストを守りながら、ベストなソリューションを提供するパートナーとして、大きな役割を果たしてくれると考えている。

 

黒田 洋之 氏

ロシアやインドは会計制度が大変複雑で難解です。
アビームコンサルティングの紹介を受けた現地コンサルタント会社を巻き込むことで、プロジェクトをスムーズに進めることができました

横河電機株式会社
情報システム本部
情報システム部
業務プロセスGr.長
黒田 洋之 氏

須山 朋也 氏

今後のデータ活用のフェーズでも、アビームコンサルティングにはパートナーとして、積極的な提案と価値を生み出す活動を行ってほしいと思います

横河電機株式会社
情報システム本部
情報システム部
業務システムGr.長
須山 朋也 氏

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