現在、保険業界には、他業界同様に顧客タッチポイントのデジタル化・モバイル化を踏まえたビッグデータの利活用、それを実現するためのプラットフォーマー等との企業間連携(エコシステム構築)、個人特性に応じた商品・サービスの提供等様々な課題に直面している。これらの課題を踏まえ、保険業界には5つのグローバルトレンドが存在する。
1つ目のDirect to consumerはインドのデジタル保険会社の Go Digit General Insurance Limitedを代表例に、仲介者を通さず直接消費者に保険商品を提供するトレンドがある。2つ目のVertical dominationは、中小企業マーケットにフォーカスして多種多様な商品を展開させるトレンドで、米国のNEXTが例示される。3つ目のマイクロインシュランス・利用ベース保険のトレンドは、自転車ユーザーの乗車期間中に限定補償しているUKのLAKAが代表例に挙げられる。また、4つ目のData-driven personalizationは、スマートフォンを含むIoTデバイスの普及によりビッグデータ処理で個人特性を明らかにしていくトレンドであり、最後の5つ目は、商品のシンプル化および顧客への透明性を訴求するトレンドで、米国のLemonadeが代表例として挙げられる(図1)。
これらのトレンドは欧米のみならず東南アジアにも存在する。弊社が東南アジアの保険業界向け支援等を通じて、特に従来のマイクロインシュランスの在り方が変容していると考えるため、本稿では東南アジアにおけるマイクロインシュランスのトレンドについて解説する。