「eARTHSプロジェクト」と「WAAPプロジェクト」を通して、アルプスアルパインはグローバル基幹システムを導入し、業務の標準化を実現した。ワンインスタンスによるデータ基盤を確立することで、グローバルですべてのデータを誰でも同じ粒度で見ることができる環境を構築することができた。
「eARTHSプロジェクト」の前半では、アビームが持つグローバルロールアウトの知見をアルプス電気向けにカスタマイズし、提供することで円滑な実現を果たした。それによって、「WAAPプロジェクト」ではアルプスアルパイン主体でのグローバル展開が可能になった。加えて、アビームが支援したアルプスアルパインの業務・システム改革の推進で、データを起点にした業務改革を推進する人材の育成も進むなど、今回のプロジェクトが多くの成果をもたらしている。「プロジェクト開始から15年という長い期間が経つと、優先すべき経営課題はサプライチェーンやBCPなどに大きく変化してきています。そこでは情報の活用が極めて重要になりますが、データ基盤の確立で、本社以外の現地でもデータの分析による情報の活用ができるようになりました。これによって、事業運営をより効率的に進める上でのマネジメントの柔軟性が大きく高まりました」とトランスフォーメーション担当 執行役員 小林 淳二氏は話す。
こうした観点に立って、現在、アルプスアルパインではDXを推進するための「Nexusプロジェクト」を進めている。その取り組みの1つがグローバルサプライチェーンにおける生産計画策定業務の高度化だ。目的は生産計画策定業務における予測精度の向上と、それによる在庫・機会損失の削減、業務の属人化解消や効率化である。アビームは、ロードマップの策定からAIによる需要予測モデルの構築などを包括的に支援しており、需要予測精度の15%向上が見込まれている。
アルプスアルパインでは今後、グローバル基幹システムをさらに使いこなして、全社のDXを推進し、情報の見える化やデータ活用によって経営能力向上を図るデータドリブン経営を進めていく。それによって、業務プロセスをデジタルでつなぎ、ケイパビリティ改革とコスト改革に取り組み、グローバルでの成長を目指していく考えだ。