アビームはあいおいニッセイ同和損保の強みを尊重しながら、必要な部分で専門性を提供するワンチーム型の運営を行うことで、実現性の高い構想を練り上げることに大きく貢献した。さらに、プロジェクト終了後に、あいおいニッセイ同和損保が自走していける仕組みを構築した。改革は当初の構想を実現して終わるものではなく、自らの手で改善を重ね、運営し続ける必要がある。そこで、アビームは継続的に問題を解決し続けるためのPDCAサイクルにこだわった。「PDCAについては、私たちだけでは短期的な視点で捉えてしまい、ある意味で妥協しそうになることもありました。アビームは、我々を励ましながら、長期的な視点でPDCAサイクルを一緒になって考えてくれました。そこまで踏み込んで意見してくれたことが、現在大いに役立っています」(長沼氏)。
運用を開始したデジタル照会センターによって、組織の壁を越えて、必要な範囲で関連部門を巻き込んで、各部門と共に問題解決を進めることができるようになった。
年間数億円のコスト削減にとどまらず、定量データの結果からは、営業社員の自立効果も継続的に確認できている。また、全ての照会対応が電話ではなくツール上での対応となったことで働き方も大きく変わり、テレワークが可能になった。こうしたことから、今回のプロジェクトは営業部門と一体となって、あるべき姿を追求した全社DXの成功事例として、経営からも高く評価されている。
将来的には、参画するメンバーがルールを決めて、その仕組みをツールに入れてプログラム化していけば、事務局は既存問題解決を自動化し、より高度な問題解決に時間を充てることができる。実際に効果は着実に表れている。照会応答をデジタル化したことで、今まで分からなかった照会件数や利用率、品質の状態もつかむことができるようになった。「アビームと共に、データを基にどうやって問題解決を考えるのかといったベースとなる仕組みがつくられたことで、本社の関連部門の中でも、データを基にして考え、対策を立てるということがだんだんとできるようになりました」(久保田氏)。
照会応答プロジェクトでは、今後、代理店や顧客からの照会応答業務にフォーカスを当てる。その中で、代理店も社員と同様にPDCAを回し、顧客に対してもホームページの改修などコンタクトルートの整理を実施していく。それらを通して、営業社員の自立だけでなく、代理店の自立、顧客満足度向上に向けて、全社での取り組みを進めていく考えだ。