カネカでは、2018年度に一部のラインマネージャを対象にしたワークショップを実施した。研修を受けた参加者の中には、「日本の工場がマザー工場としてデジタル変革をグローバルに展開していくきっかけになると考えた人」や、「10年後を考えたときに現在のやり方では通用しないので、見直したいと考えるようになった人」など、新たな気づきや発見が見られた。参加後のアンケートでは「社内にさらに広げていったほうがよい」という意見が多かったことから、対象を増やして同プロジェクトを行うべきと判断。2019年度にも引き続き研修を行った。2019年度の研修では、具体的な事例紹介の上で参加者一人ひとりの実務にまで落とし込む必要があった。そこで講義の時間を減らして、ワークショップの時間を増やし、各グループにアビームコンサルティングのコンサルタントが1人ずつサポート役として入るようにした。
参加者からは、「労働集約型の事業モデルから脱却するためのデジタルテクノロジーの導入および自動化」「製品づくりを効率化するための施策」などのテーマで宣言を行う人がでた。「マインドの変革ができたと評価しています。アビームコンサルティングが提唱するDXジャーニーのゴールであるビジネスモデル変革の意識を持つ人が、実施前後で格段に増えました。参加者の中には具体的なデジタル施策が立案されたり、顧客視点を入れていくというキーワードが織り込まれたりするようになりました。現場からこのような意見が出るようになったのは大きな変化です」(古川氏)。
今後、カネカではラインマネージャの意識改革を推進力として、さらなる工場デジタル化につなげていく考えだ。