プロジェクトがスタートしたのは2018年12月。一番困難だったのは、ワコムとアビームコンサルティングでの共通認識の醸成だった。ワコムのIT部門にはそれまでのナレッジがあるため、説明しなくてもメンバー間だけで通じるローカルな常識が存在していた。しかし、それはあくまでワコム内の常識であり、社外スタッフにとっての常識ではない。認識のズレを放置しておくと、実際のサービスデスク業務に支障を来す可能性がある。そこで両者の認識を統一するためのミーティングを何度も行った。
また、コミュニケーションを取る上で苦労したのは、関係者全員が日本にいるわけではないことだった。実際のサービスデスクの運用は以前から使っている問い合わせおよびインシデント管理(ITサービスマネジメント)ツール「JIRA」で行う。その中で、ワコムの日本本社と欧米オフィス、アビームコンサルティングの日本本社、そして実際のサービスデスク業務を行うアビームコンサルティングのマレーシア(GSD)とは文化の違いがある。そのため、GSDに対する考え方が異なっていただけでなく、時差もあるので合意を得るのに大きな労力がかかった。
サービスデスクのリプレイスとサービスデスクの導入に加え、グローバルでの標準化にも取り組んだため、その調整も必要になった。「当初、ミーティングは1週間に一度くらいの頻度だったのですが、2019年4月のGo Liveが近づいてくると、回数が増え、実務のトレーニングも毎日のように行いました。マレーシアGSDのスタッフ一人ひとりにナレッジをインプットして、きちんと対応できるようにしないといけませんでした。チームメンバー全員がゴールはプロジェクトの成功だということを理解して取り組んでもらうことができました」(Director)。