今後、メタバース空間では、現実世界で発生している金融活動に概ね準じたサービスが開発・提供されると前述したが、各金融サービスの提供形態として、4つの類型が考えられる(図3)。
まず、類型1はメタバースを現実世界の金融サービスの営業チャネルとして捉えた形である。これは、多くの金融サービス事業者での検討が可能であり、足許では証券会社による相場疑似相談体験や専門家との座談会実施、損害保険会社によるメタバース上での保険販売に向けたチャネル開発・実証実験が進んでいる。チャネル開発にあたっては、メタバース空間だからこそできる体験の創出、より多くの集客が見込めるメタバース空間への出店が肝要となる。
類型2はメタバース空間における諸活動に対する現実世界の金融サービスの提供である。これは、メタバース空間上の不動産を購入するために、現実世界で住宅ローンを提供することなどが該当し、既にサービス化がなされている。今後、メタバース空間上での経済活動の多様化に合わせ、様々な金融サービス提供の可能性があるものと考えられる。
類型3はメタバース内での活動に対するメタバース内での金融サービスの提供となり、例えば、アバターがメタバース内のレンタルショップへ赴きデジタルアートをレンタルサービス、あるいはメタバース内のショップでアバターの買い物・決済時に不足金額を融資するなど、メタバース空間内の諸活動を支えるための金融サービスとなる。本類型は今後のサービス開発が期待される領域であり、決済・融資・保険・リース/レンタルなど多岐にわたるユースケースが想定される。
類型4は現実世界・メタバース双方の活動に対する金融サービスの提供である。現実世界・メタバースそれぞれに閉じたサービスではなく、アバターと実在人双方を対象とした金融サービスとなる。今後デジタルツイン含め、メタバースと現実世界を跨ぐサービス開発が活発になることが想定されるが、例えばメタバース空間上でのバーチャルトリップと現実世界の旅行双方にまたがる保険商品開発などが想定される。
このように、4類型の中では1・2の金融サービスの研究開発が進むが、今後特定のユースケースに対する類型3・4の提供も増えていくものと推察する。