今回いすゞ自動車が、「課長層のエンゲージメント向上」という課題を、経営課題にまで引き上げるに至った理由として、初回のエンゲージメントサーベイの結果を受けた経営層から「こんな数字を示されても信じられない。本当なのか実際の声を確かめてほしい」という反応があり、このことがきっかけで、課長に詳細なヒアリングを行ったことが大きかったという。
ヒアリングで得られた声は予想以上に生々しく、「解決すべき問題が多いという自覚はある。ただ、管理スパンが大きすぎる。少人数の運営に美学を感じる文化が存在する」や「経営理念の内容には賛同するが、派手な浸透活動は控えるべき。新しいことをやれ、ではなく、まずは目の前の業務を何とかしなければ」、また「堅実な業務をやって当たり前と言われることには反発がある。改善や挑戦に向け、叱られない心理的安全性を確保してほしい」などの声があった。
「他にも、ここでは言えないような内容もありました。そうした課長たちの生の声を、経営会議でトップに伝え続けた積み重ねが、経営陣の心を動かすことにつながりました」(武田氏)
これを受けて経営会議では、4回連続で集中的な議論が行われた。白熱したディスカッションを経て、会社として課長層の抱いている不満や問題意識に明確に答えることを宣言、またCHROから課長層へ向けて、直接メッセージを発信した。こうした取り組みの中で最も大切なことは、「手触り感をそのまま伝えること」だったと武田氏は強調する。
社を挙げた取り組みの成果は、2025年春に実施した2回目のエンゲージメントサーベイに表れた。まず驚くべきは、回答率が95%にまで跳ね上がったことであり、「何かしら言いたいことがあることが、はっきりと読みとれた」と武田氏は分析する。
エンゲージメントスコアについては前回より2ポイント上昇の49%だったが、武田氏が注目したのは中身の変化だったという(図4)。