地域価値共創の取り組みにおける生成AI活用の実態調査

ホワイトペーパー
2025.03.28
  • 交通・運輸・物流
  • 不動産・建設・住宅
  • マーケティング/セールス/顧客サービス
  • AI
946795394

アビームコンサルティングは「地域価値共創の取り組みにおける生成AI活用の実態調査」と題したホワイトペーパーを発行しました。

消費者庁の予測によると、2030年以降、Z世代(1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代)が社会や消費に大きな影響を与える存在となり、消費傾向は、個性や多様性を認め、健康志向・持続可能性・倫理性・環境配慮などの消費傾向が増加すると見られています*。 

文部科学省やカナダのコンサルティング会社などの未来予測を踏まえると、2040年の技術面では、リアルとバーチャルの調和、カスタマイズと全体最適化の共存、自分らしく生き続けられる社会の実現に向けた技術革新の進展、また、宇宙開発の技術が人や物の移動へ活用され、大陸間移動の大幅な時間短縮が実現すると予測されています。しかし、一方で、人口減少や少子高齢化が深刻になることにより、「経済の縮小」「地方の衰退」「財政負担の増加」と言った社会問題を引き起こすと予測されています。

アビームコンサルティングでは、上述の背景を踏まえ、これらの社会問題の解決と、より良い地域社会の実現に取り組む日本の19地域を対象に、地域価値共創(特に生活者との接点)における生成AI活用の実態調査を実施しました。

本ホワイトペーパーでは日本の地域価値共創における生成AI活用の実態を根底から理解し、今後企業や地域が取り組むべき示唆を得ることを試みています。

*消費者庁The Future of Consumer Lifestyles消費生活の未来に関する調査報告書
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/433/doc/20240513_shiryou2-2.pdf

目次

はじめに 
エグゼクティブサマリー
調査概要 
調査結果① 地域価値共創の取り組みにおける生成AIの活用状況 調査結果② 利用している生成AIツール 調査結果③ 生成AI導入状況 調査結果④ 生成AIの導入効果 調査結果⑤ 生成AI導入時の課題 調査結果⑥ 生成AI活用の検討状況 調査結果⑦ 生成AIを導入していない理由 調査結果⑧ 生成AIを今後導入していきたい取り組み 調査結果⑨ 生成AIを今後導入していきたい取り組みの予定時期 調査結果まとめ
提言 ~より良い地域社会の共創に向けて~
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エグゼクティブサマリー  

内閣府や厚生労働省、国土交通省によれば、人口減少や少子高齢化の深刻化により、「地方の衰退」「経済の縮小」「財政負担の増加」と言った社会問題が生じることが予測されている。しかし、「未来予測」よりも重要なのは、人口減少や少子高齢化が深刻になることによってもたらされる悲観的な未来の到来を黙って待つことではなく、自らが「地域の理想の未来」を描くことである。 地域価値共創の取り組みとは、理想の未来を描き、その実現に向けて、自治体、企業、地域住民が共に取り組む価値創造活動である。今回の調査では、「住む」「買う」「働く」「楽しむ」をテーマとした地域価値共創の取り組みの中で、どのように生成AIが活用されているか、その実態の把握を目的としたものである。

地域価値共創の取り組み(特に生活者との接点)における生成AIの活用状況

都市の規模を問わず「商業施設の充実」が上位のテーマになっていたが、小都市は地域の特徴を活かすことを目的とした生成AI活用の特徴がみられた。また、「福祉サービス」の活用率が低いことに関して、人対人のコミュニケーションが重視される点や人材不足が要因と考えられる。

最も利用されている生成AIツール

都市の規模を問わずChatGPT(OpenAI)であったが、小都市は大都市・中都市よりも多様なツールが利用されている傾向が見られた。

生成AIの導入効果

大・中都市では「外部環境データの収集・分析」、小都市では「企画立案業務の品質向上」がトップであったことから、情報収集や企画業務に活用されている様子がうかがえた。

■生成AI導入時の課題

都市の規模を問わず、「生成AI導入後の活用」と「情報の正確性」が挙げられ、生成AIの利用方法や活用イメージが浸透していないことが導入のハードルになっていると考えられる。

提言 ~より良い地域社会の共創に向けて~

人件費削減のために生成AIの導入に取り組むのではなく、人口減少が深刻化することによる人材不足によって地域価値共創の取り組みが止まってしまわないよう、人材の補完を目的として取り組むべきものになっていくと考えられる。より良い地域社会を創るための生成AIの効果的な活用に向けて、次の3つの提言をする。

  • 生成AI投資の妥当性を正しく評価すること
    今回の調査では、生成AIを導入していない理由の一つに、「費用対効果が合わない」といった問題が挙げられていた。地域価値共創の取り組みは、より良い未来の実現を目的とした、街に対するサステナブルな投資活動と位置づけられるため、単なる業務改善効果(個人の時間短縮効果)だけの試算では不十分である。

  • 個人利用から組織的な仕組み化へ
    今回の調査では、個人のブレインワークの時間短縮が主な利用シーンであり、プロセスやサービスへの組み込みは進んでいない様子が伺えた。今後、益々深刻化する人材不足の解消のためには、生成AIは個人利用の範囲で留めず、「地域の社会課題の分析」「その地域ならではの価値の再発見や発掘」「地域の価値の言語化とコンテンツ生成・発信」といった地域価値共創のプロセスに組み込み、各取り組みの自動化・半自動化や人材を充てられていない業務を担当させ、補完することを目指すべきである。

  • 啓蒙やトレーニングによる正しい知識と理解の醸成
    今回の調査では、生成AI導入時の「理解や人材の不足」と「情報の信頼性」に関する問題が浮き彫りになった。人材不足の影響で現場では多忙かつ心理的な余裕がない状態に陥っており、生成AIツールにアクセスしない(食わず嫌いにも見える状態)といった現状も考えられる。生成AI活用によって得られるメリットや、活用しないことによるデメリット、人がいない部分を補完できるシステムとなり従業員のワークライフバランスの適正化に役立つ可能性があるもの、といった啓蒙や基礎知識の習得は早急に取り組むべきものである。

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