エンゲージメント施策が形骸化する背景には、管理職がサーベイ結果を読み解き、真因を見極め、施策に落とし込むまでの負荷が高い一方で、それを支援する仕組みが十分に整備されていないという構造的な課題がある。アビームコンサルティングは、この課題に対し、生成AIを管理職の意思決定の質を高める支援基盤として位置づけ、エンゲージメント向上を「定型施策」から「組織変革」へと転換することを目指した。
本プロジェクトでは、単発の研修にとどまらず、「役割再定義・現場実践・定着」を見据えた一連のプログラムを設計した。具体的には、三つのフェーズで構成される。まず事前ワークショップにおいて、AI活用の基礎と、部下から本音を引き出す対話手法を習得する。次に、管理職がAIを壁打ち相手として活用し、自ら設定した組織課題の仮説をもとに、部下とのグループインタビューを通じて真因を深掘りする。最後に、事後ワークショップにおいてインタビュー結果をAIとともに分析し、具体的なアクションの検討につなげる。
当社の強みは、生成AIの活用知見にとどまらず、経営戦略・人事戦略・現場運用を接続し、行動変容を実装段階まで落とし込む設計力にある。本プロジェクトにおいても、AIを一部の熟練者に限定されたツールとせず、プロンプトやワークシートを標準化を通じ、管理職が再現性をもって活用できる仕組みを構築した。
その結果、管理職は課題整理や施策検討を効率的に進めながら、メンバーとの対話により多くの時間を充てることが可能となり、現場の声を反映した納得度の高いアクションプランの策定につながった。さらに、管理職自身が組織課題を自ら捉え、継続的に改善を推進していく状態が生まれている。こうした取り組みを通じて、データ、テクノロジー、人間理解を掛け合わせ、意思決定の質と組織実行力の向上に結びつける伴走支援を提供している。