株式会社池田模範堂

パーパス・ビジョン2035実現に向けた全社戦略策定の伴走支援
事例
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株式会社池田模範堂

創業100年を超える株式会社池田模範堂(以下、池田模範堂)は、2018年頃から「池田模範堂とは何か」という問いに立ち戻り、自社の存在意義を見つめ直す取り組みを開始。パーパス「唯一無比のこだわりで 『心に残る喜び』を生み出し よりよい日常に変えていく」を策定し、2024年にはビジョン2035「コツコツ真面目にワクワクを仕掛ける会社 池田模範堂は、ワクワク創造企業へ。」を掲げた。
その実現に向けて企業としての進化を図る中で、具体的な成長戦略の策定、ブランドの再構築、社員の挑戦を支える組織づくりといった課題に直面。これらの課題解決に向けて、2025年よりアビームコンサルティングと共に、「ムヒの会社」から「肌を中心とした『健康』に寄り添う会社」への進化を目指し、企業変革を推進している。

経営/事業上の課題

  • 次の100年を見据えた“ワクワク創造企業”への進化に向けて、持続的な企業成長と社会的価値を踏まえた成長戦略を策定
  • 「肌を治す」という機能的価値の枠を超え、「肌を中心とした健康」へと領域を再定義し、情緒的価値を核とする新たなブランド体系を構築
  • パーパス・ビジョン実現に向けた、社員のチャレンジを後押しする組織・人事への進化

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 「私たちごと」「将来起点」をキーワードに、2035年に向けた企業変革ストーリーをミドルアップ型で立案
  • 機能的価値と情緒的価値の両面を捉えたブランド開発フレームとプロセスの設計
  • 変化の激しい事業環境の中で、社員一人ひとりの価値を最大化する人事方針の策定

支援の成果

  • 経営層と次世代リーダーが一体となり、「変革のうねり」を生み出す活動を創出
  • 消費者の日常に寄り添うブランドへの進化に向けた、具体的なブランド設計・企画支援
  • 社員がキャリアを自ら選択し、失敗から学びながら成長を実感できる人事制度への落とし込み

クライアント課題の難所

「ムヒの会社」から、「肌を中心とした「健康」に寄り添う会社」への進化

池田模範堂は、100年以上にわたり「ムヒ」をはじめとする医薬品を通じて、肌トラブルの解決に取り組んできた。機能や効果のエビデンスにこだわり、安心・安全な商品を提供してきた一方で、OTC市場においては機能・効能のみでは差別化が難しく、新たな商品開発も困難になりつつある。次の100年の成長を見据え、企業としての存在意義や、消費者・社会への提供価値の見直しが求められていた。

こうした状況を踏まえ、池田模範堂はアビームコンサルティングの支援のもと、長年親しまれてきた「ムヒの会社」という既存のイメージから脱却し、「肌を中心とした健康」に寄り添う企業への進化を目指す企業変革に着手した。

  • 経営戦略:事業ドメインの再定義
    池田模範堂らしい「けんこう」のあり方を模索する中で、エビデンス(確かな効果・効能)へのこだわりを維持しながら、これまでの主戦場である病気(軽症)から、未病や健康増進へと対象領域を拡大する方針を策定した。
    「治す」という機能的価値が重視される病気だけでなく、症状が明確でない未病や健康増進にアプローチするため、消費者の「気持ち」を先読みし、行動を促す視点を重要した。

  • ブランド体系:パーパス起点での見直し
    これまでは「早く効く」「長く効く」といった機能的価値を起点に商品案を発想してきたが、今後は情緒的価値に目を向け、「消費者が、自分自身も含めて身近な人を思い、寄り添う気持ち」を出発点にアイデアを生み出し、消費者に届けていくという考え方へと転換。
    「辛い(治療)〜怯え(予防)〜穏やか(維持)〜ワクワク(向上)」という気持ちの変化を軸にした開発フレームを導入し、意思決定のスピードと柔軟性を備えた体制・プロセスを整備した。

  • 人事制度:社員一人ひとりの価値を最大化
    変化の激しい事業環境の中で、画一的なキャリアではなく、会社からの期待と擦り合わせながら個人の強みに応じてキャリアを選択できる仕組みを構築。構造的な改革を実現する「変革人材」、自社の強みを育てる「専門人材」、発想を具現化する「創造人材」の3タイプを設定し、それぞれが関わり合いながらステップアップに挑戦する環境を整備した。
    さらに、2045年には「社内外に“ワクワク”が連鎖する、『健康』分野の面白い会社」として、ブランドにファンがつくとともに、社内の組織間、異業種を含む社外との交流が当たり前となり、自社に誇りを持って“ワクワク”働く人材の集団となることを目指した。

企業進化に向けてコアとなる3つの変革

プロジェクトの重要成功要因

戦略策定とカルチャー変革を同時に進め、真の企業変革へとつなげるアプローチ

池田模範堂は、これまで「コツコツ真面目に、安心・安全を実現する」企業文化を強みとしてきた。一方で、次の100年の成長に向けては、これまでの強みを大事にしながらも、社内・部門内で完結しがちで個人の挑戦が埋もれやすい文化から脱却し、「社内外での交流が当たり前となり、失敗を糧に社員自身が“ワクワク”する」文化への進化が重要なテーマであった。

このカルチャー変革を戦略と連動させるため、次世代リーダーを起点としたミドルアップ型の検討プロセスを設計。分科会を中心に議論を進め、経営陣が意思決定する体制を構築した。
分科会では、「全員でパーパスに向き合い、ワクワクを創造しよう」という行動指針のもと、部門横断で巻き込み型の行動を促進。同時に、経営陣は「パーパスに向き合う行動を尊重し、挑戦を支援する」というプロミスのもと、分科会メンバーの挑戦を後押しし、その想いを組織全体に伝える役割を果たすことに取り組んだ。

パーパスの体現に向けて、一人ひとりが従来の枠を超えた挑戦をすることは容易ではない。しかし、全社が一丸となって成長サイクルを少しずつ大きくしていくことで、働きたい人が増え、パートナーが増え、ファンが増え、会社と社員がともに豊かになり、社会への貢献につながるという好循環の創出を目指している。

カルチャー変革に向けたプロジェクト推進体制

アビームの貢献

パーパスを起点に「池田模範堂らしさ」を追求し、社員一人ひとりが行動を起こすことを重視

池田模範堂が目指す“らしさ”の体現に向けて、社員一人ひとりが自ら行動し、社内外を巻き込みながら新たな価値を生み出すことを重視。単なる事業拡大ではなく、2035年・2045年を見据えた持続的な成長の在り方から逆算し、理想論にとどまらない、実現可能かつ「池田模範堂らしさ」を反映した戦略策定を支援した。

具体的には、「ムヒの会社」ではなく「池田模範堂」として認知されたいという経営陣の想いを汲み取り、「なぜ池田模範堂として知られたいのか」を問い直すところから着手した。
一般的なフレームワークを画一的に導入するのではなく、池田模範堂の強み(安心感・信頼・こだわり)を活かせる独自の枠組みを構築し、仮説提示を通じて議論を促進。経営陣や次世代リーダーと一丸となってアイデアを出し合い、「答え(着地点)」を共に見出した。

トップダウンで「変わること」を求めるのではなく、経営陣や管理職が本気の姿勢を示すことで社員の行動変化を促すことが重要であると捉え、各部門の計画や制度設計への反映を支援しながら、企業変革のパートナーとして今後も小さな成功の積み重ねを伴走していく。

池田模範堂のパーパス

池田模範堂のパーパス


池田模範堂に大きな変革のうねりを起こしたい反面、社内の議論がトップダウンになりすぎることを避けたいと考えていました。今回、アビームコンサルティングの皆さんが第三者の視点で戦略策定や議論の場づくりを伴走いただいたことで、社員が自らアイデアを出せる場が整ったと感じています。その結果、やらされ感の少ない、熱意ある議論が増えました。「社員とともに」より良い未来を築いていけるという手ごたえを感じています。

株式会社池田模範堂
代表取締役社長
池田 嘉津弘 氏

株式会社池田模範堂 代表取締役社長 池田 嘉津弘 氏

弊社では2024年に理念体系を策定しましたが、フォアキャスティングの考え方に慣れていたことやトップダウンの社風が強かったことから、バックキャスティングの議論がなかなか進みませんでした。今回、アビームコンサルティングの皆さんにご支援いただいたことで、経営層から現場まで多くの関係者が理念を自分ゴトとして捉え、バックキャスティングで実現性があり、池田模範堂らしさにあふれた戦略を策定することができました。

株式会社池田模範堂
専務取締役
池田 嘉寿人 氏

株式会社池田模範堂 専務取締役 池田 嘉寿人 氏

Customer Profile

会社名
株式会社池田模範堂
所在地
富山県中新川郡上市町神田(じんでん)16番地
設立
1948年(昭和23年)
事業内容
医薬品の製造販売
資本金
9,516万円
株式会社池田模範堂

2025年12月15日

専門コンサルタント

  • 小宮 伸一

    Principal
  • 吉田 佳輔

    Director
  • 鈴木 将史

    Director

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