山梨県教育委員会

学校現場の教職員が主体となって働き方改革を実現する「校務DX」を支援
事例
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山梨県教育委員会においては、教職員の働き方改革およびその自走化を目指し、ICTを活用した校務DXの事例創出に取り組んでいた。

本事業では、4つのモデル校(高校・特別支援学校)を選定。アビームコンサルティングが有する「課題解決型アプローチ」および業務改革における豊富な支援実績を活かし、課題の抽出から要因の分析、解決策の検討に至るまで、ノウハウに基づく“課題解決のプロセス”を提供し、これら一連のプロセスをモデル校の教職員が主体となって実践した。ICTに不慣れな教職員も多く存在したが、研修やワークショップなどを通じて、意識変革およびスキル向上を強力に支援した。その結果、教職員一人ひとりが校務DXの効果と重要性を実感し、アプリ開発も含めICTを活用した課題解決を達成した。
各モデル校で得られた成果は事例集として整理し、校務DXの取り組みは県内全域への展開が期待されている。

経営/事業上の課題

  • 学校現場の教職員は日々膨大な業務を担っているが、ICTを活用した業務改善が十分に進んでいない
  • 山梨県は「働き方改革は全員が担当者」との方針を掲げており、教職員一人ひとりが働き方改革を「自分事」として捉え、主体的に取り組む意識の醸成が必要
  • 「ICT活用への不安」や「紙を前提とした従来の業務スタイル」など、校務DXの阻害要因が複数存在している

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 課題の抽出から要因分析、解決策の検討に至るまで、課題解決の進め方に関するノウハウを提供し、モデル校の教職員による主体的な実践を伴走型で支援
  • 教職員を対象としたワークショップでは、ICTツールの活用・開発方法を伝授するとともに、教職員同士の対話を通じて校務DXに向けた具体的な解決策のアイデア創出を促進
  • 教職員のニーズを踏まえ、視覚的に分かりやすく訴求力の高い事例集や研修資料、アプリなどを作成・提供し、モデル校で得られた成果の県内展開を支援

支援の成果

  • 課題解決に向けたヒアリングやワークショップを通じて、複数の教職員を巻き込みながら、各モデル校が主体的にICTを活用した業務改善を実現
  • 各校の課題に応じて、Microsoft365の複数ツールの活用からノーコード/ローコードによるアプリ開発まで、多様な実践事例を創出
  • モデル校で得られた成果をもとに、事例集やアプリ開発の研修資料を作成・提供し、県内全域への展開と普及を促進

クライアント課題の難所

教職員主体による校務DX自走化の壁

山梨県では従前より、新校務支援システムの導入やネットワークの統合など、教育委員会主導によるトップダウン型のICT環境整備を推進してきた。そのため、本事業における校務DXの次なる目標は、学校現場において教職員が主体となり、ボトムアップ型でICT活用を日常化し、校務DXを自走化することであった。

しかしながら、学校現場の教職員は、学習指導に加え、生徒指導や学校行事の運営など多岐にわたる業務を日々担っており、「校務DXまで手が回らない」との声が多く寄せられていた。また、ICT活用に不慣れな教職員や、従来の業務手法を変更することに対して不安を抱く教職員も少なくなかった。

このような背景を踏まえ、学校現場における不安やICTへの苦手意識を払拭し、教職員の意欲を引き出す伴走型の支援を行うことが極めて重要であった。

本事業は令和6年度に約半年間実施され、以下に示す課題解決のプロセスを通じて、モデル校および教育センターに所属する複数の教職員を巻き込みながら、実践的な事例を創出した。アビームコンサルティングは、各回のファシリテーション、課題・要因の分析、解決策のナレッジ共有などを通じて、教職員主体による業務改善の取り組みを強力に支援した。

図1 伴走型支援※ による、課題解決のプロセス

プロジェクトの重要成功要因

教職員の主体性を引き出す意識改革とスキル醸成

モデル校の教職員が校務DXを「自分事」化するには、校務DXに対する意識の変革とスキルの向上が重要な成功要因であった。

本事業ではまず、開始直後にモデル校教職員向けの説明会を実施し、校務DXの必要性および課題解決のプロセスについて共通認識を形成。これにより、教職員のマインドセット(意識付け)を促し、取り組みに対する前向きな姿勢を引き出した。
その後、課題解決のプロセス(前述の図表参照)に基づき、ヒアリングやワークショップなどを実施。校務DXの主体は教職員自身であるという前提のもと、アビームコンサルティングがファシリテーションを担い、Microsoft 365などのICTツールに関するナレッジの共有を行ったことで、教職員から効率的に意見や取り組みを引き出した。

さらに、教職員が取り組む内容に応じて、適切なICTツールの選定や機能の紹介、活用方法の提示、他校の事例の共有を行った。共通して抽出された課題に対しては、ハンズオン形式によるアプリ開発研修も実施し、実践的なスキルの習得を支援した。

これらの取り組みにより、教職員の不安を軽減し、校務DXの有効性と必要性に対する理解を深めることができた。その結果、意識の変容とスキルの向上が促進され、教職員主体による実践的な事例の創出へと結びついた。

アビームの貢献

教職員の実践を支える伴走型支援と成果の広域展開

アビームコンサルティングは、コンサルティングノウハウを活かした伴走型支援を通じて、モデル校の教職員による校務DXの実践と事例創出に貢献した。4つのモデル校においては、それぞれ複数のICTツールを活用した課題解決が実現され、業務時間の短縮や業務効率の向上といった具体的な成果が得られた。

さらに、校務DXの取り組みを一過性や限定的なものに留めることなく、継続的かつ広域的に展開するため、各モデル校の成果を視覚的に分かりやすく整理した事例集を作成した。これらの事例集には、過去の支援実績を踏まえた教職員のニーズを反映し、具体的なツールの活用方法やポイント、実践に取り組んだ教職員の声などを盛り込んだ。

これらの成果物は、教育委員会が新たに策定した働き方改革の取組方針にも反映されており、今後は県内全域への展開・発展が期待されている。アビームコンサルティングは、教職員の働き方改革に資する校務DXの自走化に向け、今後も継続的に支援していく。

図2 校務DXによる業務改善事例集(イメージ)

2025年8月29日

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