千代田化工建設株式会社

10年後のビジョンと中期経営計画策定をはじめとする企業変革に向けた伴走支援
事例
  • 経営戦略/経営改革
  • プロセス産業
  • 石油
千代田化工建設株式会社

千代田化工建設株式会社(以下、千代田化工建設)は、再生計画を経て、再び成長軌道に向かうべく、2030年ビジョンと中期経営計画の策定に着手した。2023年8月から全社を巻き込み、部門横断でワーキンググループを組成。アビームコンサルティングの支援のもと、現経営メンバーと次世代リーダーや現場キーパーソンが膝詰めで議論を重ね、中期経営計画を策定。しかし、米国LNGプロジェクトにおけるJVパートナーのChapeter11に端を発する業績不安定もあり、策定した中期経営計画の公開を延期することになった。
その後改めて、自社の財務状況やEPC(設計、調達、建設)ビジネスの課題を棚卸しし、今後10年20年先に向けて変わらぬ千代田化工建設グループとしての強みを発揮できるよう、次世代リーダーを中心に10年後に目指す姿、事業の方向性をまとめた「10年の計」が検討された。そして、新中計推進室のリードする中期経営計画策定プロジェクトに2025年1月から再びアビームコンサルティングも参画し、「自己変革」を軸とした中期経営計画「経営計画2025(自己変革~かなえたい未来へ~)」を策定し、公開に至った。

経営/事業上の課題

  • 大型EPCへの依存からの脱却や業績変動に振り回されない、財務的な健全性を担保する案件のポートフォリオ変革
  • EPCビジネスで培った知見を活かしたNon-EPCビジネスの成長
  • 大規模で複雑なエンジニアリングビジネスを企画・遂行できる中核人財の確保

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 既存の中核事業であるEPCビジネスの構造変革に向けた、社内外のステークホルダーに伝わる変革ストーリー策定と、案件管理オペレーションの見直し
  • 脱炭素やライフサイエンスなどの技術的優位性や事業拡大の可能性を理解したうえで、中期経営計画として開示できるビジネスモデルの可視化
  • 人財開発基本方針や、以前検討したwell-beingなどの考え方を踏襲した人財の質・量を拡大する計画の落とし込み

支援の成果

  • 過度にリスクを負わないポートフォリオ管理が可能な「自己変革」に向けた本部長陣の合意形成
  • 「10年の計」を経て、事業投資や操業後のオペレーションまで伴走する事業共創モデルへ着手する体制を構築
  • 競争力の源泉になる人財を核とした全社の成長に向け、中核人材の育成方針を策定

クライアント課題の難所

ステークホルダーへの「自己変革」の理解浸透

千代田化工建設は、海外LNG(液化天然ガス)などの大型EPCで培ってきた実績や強みがある中、過度にリスクを背負わない案件の規模感や契約形態を志向する「自己変革」に舵を切ることの経営の意図・想いを、ステークホルダーに理解・浸透することが最大の課題であった。
社内のステークホルダーに向けては、事業がシュリンクするような誤解を与えないこと、すなわち事業の将来性や、育成への投資など、社員のエンゲージメントに繋がる施策立案とメッセージ発信を丁寧に進め、全社一体となって掲げる「自己変革」に取り組んでいく気運と体制を作っていく必要があった。
社外のステークホルダーに対しては、株主、機関投資家やアナリストに対して、再生計画からの繋がりとして、財務的健全性の実現性・蓋然性と、そのうえでの成長期待を醸成するコミュニケーションが必要であった。

経営計画2025(自己変革~かなえたい未来へ~)(出典:千代田化工建設)

プロジェクトの重要成功要因

短期間に全社の意思統一を図る、徹底的な議論の仕掛け

長期ビジョンや中期経営計画の策定においては、ただ単に戦略を描くだけでなく、全社の意思統一が必要だったため、アビームコンサルティングが伴走し、以下の取り組みを行った。

  • 事業間・部門間といった「横の認識相違」を解消し、全社一体となって企業変革へのチャレンジにコミットする機運を醸成しながら、短期間に議論を煮詰め切るワークショップの設計と運営

  • 経営と現場間の「縦の認識相違」を解消する、「10年の計」の検討を踏まえた経営討議やワーキンググループでの意見集約

  • プロジェクト期間中の海外での状況変化による業績インパクトも踏まえた柔軟な対応

その結果、現経営陣と次世代リーダーが全社の方向性を腹落ちすることで、実行に向けた体制の構築と意識の醸成に至った。

アビームの貢献

さまざまな立場や状況変化を見極めた経営方針の合意形成と、全社ビジョンの実現に向けたアクションとして個別テーマでの伴走

2023年から2024年に、経営層とのディスカッションや、そこに向けた10数個の個別ワーキンググループでの長期戦略をファシリテーションし、全社を挙げた変革の検討を支援。

その後、「10年の計」の検討を経て、改めて次期中期経営計画に落とし込む際には、新中計推進室とワンチームとなって論点設計、初期仮説立案、落とし所や判断基準の設定を推進。わずか約3か月という短期間で経営層の討議を完結させるに至った。また、社外発表や社内説明といったコミュニケーションプランを策定し、ステークホルダーに浸透させる際の押さえ所・留意点や、進捗管理の手法などまでサポートしている。

併せて、グループの中長期戦略に掲げる変革テーマとして、トヨタ自動車株式会社と千代田化工建設の共創による「水電解装置の開発・製造・販売に向けた事業構想」、Non-EPCビジネスの立ち上げを加速するための体制づくりとして「事業戦略営業部」の立ち上げ、国内・海外営業の情報連携や営業戦略立案に向けた「営業改革」、子会社である千代田エクスワンエンジニアリング株式会社の事業変革を構想した「CXOビジョン2030策定」といった重要アジェンダを伴走型で支援し、長期ビジョンを絵に描いた餅で終わらせず、実行性を追求したパートナーとして企業変革に貢献している。


アビームコンサルティングの皆さんには2年越しでサポートをいただきました。2024年までの準備から始まり、先行してまとめた「10年の計」を踏まえた上で、まさに「自己改革」を目指して“伴走”していただいたものです。
特に2025年に入ってからは、時間的な制約もある中、重要なポイントを指摘、リマインドいただき、「自己改革」というテーマの中で、焦点の定まった、かつ骨子のしっかりした中期経営計画にまとめられたと思います。

千代田化工建設株式会社
代表取締役社長
太田 光治氏

千代田化工建設株式会社 代表取締役社長 太田 光治氏

2025年に入ってから、「10年の計」を具体的かつ迅速に計画に落とし込み、中期経営計画へ繋げるべく取り組みを進めてまいりました。この過程では、各本部長を含む経営陣を交えた討議を約20回にわたり重ねる中、「自己改革」の理念のもとで、計画の整合性と実現可能性を高めることが求められました。この点につき、討議後時を置かず、議論の要点や課題、そして議論の進むべき方向性について的確かつ簡潔にご指摘いただいたことは、私たちの進行を大いに助けるものでありました。
今後は、この中期経営計画を着実に実行に移し、定められた目標を達成するために、さらなるサポートをお願いしたいと考えております。

千代田化工建設株式会社
新中計推進室長 執行役員
松原 正人氏

千代田化工建設株式会社 新中計推進室長 執行役員 松原 正人氏

Customer Profile

会社名
千代田化工建設株式会社
所在地
神奈川県横浜市西区みなとみらい四丁目 6番2号 みなとみらいグランドセントラルタワー
設立
1948年1月20日
事業内容
総合エンジニアリング事業 (ガス、電力、石油、石油化学、一般化学、医薬品等の設備並びに公害防止・環境改善・保全及び災害防止用等の設備に関するコンサルティング、計画、設計、調達、施工、試運転及びメンテナンス等、石油・天然ガスその他鉱物資源の開発、関連事業に関する投融資)
資本金
150億14百万円
千代田化工建設株式会社

2025年8月7日

専門コンサルタント

  • 斎藤 岳

    Principal 顧客価値戦略ユニット/企業価値戦略ユニット長
  • 藤田 欣哉

    Principal
  • 吉田 佳輔

    Director

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