三菱電機では10年間で延べ1,000人以上の社員がSLCのプログラムを受講している。これらの取り組みは、ソリューションビジネスへのシフトを後押しする大きな原動力となっており、実際に事業化に結び付くケースも生まれている。「私は以前、宇宙システム事業部で新規事業を立案する部署にいたのですが、元々はSLCの受講者なんです。私が参加した2018年のSLCでは人工衛星から得られるデータを活用し、農業や自動運転などへの応用などの新たなソリューションビジネスを模索しましたが、個々のビジネス規模は小さく、地上でも代替できるとの理由からなかなか具体化に至りませんでした。チーム全員で悩みながら議論を重ねた結果、データを活用するプラットフォーム構築を提案するに至りました。その考え方に基づいて、現在実現しつつあるのが『日本版災害チャータ』の研究です」(西川氏)。
日本版災害チャータは、災害発生後に衛星データを活用して迅速な初動対応や復旧・復興支援に貢献することを目指すサービスだ。2025年5月には、防災科学技術研究所、富士通、衛星データサービス企画、三菱電機の4社が実運用スキーム高度化に向けた共同研究契約を締結し、実用化に向けた取り組みを進めている。SLCでの企画提案も、本事業の実現につながっている。
三菱電機では、2030年度までにDX人財2万人の確保を目指し、体系的な育成プログラムである「DXイノベーションアカデミー」を2025年4月に設立した。それを受けて、SLCでもDX関連のコンテンツの強化を進め、さらなる質の向上を図ろうとしている。また、この講座は部門を越えたコミュニケーション・交流の場としても大きな役割を担うようになっている。「SLCは異なる事業の社員の出会いの場となっていて、そこで交流することで新たな気付きを得ることができます。社員が集まって相互作用を起こす新たな学びの場を作り、事業連携のトリガーになることを目指していきます」(西川氏)。
三菱電機ではアビームコンサルティングの支援を受けながら、プログラムにタイムリーに反映させていくと共に、アビームコンサルティングが持つグローバルな視点も取り入れていく。イノベーティブカンパニーへの変革に向けて、ソリューション提案講座とSLCの内容をさらに充実させていく考えだ。