イノベーティブカンパニーへのシフトに向けた人財育成を支援、パートナーとして次世代ソリューションビジネスリーダー育成に貢献

三菱電機株式会社
事例
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三菱電機株式会社

三菱電機は、「『循環型 デジタル・エンジニアリング』による社会課題解決」を目指して、ソリューションビジネスへのシフトを進めている。同社はアビームコンサルティングをパートナーとして、2015年から次世代ソリューションビジネスリーダー(以下、次世代ソリューションリーダー)育成に取り組んできた。2025年時点で、ソリューションビジネスの基礎を学ぶ講座と、ビジネス案の企画に取り組む上級講座を展開し、受講者数は2015年から延べ1,000名を超える。同プログラムを通じて事業化に至る案件も生まれ、同社ではこの成果の上にイノベーティブカンパニーへの飛躍に挑戦していく考えだ。

経営/事業上の課題

  • ソリューションビジネスへのシフトに向けた次世代リーダーの育成
  • 事業機会の探索力やソリューション企画力、ステークホルダーを巻き込んだプロジェクト推進力の強化

課題解決に向けたアビームの支援概要

  • 2015年から一貫して育成プログラムの設計・実施をサポートし、ソリューションビジネスに求められるスキル・マインドの習得を支援

支援の成果

  • 延べ1,000人以上の次世代ソリューションビジネスリーダーを育成
  • 同プログラムを通じて、事業化に至る案件も創出

2015年に次世代ソリューションビジネスリーダーを育てるための育成コースを立ち上げ

三菱電機株式会社(以下、三菱電機)は1921年の設立以来、重電機、FA機器、半導体、人工衛星、家電など、幅広い事業を展開してきた総合電機メーカーである。同社は経営戦略として「『循環型 デジタル・エンジニアリング』による社会課題解決」を掲げ、ソリューションビジネスへのシフトを進めている。その中で事業を横断したデジタル基盤「Serendie(セレンディ)」を活用した新しいソリューションの提供や、DX(デジタルトランスフォーメーション)人財の強化、オープンイノベーションを推進している。
これらの変革を進めるには、従来の価値観にとらわれない、より創造的なマインドセットが重要となる。
「三菱電機のエンジニアにとって、今までの最大の価値は失敗せずに確実に製品を開発し、市場に投入していくことでした。しかし、ソリューションビジネスとなると、失敗を恐れずに挑戦していくことが求められます。しかも、取り組みをアジャイルに進めていくことが大切になります」と三菱電機 グローバル人財部 人財開発センター長 兼 DXイノベーションアカデミー長 西川 孝典氏は語る。
2015年、三菱電機は各製作所を横断して新たなソリューションビジネス創出を担う次世代リーダーを育てるため、「ソリューションリーダー育成コース(以降:SLC)」を立ち上げた。コースの設計にあたり、ジョブ(職務・役割)及び求められるコンピテンシー(適格性)の定義を進める中で、特に重視したのが、プランナーとコンサルタントの双方の役割を果たすことができる人財の育成だった。

アビームコンサルティングは私たちと共に議論を重ねながら、あるべき研修の姿やコンテンツを一緒に作り上げていく、真に大切な共創パートナーです

三菱電機株式会社
グローバル人財部
人財開発センター長 兼
DXイノベーションアカデミー長
西川 孝典氏

製造業の現場感覚を理解した上で実践的な能力を生み出す提案を評価

三菱電機ではSLCを運営するにあたって、第三者のコンサルティング会社の伴走が欠かせないと判断し、パートナーの選定を進めた。選定において重視したのは、単なる知識提供にとどまらず、事業に適用できる実践的なスキルを身に付けられることだった。複数社の提案を比較・検討した結果、最終的にアビームコンサルティングをパートナーとして選定した。
「エンジニアが『トレーニングを受けてよかった』で終わりにしたくありませんでした。マインドセットを変えていくところから始めて、私たちが定義したフレームワークに当てはめて実行する力を付けていくという観点で選んだのが、アビームコンサルティングでした。アビームコンサルティングの提案は、製造業の現場感覚をよく理解した上で、実践的なスキルを身に付けることがゴール設定されていることや、当社の風土やマインドも理解した上でカリキュラムを一緒に創り上げていく取り組み姿勢など、私たちがやりたいと考えていることに合致していました。また、グローバルに事業展開していることも評価しました」(西川氏)。
三菱電機ではSLCをOff-JTとOJTの中間にあたる「OJD(オン・ザ・ジョブ・デベロップメント)」の育成プログラムと位置付け、最終的に事業へ結びつく提案ができる人財育成を目指した。2015年から5年間はテーマを社内から募集し、それに応じたリーダー層の社員を選抜してトレーニングを実施。実際に顧客に提案するための企画立案の進め方、社内外ステークホルダーの巻き込み方、プロジェクトを推進するスピード感などを重視しながら、プログラムを進めていった。

ソリューションリーダーコースの全体像 ソリューションリーダーコースの全体像

プロジェクトの目標・課題と解決策

ソリューションビジネススキル習得の講座とビジネス案作成の上級講座を展開

三菱電機では、SLCの実施を通じて次世代ソリューションリーダーが着実に育ってきたことから、「『循環型 デジタル・エンジニアリング』による社会課題解決」という経営戦略を実現するには、より多くの社員の育成に取り組んでいく必要があると判断した。そして、2015年以来の経験と実績をベースに、アビームコンサルティングと共に、O-JTを通じたソリューションビジネス人財の育成を目的に基礎知識を学ぶ「ソリューション提案講座」と、ビジネス企画に取り組む上級講座である「SLC」の2つのプログラムを開講した。
ソリューション提案講座は、講義形式でソリューションビジネスのポイントを習得した上で、そのポイントを実践的に生かすための演習を行う流れで構成される。2025年度は、6月から1月まで各回最大35名を対象に、4種類の講座をオンラインで合計10サイクル実施した。一方、SLCアドバンスコースは、講義による知識習得に加え、アビームコンサルティングの戦略コンサルタントが伴走する形でソリューションビジネス案の企画に取り組む。2025年度は6月から12月まで製作所をはじめとした各組織から選抜された28人を対象にオンサイトで8回のセッションとフォローアップを実施、加えてオンラインでのグループ別ミーティングも定期的に行っている。また両者共に急速に進化する生成AIの活用方法を講座に取り入れるなど、最新情報を迅速にトレーニングへ反映している。
「プログラムの開始から10年が経過し、近年は各組織からSLCへの推薦が非常に増えています。もっとも、単なる研修にとどまらず、ソリューションビジネスの提案までしっかり作っていくことを考えると、一度にたくさんの人を受け入れることはできません。そこで選抜制を取りつつ、知識をしっかり身に着けたい方はソリューション提案講座で学ぶことができるようにしています」(西川氏)。
アビームコンサルティングは、ソリューション提案講座、SLCの講座の設計から実施まで、10年間にわたり三菱電機に伴走してきた。その中で、新たな課題が浮上し、プログラムの見直しが必要になる場面も多かった。三菱電機は人財育成や新規事業開発の知見を持つアビームコンサルティングと協働しながら、人財育成の価値向上に取り組んできている。アビームコンサルティングは、急速に変化する社会やマーケット環境や、三菱電機が抱える課題感を踏まえた上で、新規事業に取り組むためのプロセスやマインドセット、フレームワークを盛り込みながらプログラムを遂行している。
初期の段階では、机上でソリューションを考えがちだったが、取り組みを重ねる中で、顧客の状況や課題を深く理解するため早期の顧客インタビューを設定することで、ソリューションビジネスで重要なコンサルティング営業としてのスキル習得や、ターゲット顧客の拡大や実態に根差したソリューションビジネス案の企画が可能になっていった。さらに顧客視点のマインドを徹底して考えさせるため、SLCでは社内向け事業企画書に加え、顧客向け提案書を最終アウトプットとすることにもこだわった。
「実際に顧客にインタビューに行くトレーニングは他にありません。私もそうでしたが、飛び込みで顧客の真の課題・悩みを取りにいった経験があるメンバーはほとんどいませんでした。そうした経験を通じて多くの気付きを得られましたし、顧客側のスピード感に対して自分たちが遅れていることにも気付くことができました。これらの実感を参加したメンバーが自分の所属する製作所にその知見やマインドを持ち返ることで、失敗を恐れずに挑戦する風土が会社全体に浸透してきています」(西川氏)。

ソリューション提案講座のプログラム構成 ソリューション提案講座のプログラム構成
SLCのプログラム構成 SLCのプログラム構成

プロジェクトの成果と今後の展望

イノベーティブカンパニーへの挑戦に向け、内容の充実化を図る

三菱電機では10年間で延べ1,000人以上の社員がSLCのプログラムを受講している。これらの取り組みは、ソリューションビジネスへのシフトを後押しする大きな原動力となっており、実際に事業化に結び付くケースも生まれている。「私は以前、宇宙システム事業部で新規事業を立案する部署にいたのですが、元々はSLCの受講者なんです。私が参加した2018年のSLCでは人工衛星から得られるデータを活用し、農業や自動運転などへの応用などの新たなソリューションビジネスを模索しましたが、個々のビジネス規模は小さく、地上でも代替できるとの理由からなかなか具体化に至りませんでした。チーム全員で悩みながら議論を重ねた結果、データを活用するプラットフォーム構築を提案するに至りました。その考え方に基づいて、現在実現しつつあるのが『日本版災害チャータ』の研究です」(西川氏)。
日本版災害チャータは、災害発生後に衛星データを活用して迅速な初動対応や復旧・復興支援に貢献することを目指すサービスだ。2025年5月には、防災科学技術研究所、富士通、衛星データサービス企画、三菱電機の4社が実運用スキーム高度化に向けた共同研究契約を締結し、実用化に向けた取り組みを進めている。SLCでの企画提案も、本事業の実現につながっている。
三菱電機では、2030年度までにDX人財2万人の確保を目指し、体系的な育成プログラムである「DXイノベーションアカデミー」を2025年4月に設立した。それを受けて、SLCでもDX関連のコンテンツの強化を進め、さらなる質の向上を図ろうとしている。また、この講座は部門を越えたコミュニケーション・交流の場としても大きな役割を担うようになっている。「SLCは異なる事業の社員の出会いの場となっていて、そこで交流することで新たな気付きを得ることができます。社員が集まって相互作用を起こす新たな学びの場を作り、事業連携のトリガーになることを目指していきます」(西川氏)。
三菱電機ではアビームコンサルティングの支援を受けながら、プログラムにタイムリーに反映させていくと共に、アビームコンサルティングが持つグローバルな視点も取り入れていく。イノベーティブカンパニーへの変革に向けて、ソリューション提案講座とSLCの内容をさらに充実させていく考えだ。

Customer Profile

会社名
三菱電機株式会社
所在地
東京都千代田区丸の内二丁目7番3号(東京ビル)
設立
1921年
事業内容
重電、FA機器、半導体、人工衛星、家電などの製造
資本金
1,758億2,000万円
三菱電機株式会社

2026年3月26日

※会社名、肩書き、役職等は2026年3月時点のものです。

専門コンサルタント

  • 斎藤 岳

    Principal 顧客価値戦略ユニット/企業価値戦略ユニット長

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