株式会社カネカ

株式会社カネカ

Customer Profile

会社名 株式会社カネカ
所在地 東京都港区赤坂1-12-32(アーク森ビル)
設立 1949年9月1日
事業内容 Vinyls and Chlor-Alkali, Performance Polymers(MOD), Performance Polymers(MS), Foam & Residential Techs, E & I Technology, PV & Energy management, Performance Fibers, Medical, Pharma & Supplemental Nutrition, Foods & Agris
資本金 330億4600万円

※会社名、肩書き、役職等は取材時のものです。

工場発のイノベーション創出へ
Future Factoryワークショップで現場のデジタル化を推進

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進される昨今、化学メーカーのカネカも急激に変化するビジネス環境へ対応するFuture Factory構想が必要という認識を持っていた。そこで2018年度より、製造のラインマネージャを対象としたFuture Factory構想をワークショップ形式で行った。アビームコンサルティングはパートナーとして、プロジェクトの準備段階から参画し、参加者が自分事として捉えられるようなプログラムに工夫した。
その結果、ビジネスモデル変革を志向する人財が増加し、デジタル化を推進しようとする工場も出てきている。カネカでは今回の成果を踏まえ、次期中期計画にデジタル施策を取り込んでいった。

プロジェクト概要

導入前の課題

  • 企業のデジタル化の理解促進と製造現場における“自分事化”
  • 既存の延長ではない施策立案力
  • 現場が主体的に構想するFuture Factoryへの脱却
  • デジタル潮流・競合動向への危機感の醸成
  • 現場の競争力のさらなる向上

ABeam Solution

  • 各工場を跨いだワークショップ形式による構想立案
  • モノづくり、テクノロジー双方の知見に立脚したカリキュラムの作成
  • 最先端の産業別動向、生産現場に特化した工場デジタル化事例のリアルタイム提供

導入後の効果

  • 現場スタッフの危機感の醸成とFuture Factory構想を積極的に推進する意識の向上
  • 産業別競争力強化に向けた工場発/現場発の施策・中期計画立案
  • デジタル技術を踏まえた工場施策のアップデート
  • 既存の延長ではないFuture Factoryデザイン

Story

古川 直樹 氏

コンサルタントが現場に寄り添う人たちで、参加者も接しやすかったと思います。ICT活用戦略教育以外の分野でも、我々のコーチ役として一緒に仕事をしてもらいたいと思います

 

株式会社カネカ
執行役員
IoT Solutions Center
DX企画
(前:信頼の生産力センター 
信頼の生産センター長)
古川 直樹 氏

Story

プロジェクトの背景

製造業のデジタル変革の主役は工場、ラインマネージャ
自らが10年後の工場のあるべき姿をデザインする

 1949年に設立されたカネカは、2019年で70周年を迎えた化学メーカーである。同社は「カガクでネガイをカナエル会社」をスローガンに、地球環境保護と快適なくらしに貢献する「Material Solutions Unit」、省エネルギーと豊かなくらしの創造に貢献する「Quality of Life Solutions Unit」、高齢化社会・医療高度化社会に貢献する「Health Care Solutions Unit」、健康と豊かな「食」に貢献する「Nutrition Solutions Unit」の4つの事業ドメインを軸として、社会が抱える課題解決に挑戦している。

 「当社の製造部門はグローバル化や事業変革を進める中で、デジタルテクノロジーを取り入れながら競争力のある現場を作っていくことに全事業所を挙げて取り組んでいます」と語るのはカネカ 執行役員 IoT Solutions Center DX企画 古川直樹氏である。

 同社には高砂、大阪、滋賀、鹿島の4つの主要工場があり、海外を含めると生産拠点は50カ所以上に上る。また事業ドメインは多岐にわたるだけでなく、事業特性ごとに生産活動の内容も異なり、各工場では複数の製品を製造している。「そうした中で、カネカでは主軸となる工場の将来像は独自性を持って描かれるべきとの観点から、10年後の工場のあるべき姿をラインマネージャ自身が描けるようにしたいと考えました」とカネカ 信頼の生
産力センター 信頼の生産センター 生産革新グループリーダー 倉本孝政氏は説明する。

 

 

倉本 孝政 氏

今回のプロジェクトだけでなく、アビームコンサルティングにはビッグデータやAIなどの案件もお願いしています。今後ともWin-Winの良好な関係を維持していきたいです

株式会社カネカ
信頼の生産力センター
信頼の生産センター
生産革新グループリーダー
倉本 孝政 氏

Story

アビームコンサルティングの選定理由

製造業、デジタルテクノロジーへの知見、そしてデジタル化プロジェクト推進力

 ICTの進化とともにビジネス環境は急激に変化している。そうした状況に対応するFuture Factory構想を描くには、デジタルテクノロジーが大きな役割を果たすこととなる。そこでカネカでは、ラインマネージャがデジタルテクノロジーを核に他社の事例も学び、世の中の変化や動向に対して危機感を持ち、自らが施策の立案や資源の配分を行えるようになるための戦略的な研修を実施することを決めた。

 「本社が一方的に進めても、各工場が心の底から納得しなければ、研修を行っても意味がありません。意識改革も含めて、世の中の変化や他社事例を自分たちの武器にしてもらうためのICT活用戦略/構想にしたいと考えました」とカネカ 信頼の生産力センター 信頼の生産センター 生産革新グループ 生産システム革新チームリーダー 木中真吾氏は語る。

 他社の事例や最新の業界動向を知るのは、カネカだけでは難しいこともあり、外部の力を借りることにした。
研修を実施している複数の企業を比較検討した結果、アビームコンサルティングに依頼することを決定。決め手となったのは、アビームコンサルティングがデジタルテクノロジーへの知見を多く持ち、企業のデジタル化支援の理解が深く経験が豊富なことだった。「アビームコンサルティングにはICT分野では企画から実践、ソフトウェアの開発までオールラウンドでの実績がありました。様々な業界知見に加えて製造業ならではの工場に対する知識も豊富で、私たちが知りたい工場事例や化学メーカーの動向に詳しいことも評価しました。総合的に見て、現場をよく理解しているアビームコンサルティングが最適だろうという結論になりました」(倉本氏)。

 

 

木中 真吾 氏

アビームコンサルティングに相談を持ちかけるとフットワークが軽く、きちんと提案をまとめてもらえます。今後は実務戦略も含めて、一緒に競争力向上に取り組んでいければと考えています

株式会社カネカ
信頼の生産力センター
信頼の生産センター
生産革新グループ
生産システム革新チームリーダー
木中 真吾 氏

Story

プロジェクトの目標と推進する上での課題、解決策

実務に即したワークショップでデジタル化の意識を刺激し自分事化へ

 化学メーカーであるカネカはモノづくりが事業の根幹である。世の中の変化のスピードは早く、工場からアイデアを発信して、生産や事業を変革していかなければ生き残っていくのは難しい。そうした状況が他の業界では起きていることから、研修は「ICT活用戦略とFuture Factory構想プロジェクト」と名付け、事業の変革を現場から発信、参加者が研修後にデジタル人財として動けるようになることを目指した。

 世の中の変化に後れを取らないために危機感を持つこと、そして10年後の工場を描き、その実現施策を考えることを主な目的に据えた。そのために必要な研修とワークショップの内容をアビームコンサルティングと議論しながら決めていった。信頼の生産センターはワークショップを具体的に企画した経験はなかったが、アビームコンサルティングと議論を積み重ねることで、内容を短期間で作成できた。世の中の動きや変化に関する一般的な知識は持っている。また他社事例も紹介されることがあるが、その多くは海外のトップ企業の取り組みだ。
それを教育でやったとしても、参加者は資金や人が潤沢にあるグローバル企業だから可能なのだと考えてしまうだろう。「一人ひとりが腹の底から納得できる内容にするために、中味を詰めていきました。アビームコンサルティングとの議論も、そこに集中していて社外のコンサルタントが本社と異なる視点でアプローチする内容にしていきました」(倉本氏)。

 同プロジェクトは全体で3日間とし、講義+ワークショップ形式で実施した。その中で、ワークショップは下図のフレームワークを道標とし、架空のテーマで考えるのではなく、実際の現場に即したテーマにすることで、参加者が自分の問題として捉えることができるようにした。「アビームコンサルティングのコンサルタントもあらかじめ作成されたシナリオに沿った内容ではなく、出てきた意見に対してアドバイスするような手法で、実務に即したものになりました。最終的なゴールは、参加者が自分自身で現場に即したFuture Factoryを描くことです。最終日には執行役員である私に提案・宣言し、私がそれに対してコメントするという形にしました」(古川氏)。

コンテンツ概要

コンテンツ概要

ICT活用戦略/Future Factory構想ワークショップのフレームワーク

ICT活用戦略/Future Factory構想ワークショップのフレームワーク

Story

導入効果と今後の展望

工場発で切り拓く、各工場がデジタル化を開始

 カネカでは、2018年度に一部のラインマネージャを対象にしたワークショップを実施した。研修を受けた参加者の中には、「日本の工場がマザー工場としてデジタル変革をグローバルに展開していくきっかけになると考えた人」や、「10年後を考えたときに現在のやり方では通用しないので、見直したいと考えるようになった人」など、新たな気づきや発見が見られた。参加後のアンケートでは「社内にさらに広げていったほうがよい」という意見が多かったことから、対象を増やして同プロジェクトを行うべきと判断。2019年度にも引き続き研修を行った。2019年度の研修では、具体的な事例紹介の上で参加者一人ひとりの実務にまで落とし込む必要があった。そこで講義の時間を減らして、ワークショップの時間を増やし、各グループにアビームコンサルティングのコ
ンサルタントが1人ずつサポート役として入るようにした。

 参加者からは、「労働集約型の事業モデルから脱却するためのデジタルテクノロジーの導入および自動化」「製品づくりを効率化するための施策」などのテーマで宣言を行う人がでた。「マインドの変革ができたと評価しています。アビームコンサルティングが提唱するDXジャーニーのゴールであるビジネスモデル変革の意識を持つ人が、実施前後で格段に増えました。参加者の中には具体的なデジタル施策が立案されたり、顧客視点を入れていくというキーワードが織り込まれたりするようになりました。現場からこのような意見が出るようになったのは大きな変化です」(古川氏)。

 今後、カネカではラインマネージャの意識改革を推進力として、さらなる工場デジタル化につなげていく考えだ。

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