AI技術の進化は、企業の事業開発に新たな潮流を生み出している。従来は市場調査や顧客ニーズをもとにゼロから構想していた事業アイデアも、今や保有する自社のアセット・ノウハウを出発点とし、人間が「考える」のではなくAIが作り出した事業アイデアから「選ぶ」アプローチが現実味を帯びてきた。なかでも生成AIをはじめとした基盤モデルの活用により、独自技術や保有データ、業界知見といったアセット・ノウハウの組み合わせや応用可能性を高速かつ網羅的に探索することが可能になる。
本インサイトでは、AIの持つ、大規模かつ高速に可能な情報処理能力や創発現象に見る構想力を活用し、自社アセットを出発点とした発想から選定までのプロセスをAI共創型の新しい事業開発プロセスとして再定義する。すなわち、経験者や専門家を中心に人が「考える」ことに軸足を置いた従来の事業開発プロセスを、AIが生成したアイデアをベースに人が「選ぶ」ことに軸足を置いた事業開発プロセスとして設計する。これにより、事業開発のスピードと精度を同時に高める──それが、本稿が提示する新たなアプローチだ。