急激なビジネス環境の変化や技術革新、多様化する生活者ニーズ、社会課題の複雑化によって、単一組織や単一企業が持つ技術やアセットのみで課題解決・価値提供することは困難な状況になりつつある。このような状況の中で、社会変革をもたらすような価値創出を目指すには、企業間や産官学が連携し、互いの技術やアセットを組み合わせていく「共創」が必要だ。
また、「共創」が求められる地方創生やスタートアップなどの分野も重要なテーマとなりつつある。これらのテーマは、岸田政権下に発表された「スタートアップ育成5か年計画」にはじまり、新政権下でも日本経済の起爆剤と位置付けられていることから、その重要性が窺える。
スタートアップとの共創においては、企業とスタートアップの双方に課題が存在する。大企業側は技術に対する知見の不足や、目指すべき事業化への道筋が描けていないことが挙げられる。また、スタートアップを単なる技術パーツとしてとらえ、事業化に向けた共創に至らないケースが散見される。一方スタートアップ企業側は、人材不足により事業そのものの推進に苦慮したり、大企業が抱える課題のキャッチアップやそれへの解像度を高めるために必要なビジネス理解が不足したりという課題が存在する。
両者の課題を解決するためには、双方の課題を理解しつつ、共創の機会を生み出す当社のような第三者の存在が必要となる。
このような背景から、アビームコンサルティングではこれまでも幾度となく共創の場を作ってきた。CEATEC 2024においても、企業・自治体の課題と来場企業のマッチングを通じて商談機会を創出する課題発信型企画「Biz-Board」や来場者の課題・関心領域をもとに、当社の共創プロフェッショナルが新進気鋭のスタートアップを厳選紹介する「ウォーキングブレスト」を実施した。
「Biz-Board」は、会場設置のタッチパネルディスプレイまたは当社ブースにて事前に企業・自治体から収集された課題を閲覧できる仕組みだ。さらに、来場企業が解決に貢献できそうな課題を見つけたら、商談を申し込むこともできる。双方の登録情報からBiz-Boardシステムがマッチングを行い、後日商談が成立する。会期中に計22社より課題の登録があり、商談応募があった企業のサポートを推進している。さらに、今後アビームコンサルティングが出展する他のイベントにも今回登録された課題を活用することで、継続的な共創の場の拡大を狙う。
一方、「ウォーキングブレスト」は、申し込みをした企業が持つ課題に対して、適切な出展企業を当社が選定し、実際に出展企業のブースを歩きながら案内する取り組みだ。今年は計21社の大手企業より申し込みがあり、これらの大企業と共に、出展している計52社のスタートアップに訪問し、企業とスタートアップ間の共創をサポートした。