分散したレポーティング業務の再構築により開示精度向上を実現する報告書作成プロセス改善支援サービス

ソリューション

報告書作成ツールの導入と業務プロセスの改善によるレポーティング業務再構築により、価値あるレポートの提供を可能にし、企業価値の向上に貢献

近年、従来の財務情報に加え、非財務情報の開示が求められるようになっています。しかし、非財務情報や注記情報は社内で分散・属人化しており、収集・管理・開示のプロセスが煩雑化した結果、報告書作成の非効率や開示内容の信頼性維持が課題になっています。
こうした課題に対しては、近年登場した報告書作成ツールの活用と、業務プロセスの見直し・定着化を組み合わせたレポーティング業務の再構築によって解決が可能です。
作業の標準化と効率化を図るとともに、報告書の信頼性・有効性を向上し、インサイト創出に向けた思考の時間を確保することで、ステークホルダーにとって価値あるレポートの提供を実現します。

背景

より付加価値の高い業務に注力するため、従来の経営情報基盤整備に加え、非財務情報を含む企業情報の収集および開示プロセス改善の加速化が必要

企業を取り巻く経営環境が煩雑さを増す中、財務情報のみならずそれを支える非財務情報の開示も求められるようになってきています。決算データに加えて、事業の定性的な状況や将来の見通し、中期的な財務リスクおよびCO2排出量やサプライチェーンの健全性など、より多面的な情報開示が求められています。従来整備してきた経営情報基盤によって、損益計算書や貸借対照表などの定量情報は、一定の精度とスピードで集約・管理されるようになっています。しかし、有価証券の時価を含む資産の評価、市場リスクなどの外部情報や注記情報については、経営情報基盤の外に存在するため、社内外の複数のデータソースから取得し、情報を統合して開示をする必要があります。また、監査対応も年々厳しくなっており、ワークフローの整備により報告書の信頼性を向上させることが必要となっています。
ただし、これらの業務は、現状Office製品を使用した手動プロセスに支えられており、企業における業務プロセスの整備およびデジタイゼーションの次なる焦点は、こうした情報も含めた報告書作成プロセスの改善に移ると考えています。

課題

非財務情報・注記情報の分散と属人化、統制不備により収集・管理・開示が煩雑化し、報告書作成・企業情報開示プロセスの非効率と信頼性維持の難しさを招く

問題点

  1. 非財務情報および注記情報の統合管理が困難:非財務情報および注記情報(CO2排出量や有価証券の時価などの外部情報)が各所に散在し、収集・整合性担保が煩雑となることで、インサイト抽出や説得力のあるストーリーの検討などより付加価値の高い作業にかける時間が失われます。
  2. 手作業依存による属人化:標準的な文書作成・編集プロセスが共有されていないことにより、外部データの加工が個人スキルに依存し、業務が属人化しています。これに伴い、担当者の交代などによる報告書作成の遅延やミスのリスクが高まります。
  3. 開示文書のガバナンスが脆弱:ワークフローを文書レベルで制御・監視できる仕組みが未整備であることで、レビュー履歴や承認フローが非体系的となり、監査・開示要件への対応に過度な手間がかかり、報告書の信頼性の維持が困難になります。

アプローチ

上記の課題を解決するには、報告書作成ツールの活用が選択肢の1つになります。
これらのツールは、報告書作成に必要なデータの収集から文書の作成、さらには開示に至るまでの一連のプロセスを統合的に管理する機能を備えています。
ツールの導入により、上述した情報の収集・整合性確保の難しさ・煩雑さ、ならびに手作業依存による業務の属人化といった課題に対して、各プロセスにおける効率化と標準化が実現します。また、ガバナンス上のリスクにおいても、ワークフロー管理機能によるレビューや承認といったプロセスの統制により適切なレベルで対応することが可能になります。
これにより、企業の報告書作成および情報開示プロセス全体の信頼性と透明性が向上し、開示業務におけるリスクの低減と業務効率の改善が期待されます。

特長

  • 多様なデータソースとの連携機能(ERP、EPM、Excel、CSV、外部APIなど)

    異なるシステムやファイル形式からのデータを一元的に取り込み、統合データモデルとして管理することで、収集や整合性の確保を実現します。また、データの出所や更新履歴を保持することで、整合性とトレーサビリティを短時間で確保することができます。

  • テンプレートベースのレポート作成機能と自動データ更新機能

    定型フォーマットやテンプレートの活用と生成AIによるインサイトの自動生成により、誰でも同じ品質の報告書を簡単に作成することができるようになります。また、データソースとレポートはリンクされているため、手作業による転記や加工が省力化され、報告書の品質も担保されます。

  • 組み込み型のワークフロー管理機能とアクセス制御

    データの収集時やレポート作成時の構成ページ毎にレビュー・承認フローが設定可能であり、「誰が・いつ・何を修正したか」といった履歴も自動で記録されます。また、アクセス権限の設定により、関係者以外の編集・閲覧を制限して情報漏洩や誤操作を防止して、監査対応にかかる時間の低減や開示文書の信頼性を高める効果が期待できます。

業務改善からツール選定・導入までの一貫したご支援により、企業に寄り添った課題解決と導入効果の最大化を実現

非財務情報を含む多面的な企業情報開示のプロセス改善に対し、企業が抱える課題の所在や深刻度は、業務プロセスや組織体制に応じて異なります。課題の特性に応じた対処が求められるにもかかわらず、画一的に報告書作成ツールを導入するだけでは、根本的な業務プロセスの非効率が温存され、十分な効果を得られないリスクがあります。こうした課題を真に解決し、ツール導入効果を最大化するには、現状業務の見直しと課題に即した適切なツール選定・導入をセットで行うことが不可欠です。
アビームコンサルティングは、業務改善の提案から課題に適したツール(GXマネジメント支援サービス/Oracle Cloud EPM Narrative Reporting/Workivaなど)の選定、導入、さらに保守・運用に至るまで、一貫した支援を提供できる点が強みです。
まず、現状課題を詳細に分析し、業務プロセスを可視化・評価した上で、業務改革によって解消できる課題と、ツール導入を必要とする課題、外部システムとの連携が必要な課題を明確に切り分けます。この分析に基づき、機能・コストの両面で過不足のないツールを選定し、必要最小限かつ最大限の効果を発揮できる導入計画を策定します。これにより、ツール導入後の業務効率化や品質向上といった成果を確実に引き出し、投資対効果の最大化を実現します。

豊富な実績に基づき、業務課題に最適なツール導入に向けた構想策定から選定までを支援

アビームコンサルティングは、報告書作成ツールの構想策定から選定に至るまで、体系的な方法論に基づく支援を提供しています。まず、現状業務の可視化と課題抽出を通じて、特に複数部署にまたがる業務運用の非効率性や、非財務情報・注記情報収集の煩雑さといったツール導入による効果が見込まれる領域を重点的に分析します。
次に、抽出した課題をアビームコンサルティング独自の業務改革フレームワークに基づき、「業務量削減」「生産性向上」「単位時間あたりコスト削減」といった解決策の方向性の観点で分類します。
さらに、具体的な課題の打ち手の観点で課題を切り分けます。「業務量削減」が必要な場合は業務改革、「生産性向上」が必要な場合はツール導入、外部システム連携(IF)が有効である打ち手だと考えられます。
ツール導入が有効であるとされた課題に対して、ツール選定を実施します。
候補ツール全体を対象にノックアウト要件による一次スクリーニングを実施し、さらにRFI・RFPの発出と定量的な評価により、機能・コストの両面で効果的なツールの選定を支援します。
確立されたこのプロセスにより、投資を抑えながらも業務課題に最適化された高付加価値なツール導入を実現します。

ツール導入と業務プロセス改善によって効率化とガバナンス強化、インサイト創出の支援を実現

社内に散在するデータは、目的ごとにその都度収集・加工・集計・レポート化されており、属人的な手作業に依存していることから、情報の粒度にばらつきが生じ、正確性や鮮度の確保が難しいという課題があります。こうした状況に対しては、報告書作成ツールの導入とあわせてデータ基盤を統一し、収集から集計、レポート作成までを自動化することで、情報の粒度・正確性・鮮度を一貫して担保することが可能となります。
さらに、自動化によってレポーティング業務全体の効率化が図られることで、これまで報告書作成に費やしていた時間を、インサイトの抽出や意思決定支援といった、より付加価値の高い業務に充てることができるようになります。また、アビームコンサルティングの知見を活かして、経営判断やステークホルダーの関心に即した情報を的確に盛り込んだレポートコンテンツの改善提案(マテリアリティ検討、価値関連性分析、インパクト加重会計分析など)を実施することで、データの活用を一層効率的かつ高度に行えます。
加えて、従来は属人的な手作業によって多くの工数をかけても正確性の担保が難しかったデータガバナンスについても、適切に定義・整備されたプロセスのもとで運用することにより、監査対応の負荷を大幅に軽減し、レポートの信頼性とガバナンスの強化を実現します。

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