インパクト加重会計コンサルティングサービス

ソリューション

いま企業にインパクト加重会計が求められている背景

財務情報だけでは測ることができない「非財務資本」の価値の可視化が重要視されています。日本企業では有価証券報告書での非財務情報開示義務化に向けた検討や、政府による人的資本/知的資本可視化指針などの公表に応じた開示の動きが急速に活発化しています。一方で、企業が従来開示してきた非財務情報の多くは、社会や環境に与える影響が「どのように企業価値に結びついているのか」、「企業における価値向上のドライバーは何か」を明らかにできていないという課題もあります。そこで、アビームコンサルティングでは「インパクト加重会計」を用いて、企業が社会全体にもたらすインパクトを金銭価値に換算・可視化することで企業価値の向上を支援しています。

インパクト加重会計とは?

インパクト加重会計は、企業の事業活動や提供製品/サービスが社会や環境にもたらす社会的インパクトを、プラスとマイナスの両面から総合的に金額に換算する手法*です。製品/サービス・雇用・環境の社会的インパクトを対象として売上収益・EBITDAとの比率を算出することで、自社の経年変化だけでなく、他社・他製品/サービスとの比較などに利用することができます。

*International Foundation for Valuing Impactsが提唱(2024年8月時点)

社会的インパクト算出のアプローチ

一例として、製品/サービスの社会的インパクトを可視化する「製品インパクト会計」では、製品が製造され消費者の手に渡り、利用、廃棄されるまでの製品ライフサイクルを対象とします。ライフサイクル上で創出される社会的インパクトを自社製品の独自性を加味して定義づけし、プラス・マイナス両面それぞれの影響を金額換算して合算することで可視化します。

導入事例とお客様の声

IoTビジネスの提供による、社会へのインパクトを定量的に算出

KDDIが20年以上にわたって展開する、自動車やセキュリティー、電気・ガス等といったさまざまな業種へのIoTビジネスの提供が社会に対しどのようなインパクトをもたらしているのか、定量的な可視化を実施。その結果、IoTビジネスが創出した社会的インパクトは5,023億円にのぼると算出しました。


■お客様の声

当社が提供するIoT通信サービスは、さまざまな産業や社会に溶け込んでいる社会インフラです。そのプラットフォームとしての機能や役割の価値は財務数値だけでは表しきれないと考えました。そこで、非財務を含むIoTビジネスの価値を定量的に示し発信すべく、アビームコンサルティングの支援によりインパクト加重会計を実施しました。算出結果の社外発信により当社の取り組みに関心を持っていただけただけでなく、当社が事業を通じて社会にインパクトを与え社会的責任を果たしていることを社員に改めて浸透できた点においても、大変意義のある取り組みであったと考えています。今後も社会インパクト可視化への挑戦を続けてまいります。

コーポレート統括本部 サステナビリティ経営推進本部長 矢野 絹子 様 より


「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」の活用によるWell-being向上への影響を算出

ビール製造工程で発生する副産物のビール酵母を活用した「ビール酵母細胞壁由来の農業資材」を農作物生産時に活用することが、農産物生産者のWell- being向上に対してどの程度影響をもたらしているのかについて、「製品インパクト会計」を用いて分析。収穫量の増加割合金額と肥料・農薬の削減によるCO₂削減金額を試算し、その結果、野菜・畑作のケースでは収穫量増加割合は1.21倍、社会インパクト金額は64.9億円にのぼると算出しました。


■お客様の声

アサヒグループは、サステナビリティと経営の統合の実現に向けて、ESG活動によって創出されるインパクトを可視化する取り組みを進めています。その一環として、当グループのマテリアティのひとつ「コミュニティ」の重点活動として目指している、農産物生産者のWell-being向上への貢献を対象とし、本分析を進めました。算出ロジックの構築やデータ収集など課題は多々ありましたが、アビームコンサルティングの支援により製品インパクト会計のフレームワークを活用し、社会インパクトの算出に至りました。当グループは、引き続きさらなる社会インパクトを創出することを目的とし、本取り組みの先駆者となるべく挑戦していきます。

ご担当者様 より


持続可能な社会づくりへの取り組みや雇用における地域社会・ダイバーシティへの貢献を金銭価値に換算

持続可能であると判断できるパーム油調達によるCO₂排出削減やパーム油農家の生活の質向上などを「製品インパクト会計」を用いて分析し、RSPO認証パーム油の使用が社会に対してプラスのインパクトを創出していることを可視化しました。また、雇用によって創出される地域社会・ダイバーシティへの貢献等の社会的インパクトの可視化を「従業員インパクト会計」で 分析。その結果、総賃金に占めるインパクト比率が約67%と算出され、米国企業の試算結果と比較しても遜色ない結果であることを定量的に確認しました。


■お客様の声

当グループは創業より変わらない企業理念に則りCSV経営を推進していますが、持続可能な成長の実現と企業価値の最大化を図るため、2021年よりESGと企業価値の関係性について定量/定性分析へ取り組み始めました。2023年度はESGと社会的価値の関係性に着目し、アビームコンサルティングの協力のもと、自社の事業活動が社会に与える影響・価値の可視化(インパクト加重会計)に挑戦し、その結果当社の取り組みが社会にプラスのインパクトを創出できていることを定量的に確認できました。今後、分析精度・データの信ぴょう性を高めていき、将来はESG施策に関する優先順位づけにも活用していきたいと考えています。

取締役・CSO 兼 常務執行役員 横山 之雄 様 より


アビームコンサルティングの支援内容

インパクト加重会計算出における一連の業務を総合的に支援します

インパクト加重会計では、製品/サービスや雇用・環境がどのような社会的インパクトを持つかを明確にし、それを定量化するためのロジックを一つひとつ開発する必要があります。アビームコンサルティングは、インパクト加重会計を通じた統合的な企業価値の可視化にフレームワークを用いたお客様向けロジックの開発データ収集インパクト算出取り組んできた実績により、ステークホルダーが注視する観点を押さえたロジックの開発から、データ収集・算出までを一貫して支援します。また、事業活動がもたらす社会的インパクトを企業価値向上につなげるための戦略の策定、管理プロセスの構築も支援します。

社会的インパクトや非財務資本を事業戦略に組み込むことで真の企業価値向上に寄与

アビームコンサルティングでは、企業の事業活動が生み出す社会的インパクトを拡大させることが財務/企業価値の向上に寄与する一要素と捉えています。その道筋を明らかにするためには、事業戦略の遂行に最適な資本増強の配分・積み上げと、将来的に企業価値を高める要素となる顧客/ステークホルダーへの提供価値の定義に合わせて構造を分解し、事業上のどのポイントでどのような社会的インパクトを創出することが重要かを可視化する必要があります。
アビームコンサルティングは 、インパクト加重会計により導き出された結果を活用し、事業戦略・活動と非財務資本、さらに社会的インパクトを組み合わせた新たな事業戦略マップの策定を通じて、自社の競争力の源泉となる価値向上のドライバーを特定し、事業評価やポートフォリオ変革に活用することで、企業価値の向上に貢献します。

専門コンサルタント

今野 愛美 

企業価値向上戦略ユニット ダイレクター

国内外の企業に対して、財務経理業務改革や企業価値と非財務資本の関係性解明、非財務戦略策定、KPI検討などのプロジェクトに数多く従事。インパクト加重会計の導入経験や講演・寄稿経験も多数。


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